第2話 吉岡拓巳→清水隆へ


白い封筒に白い便箋。誰が書いたのかわからない手紙を、僕は読む。



元気か?

お前と最初に会ったのは多分、2年前のあの日だと思う。


あの頃はお互いトゲトゲしててさ、目を合わせては睨み合ってたよなぁ。


高校入学直後でさ、ちょっとばかり威張ってみたかったんだよ。反省してる。


三学期だったかな?体育の授業中に俺怪我したじゃん?

お前が駆け寄ってきた時はまさかと思ったよ。

こいつ優しい奴だなって思った。



それから仲良くなってさ、お前の恋の相談に乗ったりしたっけ…

お前があの子と付き合えたのは俺のおかげだからな?忘れんなよ?



高校卒業して同じ大学でさ、また同じかよ〜って笑ったよな!



本当はさ、お前があそこ受けるって知ってたから俺もそうしたんだ。


笑われるかもしれないけど、俺さ…

お前の事ずっと好きだったんだ。



すぐに休学したから伝えられなかった。というか男同士で好きとかお前に嫌われそうで言えなかった。



だけどさ、もう少し早く伝えておけばよかったかなと思うよ。

もう伝えられないんだからな。



手紙を書けるっていうから、最期に書いてみたんだ。

お前には届かないだろうっていうのも知ってる。



ここに吐き出したいだけなんだ。



もしもこれを誰かが読んでいるなら、こんな奴も世の中に居たんだなって覚えてて欲しい。




清水隆、お前は俺の親友で大好きな人だったぞ!じゃあな!



吉岡拓巳

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る