第2話〜僕らの旅立ち〜

「ーーーということで、僕たちはこれからどうすればいいと思う?」


『マスターその心配はないと思われます。』

え?どういうこと?

『マスターの力は恐らくここ一帯では負けることは有り得ません。なので、シンプルかつ大胆に今日の夜に妹様方を連れて逃げればいいだけだと思います。』

そ、そんなに強いんだ、僕。

『マスターは、強いと言うより創意工夫ができるスキルがある。といったところでしょう。』

えっとつまり僕のスキルを有効的に使えば、僕自身が弱くても、魔物を倒すことができるってことかな。分かった。ナビの言う通りにするよ。

『ありがとうございます。

まずは【アイテムボックス】と【浮遊魔法】を使って岩などをアイテムボックスに詰めてください。そして、ーーー』



sideマリアル


「お兄ちゃん遅いね。」

「遅いね。何かあったのかな。」


私とコハルはいい子にしてお兄ちゃんの帰りを待ちます。だって、お兄ちゃんに嫌われたくないし。

「お兄ちゃんまだごあいさつしてるのかな?」

コハルが少し不安になります。顔が今にも泣きそうです。それを見ていると私も泣きそうになります。

でも、私はお姉ちゃん。私が泣いたらいけない。

なんとかコハルをあやします。


「そうかもだけど、すぐに帰ってくるよ。だってお兄ちゃんだもん!いい子に待と?コハル。」

私の話を聞いてコハルがこっちをむきます。

ぅ。や、やめて、そんなだいじょうぶなの?って感じで私を見ないで。

でも、私の心配をよそに、妹は次の瞬間満開の笑顔になりました!

「うん!そうだね。お兄ちゃん頑張ってるからね!」

キャー!!何この可愛い天使!もうダメ。

私抑えられない!

「キャッ!お姉ちゃん、何するの〜。」

その笑顔に抑えられなくなった私は、ついにコハルのことを撫でまくってしまいます。

はぁ、だめ〜。抑えられない〜。

お兄ちゃんも大好きだけど、お姉ちゃんコハルも大好きだよ〜。

「コハルが可愛すぎてなでなでしたくなったノ〜。」

「もう、お姉ちゃんてば。」

わたしが妹といちゃついてると扉が急に開きました。お兄ちゃんがやっと帰ってきました。


「ただいま〜。お兄ちゃんが帰ってきたぞ〜。

・・・って、本当に仲良しだな〜2人は。」

「「うん、なかよし!」」


あれ、お兄ちゃんがなんか前よりさらにカッコよく見える。何か変わったのかな?でも、少し浮かない顔してる。

だけど、私はそんなの関係ない。お兄ちゃんはお兄ちゃん。

お兄ちゃんが少しおかしいのは心配だけど、そんな不安、私が見せちゃいけないよね!


「ごめんね、遅くなって。

それじゃあ今からご飯作るから待っててね。」

「「は〜い。」」

んっふふ〜、お兄ちゃんのご飯がたべられる〜。

お兄ちゃんのご飯がたべられる〜。


「行こ!コハル。」

私はコハルと手を繋いで椅子にお行儀よく座ります。

私のお腹が早くご飯ちょうだいって音がなり止みません。

何分か経ってからお台所から美味しそうな匂いがします。

「もうすぐできるからもうちょっとだよ、コハル。」

「うん、もうちょっと〜。」


それからさらに数分後、お兄ちゃんが料理を持って私の前に現れます。

テーブルに置かれたお魚さんはすごーっく美味しそうなオーラを放ってます。

これじゃあもう待てない。

それはコハルも同じ。私と同じく目がハートって・・・お兄ちゃんを見てハートになっていました。

と、とりあえず。いただきまっ

その瞬間、視界の裏でお兄ちゃんが慌てる姿が見えます。

一瞬ためらったのが私の項を制しました。

「マリアル、コハル、食べる前に聞いてほしいんだ。」

危なかったです。あと数秒遅れてたら私はお兄ちゃんから食いしん坊だと・・・あぁ美味しそうだな。


名残惜しい気持ちはありますが、私はお兄ちゃんの目を見ます。

どうやらとても真剣なようです。私たちはこれからどんな話をされるのでしょう。

だけど、次に放たれたお兄ちゃんの言葉に私はそれはもう喜びました。だって、ーー

「まず、本当にごめん。僕らは今日これからこの村を出る。」


か、駆け落ちイベントキターーーー!!!


sideコハル


お姉ちゃんに髪をなでなでされます。

お姉ちゃん、私の髪を触ってとても嬉しそうです。私も嬉しい。もっと、お姉ちゃんに触っていてほしい。

でも、私は癒し係。変態さんだと思われたくないので、ここまでにします。

「もう、お姉ちゃんってば〜。」

そう言うと、お姉ちゃんはもっと私の髪をなでなでします。 あっ、そこ気持ちいい。

と、そんなことしてたら、私の王子さまが帰ってきました。

「ごめんね。遅くなって。

それじゃあ今からご飯作るから待っててね。」

はぁ、ユマお兄ちゃんはやっぱり王子さまです。

きっと疲れているだろうに。自分のことより、私たち女を一番に考えてくれる私の一番の王子様〜。

かっこよすぎます。は〜、ずっと見ていたい。

私がお兄ちゃんをずっと眺めて過ごしていたら、かなり時間が経ったのかいつの間にやらテーブルに座ってて、ちょうどお兄ちゃんがご飯を作って持ってきてくれました。美味しそうな料理が、いっぱい運ばれてきます。

でも私はそんなの関係ありません。

は〜、お兄ちゃん今日もかっこいい。も〜本当にこの家族に出会わせてくれてありがとう神様!

私たち双子は元々は孤児院にいて、本当の親は別にいます。

この家族の一員になったのは、私たちが3歳を過ぎる頃。お母さんが病気で子供が産めなくなったということで、私たちが引き取られました。

本来、養子というのはすごく酷い扱いをされるって聞いてました。だけど、お父さんもお母さんもユマお兄ちゃんも、私たちを本当の家族のように育ててくれました。

本当に私たちがこの家族の一員に慣れたのは奇跡だと思います。

そんな私に今日、神様はさらに幸運を与えてくれました。

だって夢にも思い描いたアレが幕を開けてしまったから。


「まず、本当にごめん。僕らは今日これからこの村を出る。」


シ、シンデレライベントキターーーー!!!


sideユマ


僕はナビと魔物との戦闘の話をしながら家に向かいう。

その時に何回か魔物と会ったので、戦闘訓練代わりに何体か討伐した。

ボアにはあの方法が使えないのか。でも、ゴブリンとかウルフみたいな魔物には使えると。

戦略の思考を重ねていると、自分の服が血で凄いのを思い出し、家に着いた時びっくりされないように途中で川を見つけ、服は洗い流しました。

そして、着く頃にはだいたい話し合いを終え、次に妹たちの説得について、ナビと僕は移っていた。

「マリアルたち、着いてきてくれるかな。」

『マスター・・・。そこは何度も申し上げますが、失敗することは有り得ません。』

「なんでナビがそんなこと言えるのさ。」

『私はマスターのこれまでの記憶をインプットしています。そして、マスターがマスターの妹様たちから断られる確率はゼロであると分かりました。

本当にどうやったらこんな愛がありすぎる兄妹が生まれるのか・・・。』

なんかよくわからないけどやっぱりナビ、しっかり感情あ『私は恩恵です。そんなものは存在しません。』そ、そうですか。

まぁナビからも太鼓判を押されたし、何とか2人を説得しよう。

そう息巻いていたけど扉を開けて妹を見るとそんなこと、一瞬で忘れてしまった。


「ただいま〜。お兄ちゃんが帰ってきたぞ〜。

って、本当に仲良しだな〜2人は。」

だって、帰ってきたら玄関で妹たちがもみくちゃになっていたんだもん。

ギャーー!!がわいい!!!っと表には出さず2人に待っているように促すと僕は台所へ急ぐ。

『マスター今日は何をお作りに?』

「魚のムニエルかな。川で捕まえられたし。浮遊魔法本当に便利だね。ナビ」

『そうでございましょう!浮遊魔法の力でマスターは今は300Kg程の物を自由に浮かせられます!』

ナビが喜んでいるのは恐らく浮遊魔法がナビゲートの能力の一つで、自分が褒められたようで嬉しかったんだろう。やっぱり・・・いや、考えちゃダメだ。


僕らはムニエルを作りながら妹たちに美味しいって言ってくれる顔を想像する。

(僕の想像)

「お兄ちゃん美味しい!」

「私も〜!」

「えへへ〜そうかな〜?」

「「私、お兄ちゃん大好き!」」

「あはは〜困っちゃうな〜」


「あは〜、あはははは〜、あは〜」


『・・・何が困るんですか。』

「あは、はぇ?な、ななな、なんでもないよ、ナビ。あ、いい感じにできた。」

危ない、危ない。僕たちは家族なんだ。そんな邪な考えしちゃダメだよね。


『(邪な考えをしていたんですね。)』


僕は全員分のご飯を作って2人の所へ向かう。

そしてついに、言う時がきたか・・・

『マスター頑張ってください。』

「うん。」


まずはどこから話そう。二人は分かってくれるかな?

だけど、そんな思考は取り払うことになってしまった。

なんと、僕がテーブルに料理を置くとマリアルがすぐに料理に飛びかかろうとしたからだ。

僕はろくに考えられず反射的に言ってしまう。

「マ、マリアル、コハル食べる前に聞いてほしいんだ。」


「「なに?」」

2人の視線が僕に向かう。だけど、マリアルの顔が魚を名残惜しそうにしていた。うぅ、ごめんよ。

そして、僕は順に話していった。

まずは、これからどうするのか。クレさんの話、今日遅れた理由、僕らはこれから森で数年過ごすこと。

「ーーーというわけなんだ。急で本当にごめん。

だけど、どうか僕のことを信じてほしい。決して2人に不自由なことはさせないから。」


言った。全部言った。僕がナビと考えた事、こうなってしまったこと全て。


でもなんでだろう。困惑されると思ったのに、2人は僕に物凄く熱をもった視線で見てくる。

「お兄ちゃん。これを食べ終わったらここを出ていくの?」

「う、うん。そうだね。早い方がいいから。」

そう僕が言った瞬間マリアルは今までの人生で一番と言っていいほど僕の料理をすごいペースで食べ始めた。

「え、え!?」

僕はその姿に困惑が隠せない。

『マスターの混乱を確認。オートスキル、【状態回復】を発動。』

あ、ありがとう。

「お、にい、ちゃん。(ごくっ。)何してるの。行くんでしょ?早く食べないと。」

僕は自分の目と耳を疑った。そしてマリアルさえも疑ってしまった。だって今までのマリアルは、食いしん坊ではあったけど、食事中は絶対に早食いなんてしなかったから。

そんなマリアルが我先にと僕のすることに乗ってくれてる。

「えっとマリアル、僕に着いてきてくれるの?」

「当たり前じゃないですか。私はお兄ちゃんとならどこまでも行けます!」

「私もいっぱい早く食べる〜。」

え、えっと今までの可愛い口調はどこにいってしまったんだい、マリアル。それにコハルもゆっくりではあるけどいつもよりは早い。

『言った通りだったでしょう。マスターは妹様たちにべたぼ・・・とても好かれているのです。』


そ、そうだったんだ。なんか、すごい嬉しいことを分かったのに素直に喜べないような・・・。


そこからはもう凄かった。マリアルとコハルは食べ終わったと思ったら、一瞬で身支度を終えて、外で待っている。そう言って、家から出てしまった。

「僕、なんかあれなんだね。鈍いんだね。」

『はい・・・。』

結局、言った本人が1番支度が遅れてしまった。


「うん、前向きに考えよう。2人のあんな姿を見られたんだから。」

『マスター・・・それは目の前のことから逃げているだけだと思います。』

「さ、さーって行くか〜。マリアルたちが待ってるし〜。荷物も全部持ったしね。あ、そうだ。」

僕は、テーブルの上にあった一つの写真を手に取る。

『マスター、それは?』


「これは僕達の集合写真だよ。2年前のね。右から父さん、僕、マリアル、コハル、母さんだね。」


僕はアイテムボックスを開き、その中に写真をしまった。

「行こう、ナビ。これから大変だけど、正直どうしようかな。」

『そんなことはありません。私がいる限り、マスターは大変なんて一番遠い存在になるでしょう。もはや余裕です。』

「ふふ、心強いね。」

僕はドアを開けた。慣れ親しんだドアを。


きっともう開けることの無いドアを。


ドアを開けると妹たちがいた。僕が準備をしてる間、ちゃんと待っててくれたらしい。ただ少しご立腹な模様。お兄ちゃん怖い。


「遅いよお兄ちゃん。自分から言っといて、やっぱ止めたはなしだからね。ほら、早く行こ!」

「そうなの。私たちとお兄ちゃんのハーレムを作るの。」


コハル、いつどこからそんな言葉を・・・。

「うん、そうだね。行こう!」


僕は村を旅立つ。妹たちと家族の思い出と一緒に。


だけど心配はない。僕には心強い仲間がいる。


「改めてよろしく!ナビ。」

『よろしくお願いします。マイマスター。』



本日のステータス(最新された場合書きます。)

ユマ・サテラ Lv3→7

ステータス


体力360→840

攻撃20→40

防御20→40

素早さ35→75

知能50

魔力50→90

魔防40→80

気力40→80

幸運S

才能C

成長スキルポイントLv×1獲得

スキルポイント102→106(成長比例)


スキル

【鑑定】人や物のステータスや能力を測ることが、できる。

【アイテムボックス】異次元空間に対象物を閉じ込める。生命体は不可能。中は時が止まる。

【浮遊魔法】人や物を浮遊させられる。Lvに比例する。(Lv×100Kg)


オートスキル

【死神】体力が0になった時発動。

体力を1にし、自信の体力を0にした相手の体力を0にする。使い次第死神は消滅する。

【状態回復】自身の以上や相手の以上を治す。

【魂食い】敵を倒すと自身を、敵と戦う前の状態に戻す。ステータスは戻らない。

【前世の記憶】前世の記憶を持つ。


称号

【神の寵愛】幸運が上昇する。


恩恵

【ナビゲート】詳しくは本人に聞きましょう。

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