19 寒名山


境寒名きょうかんな駅。八寒地獄の端の方に位置する1大都市の1つ、境寒名。


ここは八大と八寒の境の近くにあり、八寒地獄の玄関口とも呼ばれている、らしい。(詳しくは知らないけど)


駅の中にあるカフェの窓際の一角にて昼食を取りつつこれからの行動を確認することになった。


「ここからは神聖な山とされる寒名山かんなさん、通称 神名山かんなやまを登る」


白が指を指した方を見ると白く、デカくそびえ立つ山が目に入る。


「あぁ、そこなら私、知ってるよ」


とそこそこするであろうパフェを頬張って食っていた奏が会話に割って入ってきて話を進めていく。(ちなみに白と俺は寒名かんな名物の苺を使ったイチゴパイを)


「確か、昔々に地獄の女王ヘルが住んでいた山でその加護があるため神聖な山である。並びに神白神社(かみしろじんじゃ)の敷地でもあるらしいよ」


雪柳さんの家の時とは違いだいぶS度が抑えられている。これも白の作戦であろう、なんたってそこそこするであろうパフェだからな、たとえケチってて見た目だけ高そうな見た目でも。


値段が気になりイチゴパイの1切れを口に入れながらチラッとレジの上にあるメニュー表を見てみる、確か苺パフェだよな。


あった、・・・(日本円で) 700円かよ!?思ったより安かったな、おい、てっきり1000円前後かと思ってたわ。


で、1番高いパフェはいくらだ?


・・・5000円。差がすごい、苺パフェが700円で地獄のフルーツてんこ盛りが5000円、白安いの買ったな。ヤッパリ


ちなみにイチゴパイは800円しました。ハイ


口に含んだパイが喉の奥に消えたところで最後の1切れを俺は口に入れ、目の前に座っている白の顔を見ると、どうした?と聞いてくるので、いやなんでもない電車での話しを思い出しただけだ。と答えた。


思い出したのだちょっとした話しを。



—数時間前—


ドアが閉まり電車は揺れ始め電車はトンネルを抜る。トンネルを抜けたため外の明かりが車内にはいってくる。窓の外では見渡す限りの白銀の世界が広がり雪がチラついている。


この電車は向かい合う方式の椅子のようで俺と白は窓側に奏は白の隣に座った。


ここで1つの疑問を俺は白に投げかけた。


「なぁ、これって終点は秋原(あきのはら)じゃないのか?」


そう、この八寒地獄を走る鉄道、ZR《ゼーアル》八寒と八大地獄を走る鉄道、ZR八大が切り替わる駅が秋原のため大抵の列車は秋原行きなのである。(JRで例えると熱海駅みたいなもの)


「そうよ、クズの言うとうりよ、境寒名で折り返しなんて滅多にないのに」


「・・・あの、クズと言いながら俺の膝を木魚の様に叩かないでくださいな」


さっきから俺の膝を木魚の様に叩く奏にため息を吐きながら呟く。てかこの状況に声をかけてくれないの?白、窓の外なんか眺めてないで。


「痛かった?そんなに痛かったの??ごめん遊ばせ」


ホントにコイツはムカつく、だがそれに乗っかってはいけない、手の平で踊らされるだけだからな。


とここで痺れを切らしたのか、はぁっとため息をついてから白は話し始めた。


「今、八大の交通機関が貨物以外止まっている、そのためなのかなんなのか境寒名で折り返し運転になっているらしい」


そう言うなりなんなり白は俺に新聞紙を投げ渡してきた。


そこに書かれていたのは、雨剣あまつるぎ 青空・処女宮 飛沫は焦熱しょうねつ貨物ターミナルにて現れた巨大鹿を討伐。


「へぇ、青空は八大にいたんだな」


「なによ、主人様ではないじゃない」


奏にも同じ新聞ものが渡されていたようで雪兎の情報ではないことに文句をぶーたらしていた。さすが雪兎LOVE。


「それもそれだか、そこじゃなくてだな」


白はそう言うと青空が載っている記事のすぐ下、”八大地獄 100年に1度の大工事により交通機関ストップ”の記事が記載されている記事を指差す。


「この記事の通り今は貨物以外の交通期間が使えないんだ」


その後に車、俺達乗れないしなっと付け足した。


右斜め前に目をやると主人様はーとまだぶつぶつ呟いている奏の姿があった。





駅カフェから出て今、俺達は寒名山の入り口にある鳥居前に足を運んでいた。


「さぁ、山越えするぞ寒名山」


俺はそう言って気を引き締めた。




☆☆☆☆霊魔界れいまかい☆☆☆☆☆


「ここはどこだ?」


“彼”はそう言ってフードを深く被る。


彼の手には白くギラギラと輝く白魔刀を握りしめ吹雪く山頂の崖っぷちにただ1人立っていた。

彼の後ろの雪には赤黒く血の色に染まっていた。


「コイツらなんも話さないし、寒いしここどこだし」


彼、江真 雪兎(えま ゆきと) は嵐達とはぐれたあと霊魔界の何処かの山頂に、否、雪兎達を襲った敵さん達の支部に飛ばされていた。


「たく、嵐達はいないし、食料ここのをいただいて食うか」


雪兎はそう言ってから赤黒く染まった方に向かって歩いて行った。






名前 江真 雪兎えま ゆきと


誕生日 2月14日 バレンタインデー


年齢 16


性別 男


血液型 AB型


身長 182㌢


所属 富士宮北北高校 2年


部活 剣道


守護星座 水瓶座


好きなもの 寿司(特にイクラ)・リンゴ・汗かいて動いた後の飯・日向ぼっこ


家族構成 祖父・母・父


階級 雪の英雄


属性 雪


最近の悩み 周りが付き合いだして置いてきぼりにされていること



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る