第133話 帝国軍VS王国騎士団
(さて、兵の報告だと未確認の兵器は遠距離から一瞬で味方を肉片に変えた・・・と。すると遠距離に特化した攻撃魔法のようなものか? ならば防御を固める必要があるな)
出陣の準備を整えた史上最強の騎士アルフレートは、先ほど得た敵の情報を分析していく。矢や投石で無い遠距離手段を持った軍団と対峙するのは、初めての経験だった。
基本的に魔法使いは国同士の争いごとに関与してこない。魔法というのは習熟するのに時間が掛かる上に、一流の魔法使いは高い地位が約束されているので軍に所属しないというのが大きな理由だ(そして国としても戦で貴重な魔法使いを失うリスクは侵したくない)。
そして冒険者達は、基本的に国同士の争いに関与してはならないという決まりがある。だからこれまで戦に置いて対魔法の備えをすることは無かったのだが・・・。
(ふむ・・・となれば・・・)
アルフレートはずらりと勢揃いした自身の騎士団を見て、一つ頷いた。
「敵は遠距離攻撃を行う未知の兵器を所持している。遠距離特化の魔法使いが多数在籍している軍との戦いになると心得ろ!」
『ハッ!』
「大盾を準備せよ! 戦法は例のアレで行く!」
その指示で騎士達は皆持っていた盾を置き、武器庫から大盾を取り出した。
フスティシア王国の紋章が入った一辺1メートルの正方形という特徴的な盾。厚さ10ミリの鋼で作られたその盾は、重さもかなりのものだ。
一般的に大国の精鋭部隊で使われている盾や防具には、ミスリルを用いられる事が多い。革製品ほどに軽く鉄より固いという希少な金属だ。
馬鹿な事を、とアルフレートは考える。
ソレを扱える技量と筋力さえあるのなら ”重さ” は立派な武器になり得るというのに・・・。
「未知の兵器とはいえ恐れる事は無い! むしろ敵に恐怖を刻み込め! 我らは世界最強の騎士団なり!」
◇
戦場で睨み合う両軍。
帝国軍5万に対し、アルフレートの率いる騎士団の数およそ5千・・・。
戦力差およそ10倍。しかし帝国軍の兵は皆緊張した面持ちでごくりと生唾を飲み込んでいた。
一糸乱れぬ動きで行軍してくる目の前の騎士団は、世界最強の軍団・・・いくら数で勝ろうが新兵器を持っていようが侮って良い相手ではない。
グランツ帝国将軍のレイ・ヴァハフントは、進軍してくる敵の兵を見てある事に気がついた。兵が皆正方形の奇妙な盾を手にしているのだ。
(・・・ミスリルかオリハルコンの大盾でも装備しているのか? さては生き残った兵の証言でこちらの兵器が遠距離用の武器だと予想して対策を立てた訳だな・・・流石は史上最強の騎士よ。・・・だがその程度の事、この我輩が対抗策を用意していないとでも?)
確かに新兵器 ”スマッシャー”は強力な兵器だ。しかしそれだけで勝てるほど戦は甘くないと言うことも、歴戦の戦士であるレイ将軍は知っていた。
スマッシャーの対策は強固な大盾での防御で正解だ。しかし盾で防御をしながらの進軍はどうしても足が遅くなってしまう。
レイ将軍はニヤリと笑って後方部隊に指示を飛ばした。
「”投石機” の組み立てにかかれ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます