第37話


「うっ・・・傷口から・・・血が溢れている・・・?まずいな・・・」


その光景をみたイブリースはニタッと笑みを浮かべた。


「随分と苦しい顔をされていますね。あなたの傷口は私の能力で支配されていますよ。

もはやあなたの血液は私の思い通りです。んふふ。」




イブリースはそう言うと右手の拳を強く握った。するとベリアルの傷口から大量に血液が溢れ出そうとした。

だがその時ベリアルは片手で傷口を覆い自身の能力、時間を支配する能力を使い傷口の時間を戻し

何とか血液を奪われるのを防いだ。



「イブリースよ、簡単に私の血液は奪えんぞ。貴様の能力は何百年も前から

知っているからな、考えれば回避することはできる。」




それを聞いたイブリースは目を輝かせた。



「そうです、そうですよ、ベリアル殿、もっと楽しみましょう。

んふふ、デスサイズ能力・エア・無限針地獄」



イブリースはデスサイズを使い能力を発動させた。カラスは血液を放出させながら

空中を飛び回り、辺り一体を血液で染めた。


ベリアルは事態をうまく把握できず困惑の表情を見せた。



「その困惑の表情たまりませんね。んふふ、さぁ始めましょうか。」




イブリースが手を振り上げると辺り一体にある血液が針状に変化しベリアルに襲いかかった。


その針はまるで生き物かのように変化しベリアルを追い詰める。



「さすがにこの針たちは避けきれぬな・・・私もデスサイズを使うしかないか・・・」


ベリアルはそういうと懐中時計を取り出しデスサイズを発動させた。



「これはあまり使いたくないのだがな・・・デスサイズ能力・クロノス・カイロス・時空間支配」




能力を発動させると部屋一体に文字盤が広がった。文字盤の針がグルグルと回りだすと

イブリースの能力で襲いかかってきた血液の針たちの動きが止まった。

さらにベリアルが指を鳴らすとイブリースの能力は強制的に解除され


その様子を見ていたイブリースは不気味な笑みを見せながら発狂した。




「この状況は一体・・・あー・・・興奮しますよ。時は満ちました。

私もあれを使わせていただきますよ。はぁー・・・んふふ」



イブリースはそういうと何やら呪文を唱え始めた。

すると、天から不気味な赤い光が降り注ぎその光景を見ていたベリアルは何かに気づいた。




「この光・・・禁じられた能力?イブリース・・・お前・・・まさかあの能力を使えるのか・・・?」



イブリースの体を赤い光が包み込み、その体を血液が覆いかぶさった。



「んふふ・・・この時を待ち望んでいましたよ・・・この能力を扱えるのは私の特権でもありますからね。」



イブリースの不気味な笑い声、明らかに周りの雰囲気が変わった。

そして力を増しドス黒く変化し針状の血液がベリアルを襲った。



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