第23話にしても部屋多いな。
各自、自分の名前の書かれた段ボールを持つ。荷物の量はみんな意外と大したことなくて、そのほとんどが衣類だ。そう考えると父さんたちの荷物多すぎんだろ。と、箱に詰めるのが大変だった親たちの段ボールを睨んだ。どうせ家にちゃんと住むなんてことなさそうだし、荷解きしないでそのまま部屋につっこんどいてもいいんじゃないかな。
「じゃあとりあえず部屋案内するからついてきて」
俺も案内しきれるか不安なんだけどね。広いから。まあ父さんたちも合わせれば十人で住むことになるわけだからこれぐらい広くないと部屋の数足りないでしょ。何を隠そう、ここのペントハウスを選んだ理由はあんまり目立つところにないからっていうのもあるけど、最上階まるまる俺たちの家にできるからだ。
「まずエレベーターから出てきて最初の空間がロビー。何も置くものないし、ライブの練習とかするのにいいかもな」
幸いあそこの床は絨毯だったので、なんと体操とかもできる。しないでいいけど。
「で、入ってきたここがリビング。奥に見えるのがルーフバルコニー。椅子とかテーブルとかおいてもいいし、何か育ててみるのもありかも」
「ほんとですか!? わたしお花植えてみたいなって思ってたんです~!」
うんうん、さくらが嬉しそうでよかったよ。目がキラッキラだね。
「ここ通るとこっちはダイニングルームねキッチンと繋がってて、そこにストレージがある」
「ひろーい! みんなでお料理したりできるね!」
うん。今日も雪が天使だ。確かに前は俺の家か芽里の家の狭いダイニングキッチンでぎゅうぎゅうになりながらやってたもんな。キッチンに広いスペースがあるからこっちにもテーブルを置いて、一緒に作業するのがいいかもしれない。
「んで、こっからロビーに戻れる。次こっち行こうか」
俺は入ってきて左手の扉を指さした。
「あっちなにー?」
用途がよく分からないと言わんばかりに芽里が首をひねった。まあぱっと見何かわかんないよな、俺も間取りおぼえるの必死だったもん。
「そこはユーティリティっていうらしい。ミシンとかアイロンとか、洗濯機もここにおけるかな」
「そんな専用のスペースがあるなんて……」
俺もびっくりだよ。説明されるまで何か全く分からなかったからね。いかんせん十六年間あのアパートに住んでたからさ……あのセキュリティーガバすぎる家……
「ユーティリティ抜けるとちょっと廊下があって、その奥が洗面所。あの扉の先はシャワールームね。ここはゲストルームと繋がってるからゲストルーム用の洗面所だと思うけど、ゲストルーム使ってないときは全然使ってオッケー」
「ゲストルーム専用のとかあるのか……さすが高い家だね……」
「ねえ~」
高い家ってなんだよ。金銭的にも物理的にも高いね。とツッコミを入れつつ、俺は扉を開く。
「言った通りここが一つ目のゲストルーム。父さんと母さんが帰ってきたら、ここ使ってもらおうと思ってる」
しっかし広いな、この部屋。
「一回さっきの廊下に戻って、こっちの廊下に行くと、さっきのゲストルームの奥にあるもう一つのゲストルームがあるんだ」
「あ、じゃあうちの親はそっち使うってこと?」
「ご名答」
何とそっちにも洗面所ついてるんだ。おっそろしいね。いいけど。さて、左手側の説明は大方終わったので、今度は右手側に行こう。
「ちなみに一つ目のゲストルームにはダイニングルームからいけるよ」
ロビーに戻って、右手の扉を開く。
「シューズインクローゼットある!!!」
あ、それは知ってるんだね、芽里。そこにあったのは通り抜けられるタイプのシューズインクローゼット。人数が多ければ靴とかも増えるけど、これがあればコートなんかも収納できるし便利だと思う。まあ右手の扉にあるものはこれだけなので、何度目かのロビーにこんにちはして右奥に進んだ。
「はい、トイレです」
入ってすぐにあるトイレっていいよね。ここの説明は以上です。ということで、廊下を挟んだ向こう側の部屋に入る。
「おおー、部屋!」
「雫月の部屋だよ」
そういうと、彼は瞳を輝かせた。
「広いね、物が多いから助かるよ」
雫月は本好きなので、本棚が置けるようにちょっと他の部屋よりも広めの部屋を選んだ。この部屋だけリビングと繋がってるんだぞ、おめでとう。
「次はこの扉の向こうね、トイレ」
「トイレ多いな」
うん、俺も思った。でも人数いるから多い方がいいよ。
「隣の扉が洗面所で、その奥にお風呂があるよ」
冒険してるようで楽しいのか、雪がにっこにこで奥に入っていき、そして大きな声を上げた。
「すごーい!! お風呂広い!!」
天使だ。お兄ちゃん雪が楽しそうにしてくれて本当にうれしいよ……
「じゃあ向かいの部屋開けようか。芽里の部屋ね」
雫月の部屋よりはちょっとばかり狭いけど、かなり広いと思う。
「うわー、何にもない!」
当たり前だろ。今から自分の荷物入れるんだよ。
「ねえおにい、雪の部屋は? 雪の部屋は!?」
ツンデレの妹のデレが到来した。ひゃっほう。ツンの雪も可愛いけどデレの雪も可愛い。結論、雪は可愛い。
「雪の部屋は隣。見ていいよ」
芽里の部屋からでて扉をさすと、雪はそおっと自分の部屋を覗く。そして目を見開いた。
「雪の部屋だあ!」
喜んでもらえてうれしいよ。前のアパートは狭かったから、雪は父さんたちの部屋を自分の部屋にしてたし。
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ペントハウスの間取りを色々調べて頑張って書いてます。大変。
次の更新予定日は一月十一日です!
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