第8話 引っ越しー
「引っ越しっていつ???!?!」
途切れ
途切れ
の声で聞く。
「来年の二月頃にはね…。」
と母は父の代わりに残念そうに言った。
父と母の目を見ることが出来ずに
私はうつむいた。
唇をギュッと結び
涙が溢れる。
顔が赤く
頬が、紅潮した。
ポロポロと涙があふれ出る。
その涙を指で抑えながら
我慢した。
姉はジッと黙って
うつむいた。
そんな事って、なぜ…なぜ…。
いやいや、そんなはずはない。
本当なの!!!!!!
叫びたい気持ちを…必死で抑えてると
母が静かに言った。
「トモちゃん、ごめんね。なれた学校からの転校は辛いと思うわ。」
私はあふれる涙を堪えて
「嫌だ!!!!!」
と言って父達を困らせた。
父も
「我がままは通らない…。」
と厳しく言うだけだった。
「無理なんだ…」
無情にも聞こえる声、父を睨みつけるように
自分の部屋に入っていった。
ー嫌なもんは嫌だ…。
このままいけば、この中学校で暮らしていけたのに…。
この学校で、卒業出来たのに…。
それで良かったのに…。
いつもそうだ。
この家族は間違っているのに、
屈しなければならない。
そう感じた。
ーどうしようー
友達とも、なべ君とも別れ別れになってしまう。
彼は何て言うだろうか。
なんて言ってくれるだろうか…。
胸の中にある感情を吐き出した。
父さんなんて
嫌いだ。
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