冬の街:ビジーイルミネーション②
自分の中に、覚えのないプログラムがあることに気づく。おそらくはこれが河村の言っていた、第二視点カメラ“ツヴァイ”とGPSに関するプログラムなのだろう。っていうかツヴァイって、なんでドイツ語? 紛らわしいから僕は普通にセカンドカメラと呼ぶことにしよう。
僕がそいつを起動させると、遠隔で視覚情報と位置情報が送られてくる。これまで大学の監視カメラにアクセスすることもままあったが、それと似たような感覚だ。
揺れる視界。送受信の具合も決して良好とは言えないレベル。それでも確かに、街灯に照らされた夜の歩道を進む映像が僕に届いている。沢が走っている。
想像するに、沢は藤林から受け取ったキーホルダー型セカンドカメラを、まさにキーホルダーとしてスマホに付けたのだろう。彼の腰周辺、上着のポケットから伸びたような視界だった。
この視線の高さに動き。うん、これは新鮮だ。まるで沢と一体になったかのような気分だ。
彼はこの研究室を出て走り続け、大学を東西に分断する大通りを北上。一旦自宅に寄ると、荷物を持って地下鉄の駅へと向かっていた。この辺りでは比較的大きく、娯楽施設や飲食店の多い駅。彼の目的地は、その駅に併設された食料品店のようだった。
早足で店内を抜けてスタッフルームの扉を開く。そして中にいた人物に声をかけた。
「店長、お疲れ様でーす」
その人は両手で持っていたダンボール箱を下ろすと、沢に気づいて声を返す。
「おー、沢か。お疲れさん。あれ? お前、今日シフトだったか?」
「何言ってんすか、店長。俺の助っ人は先週までだったでしょ」
「え? ああ、そうか。がっははは。そうだったそうだった」
恰幅の良い中年の男性が、腹を太鼓のように叩きながら言った。
「そういやさっき給料の計算したんだった。待ってろ、今持ってくるから」
店長の男は事務所に向かって踵を返すと、机の上の茶封筒を手にして戻ってくる。
対して沢は、遠慮がちに片掌を前に出す。
「いや店長、俺、今回の給料はいらないって言ったじゃないですか」
「なんだそりゃあ。つってもお前、こっちだって渡さないわけにはいかないんだぞ」
店長は冗談をあしらうように笑う。
沢は戸惑いから一瞬だけ眉を曲げたが、すぐに何かを閃いたらしい表情を見せた。
「わかりました。じゃあ、受け取ります」
その封筒を右手で受け取り、すぐ左手に持ち替えて反対向きで差し出す。
「ん? どうした?」
「俺は今、給料としてこの金をもらいました。んで、謝礼として今、また渡すんです」
「謝礼?」
「今回の助っ人の件、給料はいらない代わりに相談があるって、前に言いましたよね?」
沢の行動に、当然、店長は首を傾げるばかりだったが、沢はそこでかしこまってこんな説明を述べた。内容はこうだ。
自分が大学で行っている研究で、光が人体に及ぼす影響を調べていること。統計的データを得るため、いくらかの人に十分に安全な範囲内で協力を募っていること。そのための人員を集めたサンプリングの機会が、手違いにより設けられなくなってしまったこと。実際に行うのは、種々の機材で生成した光を複数の状況下で視認してもらい、気分や感覚の変化を、用紙の項目に従って記入する形式であること。などなど。
まさかこの沢が生真面目に予行演習などしたかどうかはわからないが、実験会で大勢を前に説明することを見越していたような口上だ。
突然の話に店長はやや目を丸くしたが、最後に沢が
「所要時間は一人たったの二十分。シフトの休憩の片手間でオーケー。謝礼は今の俺の給料、割る、協力人数!」
と駄目押しを言うと、急に大声で笑って答えた。
「がっはっはっは。なんだお前、そんなことならもっと早く言えばいいだろう! 謝礼なんかいらんぞ。帰りにここで夕飯の材料買ってくれればそれでいいさ」
そして差し戻された封筒を素早く受け取り、 沢の頭にポンと乗せる。地面に落ちそうになった封筒を、沢は慌ててキャッチした。
「お前の立会いが必要なら、とりあえず今日来てる従業員に声をかける。別の日も来てやりたいならやっていい。場所は休憩室しかないが、それでいいか?」
尋ねられた沢は、願ってもないという様子で満面の笑みを浮かべる。
「はい! あざます店長!」
「よし。じゃあちょっと悪いんだが、このダンボールだけ運ぶの手伝ってくれんか。クリスマスが近づくとなあ、面倒でも店を飾らにゃいけんのよ」
「あはは、任せてくださいよ!」
それから沢はスタッフルームの休憩室を借りて、被験者を相手にした。パートの主婦、バイトの学生、正社員と様々な人から用紙を回収し、閉店間際には店長にも書いてもらっていた。
なるほど。沢の狙いはこういうことか。
この日、沢は自分の元バイト先に駆け込んで、十数人からの回答を得た。たかが十数人。しかしこれは、重要な十数人分の回答だ。実験会で一度に手にするはずだった何百人分もの回答がなくなり、一人分の回答すらも得られなかったこれまでを思えば、明確な前進に他ならない。
実験会の再実施はもはや不可。道端で呼びかけてもキャッチセールスのようで相手にされない。ならば残るは、こちらから出向くまで。沢はきっと、そう考えた。
手段は地味。手間は絶大。非効率的で賢くない。だが、ツテを頼っての回答集めは、現時点では最も確実に前に進む方法かもしれない。集めるまでの時間と、それだけの数の当てがあるのかという問題は残るが、それを差し引いても、沢のフットワークの軽さと顔の広さを加味し、まったく期待できないということもないだろう。
おそらく最近の沢は、このための下準備をしていたのだ。めっきり研究室に顔を出さないで。
沢は結局、深夜零時まで営業する食料品店の閉店を見届けてから帰宅した。自宅にて、使用した機材や備品の点検をし、回収した回答用紙を一枚ずつ確認して丁寧にファイルに収めた。
翌朝、彼は再び食料品店に顔を出し、正午前になると、今度は大学の法学部区画、その中の一棟に足を踏み入れていた。慣れない場所ゆえか、恐る恐る周囲を気にしながら階段を登り廊下を進む。そうして辿り着いた教室では、ちょうど昼食前の授業が終わったところであった。
講師が退室し、学生が席を立ち始める直前というわずかな好機を見計らって沢は教壇に立つ。
「皆さん、こんにちは! 突然失礼します。僕はこの大学の四年生で、今携わってる研究に必要なデータを集めて回っています。その研究っていうのが――」
沢が声を張り上げている間にも、学生たちはようやく授業から解放されたとばかりに雑談を始めている。持参した弁当の包みを取り出す人たち。連れ立って外へ出て行こうとしている人たち。まったく沢のことなど眼中にないという人から、沢のことを横目でとらえてはいるものの、わざわざ話を聞くつもりはないという人まで様々いる。だがいずれであっても、このままでは実験への協力など見込めないだろう。
沢は一通りの説明を終えると、壇上から踏み出して学生たちに直接声をかけることにした。
それを嫌厭したいくつかのグループは足早に外へと行ってしまうが、無理に追いかけることはせず、沢は残ったグループを順に回る。しかしどこの対応も素気無いものだ。限りある昼食と雑談の時間を邪魔されたくないという雰囲気がありありと感じ取れた。
沢の顔には可能な限りの愛想笑いが浮かべられていたが、内心穏やかではないかもしれない。
そんな中で例外だったのは、教室後方に陣取っていた、沢が最後に声をかけたグループだった。そのグループは、授業終了時から沢のことなど歯牙にも掛けない様子で、中でも一際騒がしく話し続けていた。男子学生六人ほどが、椅子に机に腰掛けて輪を成している集団。時折数人が手を叩いて笑う声は教室の全体に響いている。
隙をついて沢が話しかけると、輪の中の一人が振り返った。そして意外にも大袈裟なリアクションを示した。
「あれ!? 沢じゃん? そうだよな?」
「え?」
「やっぱりそうじゃん! 沢叶夜! 髪の毛真っ黒だけど!」
いきなり思ってもみなかった反応をされて戸惑った沢だが、二秒ほどの硬直の間に記憶を漁ったのか、目の前の男と似たようなテンションで飛び上がった。
「あ! お前、寺田! 寺田和樹!」
「あっはは! そうそう! 大正解!」
「二年のときの、学祭の企画委員以来か?」
「だよな! やば、久しぶり過ぎる!」
突然生まれた会話に驚いたのだろう。残りの五人の学生は、ただ黙って二人に視線を向ける。
寺田という男は、腰掛けていた机の上でコマのように身体を翻し、あっけらかんと尋ねた。
「沢はこんなところで何してんの? ここ、法学部の授業やってるとこだけど」
「知ってるよ。ちょっと色々あって、さっき入らせてもらったんだ」
「マジ? この授業の単位取んの?」
「違う違う。てか寺田、やっぱお前、俺の渾身の説明聞いてなかっただろ」
沢が冗談交じりに笑ってそう指摘すると、寺田は「え? 説明? わりわり。こっちの話に夢中で」とやはり笑って答えた。
「んで、何?」
さきほどまで気にもしていなかった割には、今度は打って変わって興味津々といった様子だ。
沢は手に持っていた用紙を見せ、普段の説明を少し噛み砕いて寺田に話す。
他の五人は既に別の会話に興じていたが、寺田はきちんと最後まで沢の説明を聞いた。
「へぇ、要するにアンケートみたいな?」
「んー、まあ、実際はもうちょっと複雑だけど、だいたいそんなやつ」
「へぇー、卒論かー。うちはそんなに厳しくないけど、沢の学部じゃあこんなことやってんだ」
寺田はそんな感想を零すと、腰掛けていた机からぴょんっと飛び降りる。
「いーよ。面白そうだし、俺やるぜ!」
それを聞くと、沢はまた一瞬固まったが、すぐに身を乗り出して
「本当か? 助かる! じゃあちょっと、こっち、来てくれるか」
と機材の置いてある教室の前方へ走っていく。
寺田は属していた輪に向かって「ちょっといってくるわ」と告げると、沢のあとに従った。
それから沢は、寺田に対して機材と備品のセッティングを行い、実験を始める。手際を見るとかなり慣れてきたようで、素早く工程を進めていった。途中、被験者である寺田としても面白い点があったのか楽しそうに見ていたのは意外だ。
そうして一通りの作業を終え、あとは用紙への記入をするばかりとなったところで、寺田がペンを動かしながら言った。
「単に卒論って言ってもさぁ、学部によって全然違うよなー」
対して沢は、機材を点検しつつ答える。
「確かにそうだな。うちの学部の場合は、どの研究室を選ぶかでも、また結構違う」
「こっちも、選ぶゼミによっては大変なところもあるかな」
寺田の属す法学部のような文系学部では、三年進学時に自身の参加するゼミを選択するらしい。ちょうど、沢たちが四年生になったときに研究室を選ぶのと似たようなものだろう。
「てか沢だってさ、わざわざ別の学部にまで押しかけてデータ集めるとか、なかなかハードなことやってんじゃん?」
「まあそれに関しては、ちょっと手違いもあったっていうか」
「ふーん。ところでこれ、いくつ集めんの? 五十くらい?」
「あー……できれば八百とか」
「……は?」
そのとき寺田は音もなくペンを止めた。信じられない答えを聞いたという様子で顔を上げる。
沢はそんな寺田には気づかず、機材と睨めっこしたままで先を続けた。
「七百とか六百くらいでもセーフかもしれないんだけど、まあ、そんくらいかなー」
寺田は思案顔になる。しばらく沢を見つめていたのは、返ってきた答えが冗談やハッタリの類ではないと判断するまで、時間を要したからだと思う。やがて寺田は立ち上がると、その場で振り返って声を張る。
「おーい! 中村と花井ー、小森もー、あと健司も久登もー。お前らもこれ、書いてやってくれよー」
反応したのは、さきほどまで寺田が属していたグループの五人だ。突然呼びかけられて「えー?」とか「なんだよー」といった声が上がる。しかし、あくまで友人の申し出であるからか、めいめいに立ち上がってこちらに歩いてきた。
沢はポカンとした顔で寺田を見ていた。
「あそこの女子たちも一応知り合いだから、呼んでくるわ」
「え、でもそんな」
沢が何かを言おうとしたが、しかし寺田はそこで、沢の両肩をガシッと掴み真顔になる。
「いやいやいやいや、とりあえずやってもらっとけって。だってお前、八百はやべーよ。集められるときに集めとかんと」
沢はその勢いに思わず「お、おう」とだけ答えるのだった。
寺田の斡旋の賜物か、なんと蓋を開ければ、その教室に残っていた全ての人が実験に協力してくれた。もちろん中には露骨に面倒そうな人もいたが、それでも貴重な昼休みを割いてくれるというだけで、沢としては十分感謝に値する。やはり顔も知らない沢に言われるのと、一応は同じ学部で同じ授業を受けている寺田に言われるのとでは、結果も違うものである。誰だってそうだろう。しばらくの間、同時に複数人の対応をすることになった沢は大忙しだったが、それも嬉しい悲鳴に相違なかった。
やがて実験に手を貸し、昼食も終えたという学生たちは、順々に教室から姿を消していく。いつの間にか、教室に残っているのは沢と寺田だけになっていた。おそらくここは、次の授業では使わないのだ。
午後の授業が、あと五分で始まる。廊下には、寺田を待っている五人がいる。
沢は荷物をまとめて立ち上がり、教室の電気を消して言った。
「結局みんなに声かけてもらっちゃって、悪いな。恩に着るよ」
「いーよいーよ」と寺田は今更のように昼食の菓子パンを齧っている。
「にしても、その様子だと、ここ以外にも回ってるんだろ? お前がこんなに必至に駆けずり回ってるなんて、なんか意外だよな」
「はは。ホント、自分でも意外だよ」
曖昧な様子で笑う沢。寺田はそんな沢を横目で見てニヤリとする。
「沢ってさ、大抵のことはすぐに出来て、器用で、でも出来ないことを頑張ってやるくらいなら、やらずにスルーしてる方が格好良い派だと思ってた」
「まあ、だいたいあってる」
「でも、これは珍しく真面目じゃん?」
そう尋ねられたとき、沢は小さく、だが確かにはっとしたような表情を見せた。
「……真面目、に見えるか?」
寺田はそれには気づかなかったようで、食べ終わった菓子パンの袋をくしゃっと丸めてポケットにしまう。
「え? 見えるよ。こんなの一枚一枚走って集めるとか、一見ダセーけどカッコイイじゃん」
そうして教室の出口に立つと「じゃーな。ほどほどに頑張れよ」と言って去っていった。
沢は誰もいなくなった教室で、大声で叫ぶ。腹の底から、嬉々として。
「ああ、サンキュな!」
「バカヤロー! 出て行けこの裏切り者ー!」
またある日、『サークル棟』と呼ばれる建物にて、沢は豪快な罵声を浴びせられていた。
サークル棟はその名の通り、大学公認のサークルに割り当てられた専用の部屋が集まる棟である。大学の中ではかなり僻地とも言える場所に存在するが、横薙ぎの夕陽が建物の影を伸ばす頃合いに、沢もそこまで足を伸ばしたというわけである。なんでも自身の経験上、この時間帯が一番、学生があの棟に集まるのだとか。
だが結果は惨敗。初っ端に訪ねた当てから盛大に追い返された。沢は慌てて棟から見えない道路の隅まで走ってくる。
「っはぁ……はぁ……いかんいかん、あのアカペラサークルは、二年のとき大事なイベント直前にバックレてから、それっきりなんだった」
なんと。そりゃあ、そんなことをしておいてノコノコ実験協力など募りに顔を出せば、追い返されても文句は言えない。
「にしても、あの先輩まだいんのか。もうM2だろ」
修士になっても忙しい合間を縫ってサークルに顔を出す人は多いと聞く。
そして最近気づいたのだが、沢のスマホに吊り下げられた揺れに揺れるこの視界は割と酔う。沢はそんな僕のカメラの紐を引っ張ってスマホを取り出すと、道路脇にへたり込んで言った。
「ちっ。あのサークルはダメだ。たぶん、先輩連中はまだ怒ってんだろうなー。まあ、あれは確かに悪いことをしたかもしれん。俺のアカペラへの情熱が急速に冷め失われたとはいえ」
かもしれないではなく明らかに君が悪い。
しかし沢は相変わらず悪びれもせずに、スマホのメモ帳に記入をした。アカペラ、×。
このように、訪問した当てが二十件を超え始めたあたりから、沢はスマホのメモ帳にリストを作成することにした。非常に合理的な方法だと思う。一つ一つ確実に漏れなく回っていける上、得られた回答の数も間違わない。こういった集計は、どうせあとからやることになるのだから先にやっておいて損はないだろう。
「とりあえずサークル棟はいつでも行けるから、どこかのついでにまた来るか」
サークル棟は沢にとって複数の訪問先が集まっている場所だが、今戻るのは得策ではないと判断したらしい。反感を買ったアカペラサークルを横目に別のサークル相手の訪問はできまい。
実際、多くの当てを回る過程で、こういったことは珍しくなかった。サークルやバイトを初めとして、沢が前触れなく急に顔を出さなくなったことによって痛い目を見たコミュニティがどれだけ多いのかを僕は知った。この男、ここ数日で尋常ならざる数の『昔の知り合い』を見せてくれたが、その中にはいくつかこの類の相手が含まれている。快く迎えてくれる場所もいれば、二度と敷居を跨がせてもらえないであろう場所もあるのだ。僕としては感心もするが、それと同じだけ呆れもする。
「よし、休憩終わり!」
沢は手に持ったスマを再びポケットにしまうと、白い息を散らしてまた立ち上がった。
「めげずに次行くぜ。なにせ『研究は足で稼ぐもの』だからな!」
なるほど。そんな決め台詞を言っていた人間がいるのは知っているが、文字通り本当に足で稼ぐとは夢にも思っていなかっただろう。
沢が次に訪れたのは大学の男子寮だ。男子寮全体はいくつかの棟に分かれており、今回訪ねたのは四番棟。一年のとき、よく一緒に教養科目の授業を受けていた知り合いが、ここの住人であると言う。連絡を取るのはかなり久しぶりだが、上手く寮にお邪魔させてもらうところまでこぎつけたらしい。
沢は正面玄関から入って、寮生共用のリビングとでもいうべき広間に辿り着く。するとそこは、確かに男子寮のリビングに相応しい様相を呈した空間だった。
この寮自体、築年数はそう経っていない。ゆえに床、壁などは綺麗と言える。この部屋もそれは同様であり、決して汚くはないのだが、とにかく、とにかく物が多いのだ。
天井すれすれまでの高さを誇る本棚に、隙間なく漫画やディスクが並べられている。壁にはアイドルやらバンドやらのポスターが所狭しと貼られており、隅に大きな冷蔵庫が二台。共用のパソコンもハイスペックなタワーとスリムなノートで二台、さらにテレビは三台もある。入口から左を向けば、小さめのテーブルが二卓並び、それを挟む形でワイドソファが四脚。そして右には、なんと電動の麻雀卓がドンと大きく構えていた。おそらくこのリビング、間取りとしては相当に広い。しかしそれがまったく実感できないのは、置かれた家具や備品等で一回りも二回りも狭く見えるからだろう。いや、実際に狭いのだ。訂正しよう、このリビングは狭い。
沢がそんな光景を前に驚いているところへ、目的の人物は麻雀卓から手招きをした。
「沢か。わざわざ呼びつけてすまないな」
「いや、こっちこそ。突然連絡してわりぃ、杉浦」
杉浦と呼ばれたその男は、短い髪に太い首、大きな胸板に手足という、非常にスポーツマンらしい体躯をしていた。やや強面で、いかにも実直そうな印象を受ける。
沢は床に散見される雑誌の束や幾多の箱を避けながら、彼に近づいていく。
「にしてもすげーな、ここ」
「寮生全員の趣味の集まりだ」
杉浦が端的にそう答えると、横に座っていた中性的な顔立ちの男が付け加える。
「趣味の集まり、の成れの果てね」
するとすかさず杉浦が
「加藤だ。で、こっちが竹内。二人とも四年で、この四番棟の人間だ」
と残りの二人を紹介し、沢が「どうも」と軽く頭を下げるのを見届けると言った。
「実験の協力者を探しているという話だったな」
「そうなんだ。えっと、引き受けてくれるってことで、いいんだよな?」
「引き受ける。この二人にも話してある」
頷く杉浦に、沢は「助かるよ」と安心したように息をついた。そうしてさらに続ける。
「あと、ちょっと不躾で悪いんだけどさ……もしよかったら、他にも寮の知り合いとか、引き受けてくれそうなやつがいたら紹介してくれないか?」
「そうくると思っていた。そこで提案があるんだ」
「提案?」
「ああ。今からこの四人で麻雀しないか。沢が勝ったら、四番棟の住人全員に、実験の協力に応じるよう、俺から頼んでやる」
「ぜ、全員!?」
自分から発した問いかけが、思いがけない提案となって返ってきたこと、さらにはその内容を聞き、沢は飛び上がった。無論、それは僕も同じだ。僕も沢と同じだけの驚きを感じている。
なにせ、この四番棟の住人全員が実験に協力してくれるというのだ。そんなことになれば、五、六十人分は下らない数のデータが、一度に手に入る。
沢は恐る恐るといった様子でまた尋ねる。
「本当か?」
「ああ、それくらいは俺の権限で可能だろう。今、この寮の長は俺だからな」
「長?」と首を傾げる沢に、杉浦は表情一つ変えることなく淡々と説明した。
聞けばこの四番棟では、二年前に電動麻雀卓を購入して以来、住人全員が漏れなく興味を示したのだという。購入当時はあまりの人気に、昼夜問わず席が埋まり続けていたとか。けれどそんな状態は、あまり良いとは言えないだろう。ほどなくして必然的に、誰からともなく声が上がった。ルールを決めよう――いや、どうせならエキサイティングなルールを決めよう、と。
彼らはノートに各人の点数を記録し、その日限りではなく継続的な勝負を楽しめるようにした。一ヶ月という期間を設け、月頭に各人から期間中の予定を募って対局カードを組み、それに従って対局を行う。そして月末の時点で最も点数の多い者が、次の一ヶ月間、四番棟の長となる。長は麻雀卓と対局運営の管理を行う代わりに、住人に対しなんでも指示をすることができる。そういうルール。彼らはこれを二年間続けているらしい。
「なんか……すげぇことやってんな」
「面白そうだろう? 実際、面白い」
「ああ、確かに面白そうだ。でも、いいのか? そんなところに部外者の俺が入っても」
沢の疑問はもっともだと思えた。それだけしっかりルールを決めて行っている対局に、住人以外の人間が関わってよいのだろうか。
「欠員が出たんだ。実家の法事らしくてな。まあ、そういうこともたまにはある。やむを得ない欠席の場合は、本人の持ち点から減点を行った上で、ゲストを招くことになっているんだ」
「なるほど。それで、今回のゲストが、つまり俺だと」
杉浦は鷹揚に頷いた。
「そういうことだ。俺たちとしては、ゲストにも極力真剣にやってほしい。だからこその、この提案。背負うものがある方が、勝負は燃える」
要するに杉浦は、寮の住人の実験への協力を餌に、沢をこれから麻雀に付き合わせようという腹のようだ。勝ちを条件にすることで、今日限りのゲストである沢にも真剣に取り組む理由を作っている。この場にいる三人の協力は、さしずめここまで足を運ばせた手数料といったところだろうか。その提案の律儀さには、この杉浦という男の性格が表れている気がした。
沢は黙し、考える。正直なことを言えば、今の沢に遊んでいる暇など一秒だってない。ここを終えたら次の当てに向かってまた走るつもりでいた。麻雀一回、真剣勝負。長引けば一時間以上かかるだろう。そうなればのちの予定を変えざるを得ない。
けれど、上手くいけば大きく前進。まさにちょっとした博打である。
何より、沢も初めのうちは、ただ効率を求めてひたすらに知人を巡る日々だった。しかしだんだんとそれが消化されていくにつれ、どうしても先の見当がついてしまうものだ。現状、リストアップした当てを巡るだけで得られる回答の数に不安があることを、沢は薄々認識していた。だからこその、正しい打算の上での判断だと、僕は信じたい――彼がニヤリと笑ったのは。
「やるよ。俺も腕に覚えはあるけど、そういや杉浦と麻雀したことは、一度もなかったよな」
「助かる。二位以上で勝ちと考えてくれ」
杉浦は沢に、空いた電動卓の一辺に座るよう促し、扱い方を説明する。その話しぶりは相変わらず無表情で淡白なものだったが、それでも言葉の端々から、わずかな気分の高揚が見えた。そんな杉浦が自分の席に戻るまで、沢がじっと見つめていると、彼は不思議そうな顔をした。
「どうした?」
「いや、楽しそうだなって思って」
すると杉浦は少しだけ笑みを見せる。
「わかるか? 俺はよく、仏頂面で楽しそうに見えないと言われるんだが、そうじゃないんだ。真剣になると、どうしてもそういう顔になってしまうんだ」
「でも、真剣にやらなきゃ楽しくない」
「そう、その通りだ。よくわかってるな、沢」
それに答える沢の表情は、とても自信に満ち溢れていた。
「ああ、俺も最近、ようやくな」
僕は、沢が麻雀をしているところなんて、これまで一度も見たことがない。でも不思議と、不安はなかった。根拠はまるでないが、沢がこういった道楽に長けていることは容易に想像ができた。そして優秀であるこの僕の予測は、滅多に外れることがない。
彼は結局、一位を勝ち取った。危なげなく加藤が二位。続いて杉浦が三位。やや点差が開いて竹内が四位だ。最後の一局で竹内が沢に大きな点を与えたことが決定打となった。
それが非常に悔しかったのか、対局終了後に竹内がすぐさま再戦を要求したが、沢は苦笑いで断るしかない。また時間のあるときに呼んでくれればいつでも、と。
そして彼ら三人分の実験データを得て、沢が寮の出口に立つ。
「付き合わせて悪かったね」
「いや、俺も面白かったよ」
そう言って送ってくれたのは、杉浦ではなくなぜか加藤だ。杉浦と竹内については、沢がリビングを出る際に
「おい杉浦。こんな上手いやつ連れてきちゃダメだろ。点なくなるよ」
「何を言う。上手いやつとやらなければ上手くなれないだろ」
と口論をしながら、仲良く先の一戦の反省会をしていたので置いてきたのだ。
「じゃあ、約束通り、四番棟のみんなには話を通しておくよ。全員いっぺんに協力するのは難しいだろうから、何日かに分けて来てもらうことになりそうだけど……いいかな?」
「ああ、もちろんだ。休日でも深夜でも、いつでも連絡くれ。飛んでくるから」
「あはは、君も大変だねぇ。寒いから気をつけて」
「ありがとう」
加藤は人の良さそうな笑みを浮かべ「一段落したらまた遊びに来なよ」と手を振ってくれた。
それから沢は、寮の門まで走ってくる。振り返ると、加藤がまだこちらを見てくれていたことに気づく。そこで沢は、両足を揃えて回れ右をし、九十度に腰を折って深く頭を下げた。
日に日に気温は低くなる。冬が深まっていく。それでも、沢はあまり厚着をしない。彼はとても寒さに強い。あとは、走って体温が上がると、上着は最後には手荷物になるからだろう。
上気した沢の吐く息は、道行く他の人のそれよりもいっそう白い。僕はその白く染まった息を見るのが好きだ。ふわりと口から生まれては、ゆっくりとまた空気に溶けていく。それは、僕にはできない芸当なのだ。何しろ僕には口がない。
世間では師走も大詰めだった。
そして沢のタイムリミットも同様だ。彼の知人巡りも年内が限界、それ以上データ集めに走っても、今度は卒業論文そのものを執筆する時間がなくなってしまう。こればっかりは白坂にも梅田にも任せることはできない。彼が自分で書かなければならない、自分の卒業論文だ。
さらに言えば、年内ギリギリまで走り続けることも、実質的には不可能と思った方がいい。年末は誰しも忙しく、旅行や里帰りをする人もいる。それぞれの生活で手一杯だろう。
加えて何より、沢の当てそのものにも限りはあるのだ。もはやこの頃になると、今までのようなコミュニティとしての訪問先――一度に一定の数を見込める集団の相手は底を尽きていた。
だから一人一人、個別に協力者を探すしかない。連絡を取って、場所と時間を決めて、こちらから出向く。それでようやく一人分のデータを得る。無論、効率は悪い。でもそれが残った最後の手段だった。
沢は駅中の、大きな時計を中心にした広場、その脇の柱を背にして時間を潰す。時刻は午後八時。会社帰りの人が多い。
「おーい。さーわくーん」
そして沢の待ち人も、またそうだ。かつてのバイト先の先輩で、今はこの駅の近くの企業に勤めているらしい。
「飛鳥さん。お疲れっす」
「もーホントにお疲れよー。最近仕事多いのよねー」
「はは、大変そうっすね」
現れたのは、洒落たロングブーツとベージュのトレンチコートに身を包んだ、やや長身の女性だった。わずかに茶味がかった肩下の髪。薄い化粧に小さなイヤリング。学生とはまた違った、社会人らしい大人の女性という印象を受ける。そんな雰囲気にはちょっと不釣り合いな、ふわりとしたピンクのマフラーと手袋は、内に残したわずかなあどけなさの表れかもしれない。
飛鳥と呼ばれた彼女は「ふっ」と小さな溜息をつくと、薄い疲労の浮かんだ顔を隠して優しげな笑顔に変えた。
「まあでも、そっちも大変みたいね。久々に連絡してきたと思ったら、何? 卒論の実験って」
「いやぁ、実はっすね」
歩き出しながら、沢はこれまで百近くも重ねてきた説明を飛鳥に行った。屋根伝いに駅から離れ、地下に下ってカフェに入る。そしてカウンター席の奥に腰掛けると、実際に用紙と機材を取り出して見せた。
「へぇ。沢くん今、こんなことしてるの」
「はい。こんなことしてるんですよ」
彼女はそれらの機材を物珍しそうに見て尋ねた。
「これが今の沢くんの、楽しいことなの?」
「え?」
「だって、君、よく言ってたじゃん。『楽しいことしかしたくない』って」
確かに、それは沢が常々口にしていることだ。何気ないその質問に、僕は、沢が少しだけ顔を固くするのを感じた。けれども彼は、すぐに元の快活な表情を取り戻して「まあ、そっすね。ちょっと、色々あって」と笑うそうして話を本題に戻し
「時間はそんなにかかりません。コーヒーでも奢るんで、それ飲みながらお願いできますか」
と、目の前に立て掛けられたメニューを取って、隣に座る飛鳥に渡した。
「えー。一応、社会人である身としては、学生の後輩に奢ってもらうのは気が引けるなー」
「気にしないでくださいよ。謝礼も兼ねてるつもりです」
遠慮して見せる飛鳥に、沢がそう告げる。
すると彼女は途端に「そう? じゃあねぇ」とメニューを受け取り、嬉々として飲み物を選んだ。それから沢が、自分と彼女の二人分の注文を店員に伝える。少しして飲み物が運ばれてくると、詳しい手順の説明を行って実験を始めた。
行程が半分くらい進んだところで、慣れてきたのであろう飛鳥は再び口を開く。
「にしてもさ。こんな日まで協力者探してるってことは、沢くんも相当お尻に火がついてるね」
機材から出る光を覗き、周期的に用紙への記入を行う彼女。沢はそれを監督しながら答える。
「まあ……本当ならもう、卒論書く材料は、全部揃ってなきゃいけない時期っすよね」
「そうじゃないよ。あれ、もしかして沢くん、気づいてないの?」
しかし、沢の返答が的外れなものだったのか、飛鳥は思わずといった様子でこちらを向いた。そして言った。
「今日、クリスマスイヴだよ」
沢は、その言葉の意味がすぐにはわからなかったらしい。呆けた顔で両の目を瞬かせる。
それを見た彼女は、可笑しそうに大きく笑った。
「あっはは。やっぱり忘れてたんだ。でもその様子だと、ずっと研究室に籠ってるってわけでもないんでしょ。周りの様子とか見て気づかなかった?」
さすがの沢も、これには少し顔を赤くする。
「いや、クリスマスが近いのは、そりゃ知ってましたけど……まさか今日だとは。すみません、俺……こんな日に呼び出して」
ペコペコ頭を下げるが、対する飛鳥は、あとに続く笑いを隠すこともなく楽しげに言った。
「いいよ、別に。むしろ、こんな日の仕事終わりに一人でフラフラしてる私の予定を埋めてくれて、ありがとう」
「うわぁ、めっちゃコメントし辛いっす」
沢としては、苦笑するしかなかったようだ。すると飛鳥はつんと唇を尖らせる。
「ちょっとぉ。そこは気の利いた返しの一つくらいしてよ。あ、じゃあもう一つ何か奢って。ねぇ私、このクリスマス限定ケーキがいい。これ買って」
目聡くメニュー付近に置いてあるケーキ型のポップを見つけると、それを指で示してねだる。
「そしたら回答、二人分書いてあげるから」
「いやいや二人分って……そういう反則は、あとからバレると怖いんで遠慮します」
「じゃあ一人分ちゃんと書くから。だから買って、買って買って買って」
駅で会ったときに感じた飛鳥への大人っぽさは、もはや何処かに消えてしまった。ただ、沢は彼女のこういう性格を知っていたのだろう。「仕方ないなぁ」とでも言いたげな表情で笑った。
「わかりました。買います、買いますよ。でも、先にそれ、終わらせてからにしてくださいね」
うん。そうするのが賢明だ。この様子だと飛鳥は、ケーキを与えたら実験のことなどコロっと忘れてしまいそうである。
彼女はパッと花の咲くような笑顔を浮かべると、短く「ありがとっ」と言った。
クリスマスケーキは二種類あり、二人はそれらを一つずつ注文した。二つのケーキをさらに半分ずつにし、分け合ってフォークでついた。
地下街の雑踏は、店の奥の方にいてもよく聞こえる。何しろ今日はクリスマスイヴらしいから、それらも随分遅くまで、途切れることなく続くのだろう。この店にも空席はあるが、それでも常に七割くらいの席が、客の入れ替わりを伴いながら埋まり続けている。
二人はケーキを食べ終えて身支度を整えると、どちらともなく席を立った。約束通り、沢がレジで会計を済ませ、先に店の外で待つ飛鳥のところまで歩いていく。
「なーんか悪いなー。飲み物もケーキも奢ってもらっちゃって」
「いーですよ。飛鳥さん相手にこれなら、安いもんです」
そんな軽口に、彼女は正面から回り込むようにして、沢に顔を近づける。
「なーにをー? よーし、じゃあ今から焼肉行こう! 今度は私が奢るからさ! 沢くんも、晩ご飯まだでしょう?」
彼女は沢の空いた手を取る。その突然の提案に、しかし沢は、首を縦に振ることはできない。
「え、いや、まあそうですけど……駄目ですよ。俺、このあとも行くところがあるんです」
「えー、ちょっとくらいいいじゃんー。行こうよー。行きたいー。奢るからー」
まるで幼い子供のような飛鳥の誘いに、沢はまた、苦笑を浮かべる。
「飛鳥さんの言った通り、ケツに火が付いてるんですって。肉じゃなくて俺が焼けます」
普段ならば快く誘いに乗るところなのだろうが、今日ばっかりはそれも例外だ。何度か食い下がるも、やはり脈がないと判断したのか、最後には飛鳥は「ちぇ、じゃあ一人で行くかー」と残して手を引いた。え……一人で焼肉? もし本当に行くなら結構なおひとりさまレベルだ。
「すいません、ほんと。あと、すごく助かりました」
沢が改まってもう一度頭を下げる。すると飛鳥は、駅と逆の方角へ向かって一歩先に立った。
「いーよ。ま、またなんかあったら連絡しなよ」
「はい。ありがとうございます」
沢の礼を緩く笑って受け取った飛鳥は「うん、じゃあね」と言ってゆっくりと歩き出す。
それを見届けると、沢もやや遅れて踵を返した。彼女の行き先とは反対の方に向かって。
やがて二人の距離が徐々に離れ始めたとき、僕は、飛鳥が首だけで振り返ったことに気づく。
「沢くん」
「……はい?」
声に引かれ、沢も、不思議そうに振り返った。そこにいたのは、白い歯を見せ、嬉しそうに微笑む飛鳥だった。
「ちゃんと、楽しそうだね」
そして彼女は今度こそ、その足で地下街のタイルを踏みしめ、カツカツと小気味良い音を響かせて去っていく。惚けていたらしい沢に、それを呼び止める時間はなかった。沢はしばらく、彼女の背中を黙って見つめていた。その間、沢が何を考えていたのか、僕にはわかる。
――ちゃんと、楽しそうだね
うん。そう……かもしれない。楽しい、のかもしれない。意地でも卒業するって決めて、これはそのために必要なことで……でも、ちゃんと楽しいって、思い始めてるのかもしれない。沢はそう思う。
そしてすぐに、今は考えている暇などないと気づく。提げた袋に、まだ白紙の回答用紙が残っている。でもきっと大丈夫。その答えは、これを集め終えたときにわかるだろう。
沢は誰に向けるでもなく、力強く、思い切り笑う。
「さ、あと少しだ!」
彼は走り出す。
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