第4話バウリンガルと算数芸
前回のフクロウの話の続きみたいなもので私の家は昔から多くの生き物を飼っていたし、住み着いていた。昔は牛、馬、ヤギ、ウサギ、豚、犬、猫、フクロウを飼っていた。車庫には代々、とあるタヌキの一族が冬の時期になると住み着いていた。動物を沢山飼っていると、庭や畑を通りがかる生き物もいる。
シカ、キツネ、イタチ、テン、アナグマ、ハクビシン。確かに私の家の近くには山があるのだけれど、当たり前のように出くわす。最早、近所のお爺ちゃんよりも出くわしている。んで、決まって立ち止まった後に全力で走り出す。いい加減私たちに慣れて欲しいと思ったりもする。
で、動物と出くわす回数が多いと思ったりするわけです。この動物たちとお話出来ないのかなと。吉田戦車の世界みたいに、当たり前に会話出来たらと思うわけです。でも現代って凄いですよね。犬猫の気持ちが分かる機械を開発したんです。聞いたことあると思います、バウリンガルって奴です。
ある日、普段はパチンコをしないお父さんが酔った勢いでして勝ちました。更に勢い任せで、ペットショップで買って来たのがこのバウリンガルでした。酔ってるとはいえ、ペットショップを選ぶ思考は当時理解出来ませんでした。お母さんは返品しろ怒っていましたが、お姉えちゃんが鶴の一声「でもさ犬猫飼ってるし、良いじゃん!」こうして我が家にバウリンガルが置かれることになりました。
このバウリンガルはボタンを押して声を読み込ませ認識した時にピピ!っと音が鳴り、結果が表示されるタイプでした。犬の感情の顔が表示されるタイプもあるそうですが、顔表示を犠牲にして約、150の言葉を詰め込んだそうです。それが優秀な位置にあるのかは分かりません。
このバウリンガル、犬専用だったんですが、なんせ猫もいるので気になって猫が鳴いた時にどんな感じになるのか試したりと、有効活用されました。しかも音声認識機のくせにナイスな反応をしてくれます。
お父さんは当時、犬に芸を教え込んでいました。それは算数の計算です。「1+1=?ワン、ワン。」と言いながら犬の前でサラミを食べる。犬に堂々と見せつけながら食べる。「ワン!(食べたい!)」←バウリンガル認識。好奇心と寄越せという感情の混じった声で吠えます。根気強くそれをやる事によって、芸を取得しました。
そして試しに、算数芸をしている最中に音声認識をさせることにしました。きっと、「食べたい!」って結果が出るんだろうなと思っていたんですが、出た結果は「めんどくさい」でした。これは、結構な高確率で出ていました。
でも、こうなるのは分かるんです。
算数芸を覚えさせようと決めて、覚えこませてからも何かある度にずっと、算数をさせられるんです。しかも、お父さんが自分だけで食べたいと思っている時、飼い犬はお父さんの近くによりお座りをします。(算数やるから、それを寄越せ!)って意味です。
お父さんもちょっと冷たいし、察しが悪いといいますか「おう、よしよし」で終わってしまうことがあります。飼い犬は算数来い…算数来い…と眼がガン開きで涎が垂れてる状態です。けど、算数がなく全部食べられてしまいました。もうブチ切れです。めっちゃ吠えまくります。
そして、座っているお父さんの太ももに乗っかり首に噛みつこうとします。頸動脈を絞めるのはライオンやチーターの世界です。家の中が野性の世界に変わります。
で、そんなのが多々あってからあまり算数芸をせず、とにかく寄ってきたら分けてあげるをするようになりました。ですが、たま~にやりたくなるみたいです。んで、飼い犬としては何で急に算数芸なの…ってなるわけですよ。
皆も、ちょっとした物真似とか自虐ネタとか弄られ芸があると思います。いや、あって欲しいです。だってない人ってプライド高そうじゃないですか。私にはそれがあるんですが、めんどいとか思ったりするんですよやっぱり。それと似たような事が起きてるんだろうなと感じます。
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