第2話喘ぎ声再び
0組一の美女の艶やかな声が教室に響き渡ってからと言うものの、クラスは未だに騒がしかった。
叶多は艶やかな声の主が有栖川天舞音(ありすがわあまね)だと理解すると、それ以上天舞音を見つめる事はせずに、授業の準備を初め、まだ時間があることを確認するとトイレを済ませようと席を立ち上がり、教室を後にしようとしたその時、叶多の視界に再び床に倒れ込む天舞音の姿を入り込んでくる。しかし、叶多はそんな天舞音を助けようとはしない。それはここで助けても、叶多には得が無い。それよりも叶多が過去に能力の暴走を起こしたのは親友に裏切られたのがきっかけだったために、叶多は人との距離感を取るように心掛けていた。そんな叶多としては天舞音を助けるとゆう選択肢を持ち合わせていなかった。
天舞音を助ける事なく、進む叶多は一人の生徒と肩が接触してしまう。
その直後、叶多は余りの快感に声を漏らしてしまう。
「……あっ!」
思わず、声が出てしまった叶多は立っている事も出来ずに倒れ込んでしまう。声を荒げた叶多にクラス中の視線は集まる。
そんな視線を背に感じならも、叶多は凄まじい快感の余り上手く考える事が出来ずにいた。
天舞音の艶やかな声とは違い叶多のそれはクラスの大半を不甲斐な思いをさせるものだった。特に男性陣から。
ざわめき出すその教室の扉が開けられる。
それと同時に、一年0組の担任を務めている男性教師はいつもとは違う教室の雰囲気に戸惑う。
「なにかあったのか?」
男性教師は思わず、クラスの全員へ訪ねた。
しかし、誰も男性教師のその問いに答える者は居なかった。
生徒達の解答が無いことに、男性教師は自ら動き出す。
いつもなら、生徒達は席について居るのに、今日に限って席を立っているのには何かしらの理由があると思い男性教師は多くの生徒達の視線を集めていた箇所へ目線を向ける。
「……どうした?早川!」
うずくまっている叶多を発見した男性教師はかけようと動き出す。
そんな最中、天舞音も倒れている事に気がつく。
「なぁ、有栖川まで」
男性教師のその言葉に天舞音はふらつく、体を起こし叶多の元まで歩くと、叶多の体を起こす。
「すみません。先生私達具合が悪いので保健室に行きます」
天舞音はそれだけを男性教師に伝えると、叶多を連れ教室を後にする。
「……二人ともなにかあったのか?」
逃げる様にして教室から出ていった二人に疑問を抱いた男性教師は思わず、口に出していた。
保健室にたどり着いた天舞音は叶多をベッドへ座らせる。
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