23 先の長い話



 という事で、「休め」とご主人様に言われたので、言葉通り休憩しました。

 ずっとあれしなきゃこれしなきゃって考えてたから、休んだらちょっと気分がすっきり。

 疲労もすっかりとれて、ミスが少しだけ減ったような気がします。


「あらあら、チヨったら元気そうね。いつも元気だけど、今日もとっても素敵で元気よ」


 モップがけをしていると、リア姉さんが「うふふ」と笑いながらやって来ます。

 違いがよく分かりませんけど、ありがとうございます。


「チヨが元気だと空気が賑やかになるし、毎日楽しくて良いわ」

「ありがとうございますっ!」

「あなたはこのお屋敷で一番最近やってきた新参者だから色々と苦労するかもしれないけど、これからもよろしくね」


 皆さん本当に親切で、良い人です。

 ご主人様も意地悪ですけど、根は良い人ですし。

 だからそんな皆さんのご期待に添えるように頑張っていこうと思います!


「はいっ!」


 ガツン。

 ガシャーン。


 だけど、振り回したモップの柄が、近くに飾ってあった花瓶に激突。

 大破壊を生み出してしまいました。


「きゃあああっ! 大変ですっ! ひゃわわわわ!!」


 するとどこからか聞きつけてやってきたご主人様が、ニタリと笑いながら「お仕置きだな、チヨ」無情な宣告をしてきます。


 さては待ち構えてましたねっ!

 ご主人様の悪魔っ!


 優しいときは小悪魔でお仕置きのときは悪魔になるなんて、器用すぎますっ!!


「ほら、今日はお前に面白い玩具を試してやる」

「ひいいいっ、だれか~っ、助けてください~っ!」


 あうう、皆のご期待に添えるまで、先が長そうです。

 

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