その向こう側へ、君と行けたなら。-1- 【SFっぽい青春っぽい恋愛】

 まだ朝日が上る前。

 早朝の窓の外でさっきから鳴り続けている、耳障りなサイレンの音。

 うるさいなあ。

 これ最後の瞬間まで鳴り続けるわけ?

 とっくに目は覚めていたけれど、それとこれとは別問題。

 少しウンザリしてカーテンを閉じようとしたら、ようやく止まった。

 同時につけっぱなしのラジオから時報が聞こえる。


「三、二、一、残り時間はあと五分です。ただいまを持ちまして受付を終了いたします。長年のご愛顧ありがとうございました」


 そうか。さっきのサイレンの音は最後通牒だったのだ。

 サイレンは止まり、ずっと流れ続けていたラジオの音も止んだ。

 それとほぼ同時に、部屋の明かりが消える。ついに電気が止まってしまった。

 部屋の中は静まりかえる。

 私以外、誰もいない。

 あと五分でこの世界は終わるらしい。

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