コンビニ無法地帯(カオティック)

HiroSAMA

第0話

 世界は争いでできている。


 それを隠し、見えなくしたのはお花畑の思想。

 あるいは為政者が民衆を家畜化するために欺しているのか。


 平和な世界が素晴らしいという意見には悲観主義者ペシミストの俺も賛同するが、食料の生産量とそれを消費する者の数が釣り合っていなければ、奪い合いが起こるのは必然。

 薄っぺらい方便ウソは簡単に剥がれ落ちて、この火星ホシの大地みたいに薄汚れた地金が露出する。




「てめぇ、俺の飯場テリトリーで、なにやってんだ!」

 なけなしのプライドに目をつぶらせ始めたゴミ漁り。

 ようやく食べられそうなものを発見したと思ったら、領主を詐称する浮浪者が現れた。


 どうやらこんな残飯でも、相手には命をかけて守らなければいけない物らしい。


――噛まれたら病気にでもなっちまいそうだ。


 自分に向けられる目は野生の獣みたいに血走っている。


 俺――マグナム・田中はせっかくみつけた残飯を、支配者様にぶつけるように献上してやると、薄暗い夜の街を走りにげだした。

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