第4.5話



この子は一体いくつくらいなのだろう?


鼻の奥にツンとした痛みが走った。



自分がどうなったのかを、どれだけ理解しているのだろう。



「届かないのかな、母親に」



そこまで発して、僕は口を噤んだ。手紙は僕の手元にある。そしてここがどこなのか、自分が誰かもわからない僕には、この手紙をどうしてやることもできないのだ。



「いつか届くといいニャ…」



ニャォ。と俯くノラ。



消えていく手紙を見れずに、僕も下を向いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

届かない手紙 かまくら @huyunosei

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ