第5話小さな山でも緊張する事はある
「頼むから人であってくれ」
日常生活を送る中でそんな気持ちになる事ってそんなに無いと思われます。どんな時に、思うのかな…って考えてみると結構、環境が特殊で例えば海で泳いでる時に、スーと向こうから何かがやって来る。パニック映画みたいなシチュエーションじゃないと抱きません。私の場合だとやっぱり山ですかね。
山道を歩いている時に、遠くで何かがこちらに歩いて来てる時。昔、天辺が禿げている山があって、そこに登って町を見渡しながら煙草を吸うのが好きだったんです。健康目的での登山でもあるのに煙草を吸う矛盾した行為ではありますが、喫煙者からすると、美味い場所ってのがるんです。絶景、空気の美味い場所で煙草を吸うのは本当に美味いです。ああ~生きてるなぁ~って思えるんですよ。
それを感じる為に登ってたんですけど、まぁ茶色い塊が向こうからやって来ると緊張するんですよね。田舎ですから、シカ、イノシシ、サル、そしてクマかも知れませんからね。ガチっと体が固まります。脂汗がジトーと流れ出てきます。眼が悪いので何かハッキリ見えるまで緊張しちゃうんですよ。
シカは結構な確率で逃げてくれる事があるんですけど、角が立派な奴ってやっぱり強気なシカが多くて、こちらに動じずツカツカ歩いて来たりするんです。あの角に突かれるのは相当痛いです。奈良の修学旅行であったんですが、それはまた別のお話。
イノシシは会った事はそんなにないんです。でもあいつら、野性で鍛えられてムキムキの肉ダルマになっているんです。それが時速40キロで突っ走って来るんですよ。イノシシって猪突猛進で走ったら止まれないなんて思われてますけどあれ、嘘です。結構、ぶつかる直前まで方向修正しますし、方向転換もかなり早いです。しかも対象物を仕留める為に牙を鋭く研いでいます。それで内腿の太い血管突き刺して来ようとしますからね、本当に緊張します。
サルは野性のヒャッハー系です。滅多に会わないです。でも見かける時は集団です。集団のサルを見掛けたら、まずゆっくり気付くまで後退りします。やばい野生動物にはそういった対応が基本なんですが、サルの集団が向こうにいたら確実にそうします。獲物と認識された時に、サルの集団から全力で追いかけられます。私の友達がかつてそれで捕まってズタボロになりながら救出した事がありました。後、どうしようもないんですけどサルは単体だと奇襲が多いです。横の茂みから飛び掛かる事があるんで、マジで怖いです。噛むし、引っ掻くし、絡み付いてきます。
んで、当然ですがクマには会いたくないです。あんなん、自分の身長の半分でも関わりたくないです。最近はご飯が取れないのか、人里にも降りてきますけど他の三匹とは違って、サイレンが鳴るくらいです。
さぁ、正体は何か…とじっと待ってるんです。心臓はバクバクです。バクバクしながらも頭を使わなきゃいけません。んで、姿がハッキリ見えた!って時に拍子抜けするんですね。それは禿げ山の近くのお婆ちゃんで、健康の為に腰を曲げながらも登山してたんです。「なんだよもぉー」ってなります。お婆ちゃんはもう野生動物の仲間みたいな扱いなのか、運が良いのか、謎のオーラがあるのか、夏でも寒いって厚着して、杖だけ持ってれば何とかなります。
私とかは笛やらスプレーが必要になります。マジで、必要です。たとえ小さな山でも皆さんは注意をして行きましょう。
でもね、山ってさ神聖な場所でもあるんですよ…。どうか、獣であってくれって場面も実は存在しています。海は幽霊が大半ですけど、山は未だに神様や妖怪が出ます。これはまたの機会に話せたらと思います。
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