第16話 「時のタマゴ」の呪い。

僕は彼女のアーティファクトを持っていて負けた。

彼女は今丸腰だ。

兵隊は1人だ、何とか身軽さと地の利で逃げ切ってほしい。そう思いながら僕の身体は川に落ちて意識が途切れた。


………

……………


「お父さん!お父さん!!」

この声は聞いたことがある。

トキタマ…?


僕が目を覚ますと、そこは先ほど落ちた場所から少し先にある浅い場所だった。


「お父さん!お父さん!!」

トキタマの声が右側からする。

身体中が痛くてうまく動かない。

トキタマの方を向けない

また右肩に乗っているのだろうか?


目だけで状況確認をしてみると僕の左隣に足が見える。

その人が僕を助けてくれたのだろうか?

でもその人は何も言わない。


次にわかったのは右手にリーンのアーティファクトの感触がある事。

これだけは離さなかったようだ。


何としてもリーンにアーティファクトを返さねば。

早く起きなければ。

そう思っていると隣の人間が話し始めた。


「気が付いたか?」

その声はあのフードの男だった。


「右手のアーティファクトがお前のアーティファクトかと思っていたのだが、肩のアーティファクトがお前のアーティファクトだな」

「珍しいものを持っているな。「時のタマゴ」か…、お前はどこまで知っている?

どうせ何も知らないのだろう?知っていたらあんな戦い方はしないはずだ」


何を言っているのだろう?しかしこのフードの男は「時のタマゴ」について何かを知っている。


「流石に「時のタマゴ」は今のままでは王の所に持って帰れない。だからお前から城に来い。ただ街道をまっすぐ来ては駄目だ。

お前は弱い。

まず南の三の村から南に進んだ山に毒竜が住み着いた。そこにS級のアーティファクトが一つある。助力をあおげ。

次は南の四の村だ。そこにはアーティファクト「大地の核」がある。必ず立ち寄れ。

それから城に来い。わかったな」

何をベラベラと喋っているんだ?何で僕が城に行かなければならない?誰が言うことを聞くものか。


「ああ、一つ言い忘れていた。お前が知らないであろう「時のタマゴ」の呪いだ」


「やめてください!やめてください!!」

急にトキタマがフードの男に向かって行って必死に喋らせないようにしている。


「お前は直接何かができるタイプのアーティファクトではない。この程度の妨害は何にもならん」

フードの男はトキタマを気にもしていない。


「「時のタマゴ」の呪い。それは死ねないことだ。これから先、お前は何をしても死ねない。覚悟しておくことだ。」

そう言いながらフードの男は右手の「万能の柄」に手を伸ばした。


やめろ!!!

これはリーンのアーティファクトだ!

リーンに返さなければいけないんだ!!

持っていくな!


「ふっ、お前は弱い。武器もなければ生きていけないだろう。感謝しろ見逃してやる」


そう言うとフードの男は去って行った。

僕は暫くすると動けるようになったのでナック達の所に戻った。

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