第4話 罠と真の試練のダンジョン
俺たちは王都ベルンの主教アリシア教の司祭エリスの元、
この世界を救う救世主としての特訓を受ける事になった
特訓の場は試練の塔という10階層の塔を攻略する事だった
この世界の党やダンジョンには、攻略すると知識や武器が手に入る事がある
知識や武器は魔法で、何度も出現するものがあるそうだ
この塔もその一種だ
主に戦士の教育のために人工的に作られた魔法の塔だ
この塔を攻略できるころには俺達は一人前の戦士になれるらしい
俺達は6人づつパーティを組んで攻略する事になった
パーティの選抜はエリスが行ってくれた
スキルに合わせて行う必要があるためだ
俺達は自分のスキルを良く知らない
この塔の攻略は自身のスキルの使い方を確認する意味もあった
俺のパーティは委員長で勇者の島村、賢者で副委員長の南
そして、俺をいぢめた主犯の魔術士コールドフレームの須田と
サムライの林、親友だったレンジャーの西野だった
俺と西野は明かに戦いに向いていないスキルに思えた
どちらかというと後方支援職だ
どんな時に役に立つかと言えば例えばアルケミスト(錬金術士)の俺は
あらゆる材質の物質が出せる
戦いの時はゴーレムを錬成したりするが、水を錬成する事ができる
これは貴重だ
たとえ砂漠を横断するとしよう、水を持ち歩く必要が無いのだ
そして、俺はこの世界の物理法則に精通できるスキルだ
まだ、スキルレベルが低いので分かる事は限られているが、ポーションの精製も出来た
俺は回復役だった。一方、西野は俺より少し実戦的なスキル、
レンジャーだった弓を使う
短剣が主武器だが、とても前衛を務められ無い俺よりは戦闘では役にたった
それ以外にも罠を見破ったり、宝箱を開けたり以外と便利だった
もちろん、戦いにおいては他の4人が圧倒的に活躍した
俺達は毎日この塔の攻略に集中した
すこしづつだが、階層を上がっていった
既に『勇者』島村は主武器としてミスリルの剣を手に入れていた
『賢者』南はミスリルの杖、『サムライ』林はミスリルの刀、
『コールドフレイム』須田はミスリルの短剣を手に入れていた
俺や西野は未だに鉄の短剣やミスリルの弓という状態だ
だが、俺達にも少し戦力となる力も宿った。それは魔法だ
魔法はいくつか習得方法があるが、
俺達魔法スキルを持たない戦士にも覚えられる魔法がある
それは魔導書グリモアから魔法を覚える方法だ
これは魔導のスキルが無くても誰でも習得できる
全員が覚えた。南は賢者なため、最初から使えていたが、
詠唱不要のこの魔法はとても便利だった。
だから、南も習得した
順調だった。その時までは、最上階まで後、2階層まで来た時だ
それは起きた
何も無い部屋など存在しない、それが何なのか分かるまでは気が抜けないのだが
「高野頼む」
島村が促す
俺は鳥型のゴーレムを錬成した。材質は紙だ。攻撃力は無い
このゴーレムは空を飛べる
そして、俺はゴーレムと五感を共有出来る。つまり、このゴーレムは偵察用だ
「隼、行って」
俺はこのゴーレムに隼という名前をつけていた。隼は次の部屋へと飛んで行く
部屋の中の様子が見えて来る。目に入ったのは、5匹のキラーラビット、
小型だか、敏捷で厄介な魔物だ
そして、あった。一番奥に宝箱が見えた
しかし、一瞬何かが閃く、キラーラビットだ
「つっ」
俺は思わず声に出す
「やられたか?」
「ああ、キラーラビットが5匹、そして奥に宝箱が」
「それがこの階の宝物か、だけど変だな
今まで、宝箱は強い魔物が守っていた
キラーラビットは1階層で既に出会った魔物だ
それが宝箱の守り人とは」
「宝箱自体にトラップのパターンじゃ無いか?」
林が過去の経験から想像する
5階層ではそうだった
「そうだらろうな。つまり宝箱を空けて驚くしか無い訳か」
「大丈夫よ。私達なら、どんな魔物が出ても」
南がみんなを励ます
「じゃ、行くか」
俺達は部屋に入り、戦闘になった
キラーラビットが相手の場合、俺にも活躍の場があった
魔法や矢も素早いキラーラビットには中々当たらない
その代わりにキラーラビットは攻撃力が低いし、防御力も弱い
短剣で戦う俺でも、対等に戦える
『瞬』
俺は残音を残し、キラーラビットとの距離を詰める。
『瞬歩』。1階層で身につけたスキルだ
一瞬で移動出来る。短剣が武器の俺には向いたスキルだ
『ギャー』
先ずは一匹目。『瞬歩』で近付き、一瞬で兎の命を奪う
西野、須田、南は苦戦していた。魔法も弓も飛び道具だ
素早く跳躍し、時には何も無い空をけって空中で軌道を変える
キラーラビットには魔法や弓を当てるのは至難の技だ
島村や林は善戦していた
短剣より長い剣や刀を使うにしても、
俺同様『瞬歩』を使う彼らにとってキラーラビットは敵では無かった
程なくしてキラーラビットを全部倒した
「取り敢えず終わったな。次は宝箱だ」
西野の出番だ。彼はレンジャー。宝箱の罠を見破るスキルがある
だが、それは突然だった。西野の床が突然崩れた。トラップだ
普段、レンジャーの西野が見逃す筈が無かった
だが、今日は発見出来無かった
まさか床に仕掛けがあるとは西野も思わなかったのだろう
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
床が崩れて西野が落ちそうになる、俺はかろうじて彼の手を掴む事に成功した
後は誰かが引き上げてくれれば、
頼む、早く引き上げてくれ。俺にそんなに力は無い
須田が俺に手を差し出そうとする
だが、彼は思い切って手を出せなかった
「もう少し、手を伸ばして!」
俺にとって西野は大切な存在だった
この頃、俺は西野との仲を再会していた。昔同様友人として考えていた
だが、須田は俺達にそんな感情は抱いていない
だから、思い切って手を出せない
俺が落ちそうになりながら西野の手を握った時とは
比べられない程の距離を感じた
だが、彼は思い切って手を伸ばした
腹をくくったのだろう
しかし、それは遅かった。俺の足元も崩れた
こうして俺達は下の階に落下した
落とし穴はかなり最下層まで続いていた
俺達は多分1階まで戻ってしまうのだろうなと思っていた
以外と怪我は少ない
落とし穴と言っても、大半が滑り台の様な落とし穴だったからだ
しかし、事態はそんなに甘いものでは無かった
「ここ、多分、1階より更に下だ。」
俺は鳥型ゴーレム隼で偵察した結果を西野に伝えた
この階には上へ繋がる階段は無かった
あったのは、下へ続く階段。落ちた距離から最初は1階か、2階位と思った
だか、この階には外へ出る出口も上に繋がる階段も無い
1階や2階は既に探査しつくした
何より決定的だったのは他の階にあって、この階に無いものがあった
それは窓だ。他の階では窓があり、外が見えた。この階には無い。
簡単に考えると、ここは地下だ
俺達は呆然と立ち尽くした
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