007――盛りすぎ

 ふと彼女を見ると、黒目が上を向いていた。

「どうかした?」

「うん。なんかモサモサっとしたやつがいるんだけど」

「モサモサ?」

 僕も上を見る。なにもいない。

「なんもいないけど?」

「えー? ゲジゲジみたいなやつよ。見えない?」

「ゲジゲジ……」

 僕はすぐにピンときた。

「それ、お前の睫毛じゃね?」

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