第3章・覚醒の能力者


「なぁアントニー?よく考えたんだけど準備って何するんだ?俺、冥府に来てから荷物何もないからさ

特に準備するものないんだよ。」




(死神の特訓とやらも人間と一緒で着替えや食料など何か準備が必要なのだろうか・・・)

そんなことを考えているとアントニーが答えた。



「ルシファーちゃん、アビリティカードは持っていってね。能力の確認とかで使うから。

後、ソウルテリオは持っていったほうがいいよ。」



「ソウルテリオ・・・?なんだそれ・・・」



アントニーは色々言っていたが、なんのことを言っているのかわからなかった。




「あっそうだよね・・まだわからないか・・ソウルテリオは冥府の万能薬だよ。

このソウルテリオがあれば大体の怪我は治るんだよ。能力を使いすぎて精神力や体力の回復には

もってこいだよ。いくつか持ってるからあげるよ!これ持ってきなよ。」





アントニーはそういうとソウルテリオを3個くれた。ソウルテリオの見た目は光の塊みたいで

回復薬だと教えられなかったらただの飾り物だとしか思わないだろう。


俺とアントニーは準備を終わらせるとアザゼルとの待ち合わせ場所に向かった。



待ち合わせ場所まではアントニーが先導してくれた。



「なぁ待ち合わせ場所ってどこなんだ?」



「うーん・・どこって言われるとなんて説明したらいいか・・・

死神トンネルはわかるでしょ?そこの裏へ回ると小さな泉があるんだ。そこの近くに冥府の者でも

ほとんどの者が知らない異世界へ繋がる時空の歪んだ洞穴があるんだけどそこが待ち合わせ場所なんだ。」




アントニーは一生懸命説明してくれたがほとんど何を言っているのかわからなかった。

そもそも俺はまだ冥府についてほとんど知らないからだ。アントニーもきっと言葉を選びながら

説明してくれたのだろう・・・困った顔をしていた。俺は心の中でアントニーに謝った。




「ついたよ。ここが待ち合わせ場所だ。もうすぐアザゼル様も来るはずだよ。」

なんだかんだ話しているうちに待ち合わせ場所へついたらしい。



「ここが待ち合わせ場所か・・・死神界にもこんな場所があるんだな・・・」




俺が言うと同じ世界の転生者ということもあって意味がわかったらしくニコッと笑うと話し出した。





「言いたいことはわかるよ。ここ以外、死神界って殺風景だもんね。

タナトス協会はすごいけど僕たちが住んでいた世界と違って自然みたいなものはないし

死神界にある自然なんてここだけだよきっと・・・」



アントニーは悲しげな表情をしていた。声をかけようとして時だった・・・背後が凍るような気配がした。




(ものすごい殺気だ・・・何かがものすごい速さで近づいている・・てか俺気配を感じられるのか?)


俺は自然と気配を感じられるようになっていた。そしてすでにその気配の正体が背後にいた。

俺はすぐに後ろを振り返った。



(なんだこいつは・・・狼男か?でもこんなところにいるなんて聞いてないぞ・・・

すごい殺気だ・・・殺される・・・。)



アントニーの方を見るとアントニーは笑っていた。狼男は手を振り上げた瞬間俺は諦めて目を瞑った。



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