2020年代サブカル革命論
川上漫二郎
序章 衝撃の幕開け
2020年代が始まった。
ついに延期続きの庵野秀明監督のヱヴァ新劇場版最終作
「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」の公開が6月27日決まり、
2016年に劇場公開された「シン・ゴジラ」に続いて
実写映画「シン・ウルトラマン」の制作が発表された。(2021年公開予定)
そして一度引退を宣言した宮崎駿監督も
弟子の活躍に触発されたのか2017年に長編復帰を宣言し、
「君たちはどう生きるか」の制作を発表、
東京オリンピックに合わせた公開を予定している。
巷では「ナウシカ2」制作の噂も絶えない中、
漫画連載中に公開された劇場アニメとして共通項のある
「AKIRA」の大友克洋監督は
舞台設定であった昨年に新作SFアニメの制作を発表し
同時に2020年東京五輪を予言したとして再ブレイクしている
「AKIRA」の新アニメ計画を始動させ、
原作が完結した今、旧作では描き切れなかった完全補完を目指す。
富野由悠季監督の「機動戦士ガンダム」は昨年に40周年を迎え、
今夏のイベントで動く実物大のガンダム像がお披露目されるなど
オリンピックという象徴的なイベントに乗っかって
2020年代のサブカル界も話題が目白押しというところであった。
しかし2019年末に庵野秀明の古巣である
ガイナックスの社長が準強制わいせつの容疑で逮捕される事件が発覚し、
この報道に対する庵野秀明の怒りの寄稿文から
年が明ける不穏なスタートとなった。
かねてから2010年の非実在性青少年規制法案、
クジラックス事件、2019年京アニ放火事件…
2020年の東京オリンピックに向けて
2010年代を通してサブカルの表現規制問題が進むと語ってきたが、
現代サブカルをけん引する本丸である庵野秀明、
そのど真ん中が狙われるとは…
そしてこの嫌な空気は晴れることはなかった。
中国武漢から世界中に蔓延した新型コロナウイルスにより、
映画館が感染症対策のため休業を余儀なくされ、
多くの映画と同様に「シン・エヴァ」も公開延期となってしまったのである。
この問題は映画だけでなく、エンターテイメント産業全体を揺るがした。
テレビは通常のトーク番組やニュース番組、ワイドショーでは
一部出演者のテレワークなど対策が講じられているものの
作画にしろアフレコにしろ集団が密集して制作する
アニメ番組は制作自体が困難な状況となり、
「サザエさん」や「アンパンマン」と言った国民的アニメまでもが
アフレコの無期限中止に追い込まれ、「プリキュア」も放送延期を発表。
戦隊シリーズに至っては主演俳優がコロナに感染してしまっている。
世界最大の即売会であるコミックマーケットは
夏の東京オリンピック開催のため開催時期をゴールデンウィークに前倒し
5月開催の予定となっていたが、東京オリンピックの開催延期、
非常事態宣言の発表という流れで史上初の中止に追い込まれた。
衝撃的な20年代サブカルの幕開けとなってしまったが、
こんな今だからこそ今後のサブカルのあり方について
思慮をめぐらす価値があるのではないだろうか?
各章に分けてサブカル暗黒時代を検証してサブカルの未来を考えていきたい。
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