18 ローブを着てGo!


「おい、起きろ」


ん〜、眠い、この声は白か?もうちょい眠らせてくれよ。


「おい、起きろって」


「ん〜、後5分寝かせて」


眠いし寒いしで俺は白の言葉を無視して暖かい布団の中潜る。


「あと5分って、お前はどこぞの定番やろうかってんだ」


その言葉と同時に布団が剥がされ俺は寒い空間に身を置いた。


「おい、寒いんだからそれよこせよ、白」


「青空か、お前は」


白は呆れた顔してこっちを見てくる。


なんか青空アイツと一緒にされるとイラッとするのはなんなんだろか・・・。


そんなことを思いつつ俺は仕方なく布団から出るのであった。サッッッム




それからしばらくして俺たち、否、おれ・白・奏は駅に向かうためにローブを着て白銀の世界を歩いていた。(雪柳さんはまだやることがあるらしい)


白い息を吐き、そして吸うのだがこの極寒に慣れていない俺は息を吸う度に胸の辺りが痛かったりする。


「ローブ《これ》って動きやすいんだな、白」


この現状から目を逸らすため、話を切り込んでみた。


「あぁ、ローブ《これ》はこの八寒地獄の防寒着だからな」


「なるほど、寒いとこだけに寒さを凌ぐ技術が進化してるのな」


確かにな、八大の方は暑さに特化してた着物があるしな、そう考えると当たり前か。


「てか、昨日の夜に白がローブを買ってきてくれて助かったよ」


「奏はともかくお前は八寒地獄に来たことないって言ってたろ」


昨日の夜、俺たち2人が地獄の白熊と戦った時に買いに行ってたのがこのローブという訳だった。


「動きやすいけど中が制服だからな」


「しょうがないだろ、ローブは売ってても服は隣の駅まで行かんと売ってないんだからな」


「まぁ、見ればわかるよ」


今、俺らが歩いている所はおもいっきしな村の中である、そのためにこの村は乗り物に乗り隣町にあるお店に行かないと行けないらしい。


とここで目の前を歩いていた奏がこちらに振り向き。


「白くんと嵐(クズ)、駅が見えてきたよ」


あのさりげなく”クズ”って言ったな、あの野郎。


駅、俺らが今いる崖の下にそれらしき建物が見える。おそらくあれがこの村にある虎虎婆ここば駅であろう。


ちょうど近くに階段があり(おそらく駅に向かう用の)下に降りる。


今さっき虎虎婆駅っと言ったが俺たちのいる所は八寒地獄の虎虎婆らしいのだが、亡者達がいる所は駅の真反対にあるらしくこの村は獄卒の鬼達ひとたちの集落とのこと。


そうこうしてる間に俺たちは駅のホームに足を踏み入れる。


「やっぱりトンネルの駅なんだな」


俺は思ったことをぼやく。


「なんだ?気づかなかったか、嵐(クズ)」


相変わらず、うざいセリフを吐きやがる。


「・・・」


うざいのは無視に限るか?


「おい、嵐(クズ)無視するなy」


「まもなく上り列車が参ります。黄色い線の内側にお下がりください。」


ちょうどよくアナウンスが入りトンネルに列車の光がホームに差し込む。そして電車がホームへと入線してくる。


「よし、乗るか」


「だな」


奏を完全に無視して俺たちは列車に乗るのであった。


「ちょっと無視はないでしょ、無視は」


そんなことを右から左へと流して向かい合う方式の椅子の窓側に俺と白は座る。


「そうだ言い忘れてたがこの列車は八大地獄に入る2つ前の駅で折り返すからそこで降りるぞ」


「「・・・へ?」」


動き始めた車内で椅子に座っている俺と奏はそう聞き返してしまった。



白魔刀はくまとう


使用者 雪兎ゆきと


持ち手の色 黒


刃の色 白


鍔 六角形

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る