花びら

 書いている途中で流れが変わり……。1話目の美術部の下りを書き換えてまで、予定外の環ちゃんのエピソードを挿入してしまいました。


 手を離してしまった、友達。

 20年経った今も、棘は抜けません。


 卒業後、当時の友達の一人が、ぽつりと「あの時は、あの子に悪いことをした」と言っていました。

 皆、ひとりひとりは、いい人なのです。

 それなのに。


 相性というものはあります。

 その時は我慢ならない、ということもある。

 一緒にいたい。一緒にいたくない。

 どちらの気持ちも、大事なのです。


 じゃあ、どうしたらよかったんだろうなぁ…。



 大学生の時に、ボランティアで、小学校でいじめを取り上げた授業にファシリテーターとして入ったことがありました。

 グループの話し合いの中で、ひとりの少年が呟きました。


 「いじめたらダメだっていうのは分かる。……じゃあ、どうすればいいと?」


 真摯な問いでした。

 大人向けに用意されたキレイな回答ではなくて、彼が精一杯考えた末の言葉なのだと思いました。

 私は言葉に詰まり、当時の私の精一杯の考えを伝えましたが、彼には響かなかったでしょう。


 ホントだね。どうすればいいんだろうねぇ…。



 満開の桜は美しい。

 けれど私は、枝から離れ、宙を舞うひとひらの花びらに惹かれるのです。

 その潔さに。儚さに。


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