第2章・決戦の始まり


イブリースは大王に呼ばれ大王の部屋に来ていた。



「イブリースよ、無断転生者の目星はついたのか?」



「いえ・・・まだ目星はついていませんが

大王様から伺っている転生者以外で聞いたことのない転生者がおりました。」




大王は、冥府に無断転生者がいるということに確信を持ち異様に焦りを見せていた。



「それは本当か?ならその者で間違いないだろう。すぐに捉え我が元へ連れてくるがよい

転生者の生死は問わない。邪魔する者は容赦なく殺せ。すぐに行動へ移せ」




その言葉を聞いたイブリースは不気味な笑みを浮かべていた。

イブリースの脳内はどう殺すかそれしかなかったのだ。





「必ずご期待に応えてみせます。お任せを・・・」

(貴様の時代はそろそろ終わるぞベリアル、早く引き裂きたい・・・)




イブリースはそう言い残すと大王の元を去っていった。



そしてイスラはその様子、会話を全部聞いていた。

「早急にベリアル様にお伝えしなければ・・・」とベリアルの元へと急ぐのであった。







この時誰もがイブリースが何を企んでいるのかなど想像もできなかった。

ここからイブリースの暴走が始まり冥府の崩壊が始まる。








その頃ベリアル宮殿では・・・

大王とイブリースの話を聞いていたイスラがベリアルの元へ訪れていた。




「ベリアル様大変です。先日お話しされていた通り

大王とイブリースは何か隠しております。」




イスラは息を切らしながらベリアルに訴えていた。



「やはりそうだったか・・・それで何を掴んだのか?」



「はい」

そしてイスラは先ほど聞いた大王とイブリースの会話を全てベリアルに伝えた。




「なるほど・・・大王とイブリースはそんなことを・・・

その転生者とはルシファーのことかもしれぬな

奴は受け継がれし転生者の可能性が高い。」



ベリアルは1つ確信した。

2代目タナトス・現大王は初代とは違い転生の儀式はできない。


転生の儀式とは受け継がれし転生

それは・・・

大王の力を分け与え器を作り代々続いてきた記憶・力を憑依させることだ。




(だが転生の儀式は大王の特権のはず・・・それが出来ないとなると現大王は・・・)



「ベリアル様?」


イスラが話しかけてきた。


「ルシファーが受け継がれし者とおっしゃいましたが、

実は私もそのように感じていました。名前もそうですが・・・

何より名が決まった時、一瞬雰囲気が変わったかのように感じました。

気のせいかとも思いましたが、この騒ぎが起こるという事は間違いないかと・・・」



イスラは転生の案内人だ。

そのイスラが感じたということであれば間違いないだろう。



だが問題はもう1つある。

奴はハデス【初代タナトス】の魂が宿っている可能性がある・・・

これは調べる必要がありそうだ



「イスラ、私は少しの間留守にする。悪いが見張りを頼めるか?

何かあれば私のファントムシャドーに言ってくれ、そうすれば私にも伝わる。

ファントムは私そのものだ。守ってくれる。」



イスラは少し心配そうな顔をしたがベリアルの言葉を黙って受け止めた。

「わかりました・・・無理はしないで下さいね。お気をつけて・・・」



そしてベリアルは宮殿をイスラとファントムに任せ宮殿を後にした。



(どうかご無事で・・・)

イスラは遠ざかっていくベリアルの後ろ姿を心配そうに見ていた。




この時ベリアルは後に自分の身に起こる危険を全く考えていなかった・・・。




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