第35話


「まずはルシファーの転生の話から話そう。お前は特別な転生者なのだ。」



「特別な転生者?ですか?」



俺はいきなりすぎておうむ返しのような発言してしまった。




「そうだ、初代大王はある魂を使ってある魂を作り出したのだが

その魂は冥府で代々受け継がれているのだ。それは冥府では【受け継がれし転生者】と呼んでいる。

それがルシファー、お前のことだ。」



俺は驚いた。体の震えが止まらない・・・俺は頭が混乱しベリアルの言葉がうまく理解できなかった。

そしてベリアルは話を続けた。


「だが・・・お前は普通の受け継がれし転生者ではない・・・さらに特別だ。

ルシファーには・・・お前には初代大王【ハデス】の魂が宿っているかもしれない。」



俺は混乱していたが呼吸を整えベリアルに質問した。



「すみません・・・うまくまだ理解はできていないですが、俺が特別だということはわかりました。

ですが、特別だからと言って何か変わるんですか?」



ベリアルはまた深くため息をつき手を上へかざした。すると周りに灯されていた黒炎が

一点へと集まりその黒炎から黒いアカシックレコードが現れ部屋の中を埋め尽くした。




そのアカシックレコードには代々受け継がれてきた転生者たちの記憶が記録されていた。



その記録は・・・受け継がれし転生者の宿命・最期などの記憶だった。



代々受け継がれてきた魂は皆、最期は同じ宿命となっていた。


転生者たちの最期はサタンが暴走しハデスの力によって暴走は治まるが

転生者はその力に耐えきれず皆、肉体が滅び消滅していた。


だが今までの転生者と俺とでは、違うところが2つあった。

それは転生後の名前・サタンとの共鳴がうまくできていないことだ。


過去の転生者たちの記憶を見てみると転生者の名は全員、【アスタロト】という名だった。





その時、記録を見ていた俺の頭の中に声が聞こえていた。



(新たなる転生者よ、そして私の名を継ぐ者よ。お前には私の力、記憶が受け継がれる。

今はまだ完全ではないが時期にわかることだろう。この冥府を変えてくれ。)




俺の体は震えていた。そして動揺を隠しきれない俺にベリアルが話しかけてきた。





「ルシファーよ、わかったか?お前は特別なんだ。今までの転生者とは違い

お前は器、精神、そして名を受け継いだ。


お前こそ真の受け継がれし転生者なのだ。今のこの冥府を変えるにはお前の力が必要だ。


ただしルシファーの力はまだ完全ではない。

初代大王の力・内なる者の力を完全にコントロールする力をつける必要がある。


それが出来てこそ完全なる覚醒の能力となるだろう。

本来であれば何かのきっかけにより、リミッターが外れ覚醒するのだろうが・・・

待っている時間はない。その力を今ここでつけてもらう。」




ベリアルはそう言うと「クロノス・カイロス」と能力を発揮しようとしたが、

誰かが地下のドアを破り部屋に入ってきた。



「いやぁーここに来るのは私たちがまだ競い合っていた時ですかね・・・」


その声を聞いた俺は体が凍りついたように硬くなった。



(この声は・・・ゴーシュ先輩をやったやつの声だ・・・イブリース様か・・・?)




声を聞きベリアルは話だした。



「イブリースか?ここに勝手に入ってくるのは四天王でも許していないはずだが?

それにドアを壊して入ってくるとは様子もおかしいが何の用だ?」



ベリアルは鋭い目つきでイブリースに問いただした。




そしてイブリースは不気味な笑みを浮かべ話だす。




「んふふ、ベリアル殿は相変わらずですね。全く・・・考えが甘いお方ですね、んふふ

今日は全てが変わる日です。なぜなら赤い月ですからね。

あなたには赤く染まっていただきます。」




イブリースが赤い月について話だすとベリアルの表情は硬くなり、ルシファーに話だす。



「ルシファーよ、今すぐ逃げろ。この場はもう安全ではない。早く行け」




ルシファーが逃げ出そうとするとイブリースは能力を発動した。



「んふふ、エア・牢獄・【カルケル】」



イブリースが能力を発動すると、体の周りから物凄い量の血液が溢れ出し

ルシファーの体の周りを血液が囲い

その血液は具現化し牢獄となりルシファーは身動きが取れない状態となった。






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