第2話
何もかもが嫌になると、いつもの癖で、真琴は南の山を眺めていた。
白い雲がなびいており、一時も絶えることはない。
あまりにも巨大な存在であるため、それが実は有限であることを忘れてしまいそうだ。
天は、万物が永遠に止まることを許しはしない。
名声も、富も、権力も、生命も、砂浜に描いた絵の如く、いつかは波にさらわれ虚空の彼方へ消えて行ってしまう。
世の中には、これを聞いて虚無感に青ざめる人間、束縛から解放されて安堵を得る人間の2種類がいるが、真琴は後者だった。
「どれだけ優れた者であっても、それは有限な存在にすぎん。」
ここに、僻みや劣等感、自虐心といった禍々しいものが秘められていることを薄々と彼は感じてはいたものの、無視することにした。
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