ヤニと病みと恋愛と。
ヤニ
煙草1本目
8月ももうすぐ終わりというのに、容赦のない夏の日差し。
私は学校の外にある喫煙所のベンチでノートパソコンを開いていた。
いくら日陰でも暑い。「暑すぎ」と呟きながら手首の傷を隠すために着ていた長袖のパーカーを脱いだ。
「お、ヒナタじゃん」
片手に蓋を閉められるタイプのコーヒーの缶とタバコ。
やってきたのは教師の荒若先生だった。
「若ちゃん、ヤッホー」
「荒若先生だろ」と言いながら若ちゃんはポケットからライターを取り出し
持っていたタバコに火をつけた。
「で、どうしてここにいるんだ?今授業中だろ?サボり?」
口からタバコの煙を出しながら若ちゃんは話始める
「サボってないです〜、ここで授業の課題作成してたんです〜」
「担当の先生に言ったか?」
「…言ってないw」
「それがサボりというんだ」
若ちゃんは持っていたコーヒーの缶を軽く私の頭にぶつける。
「へへ」と言いながらぶつかった部分を軽く掻いた。
「あ、そういえば私ねタバコ吸い始めたんだよ〜」
私はそう言いながら脱いだパーカーのポケットからpianissimosとライターを取り出した。
「え?なんでまた」
若ちゃんはタバコを蒸しながら聞いてくる。
「えー、なんでって、なんでだろw。簡単にいえば身体を内側から壊して行こうかなと…?」
「ばちばちに病んでる理由じゃねえか。また家でなんかあったのか?」
「簡単にいえば、選挙に行かなくて怒られて、お父さんに叩かれて、鼓膜破れた」
「はぁ??」
私は左耳を指差しながら、笑いながらタバコを吸うきっかけになった理由を話した。
勿論、当たり前のことではないし、若ちゃんがびっくりする理由もわかる。
まぁ、私にはこれが当たり前のことだからびっくりも何もないんだけどね。
「まっ、いつものことですよ。お父さんの虫の居所が悪かったw」
「うーーん、手を出すことが間違っているとはいえねえけどさ…お前も上手く生きろよ…」
上手く生きれたら今こんなことになってないんだよなぁと思いながら私も自分の持っているタバコに火をつけた。
「そういえば、この学校でタバコ吸う生徒お前合わせて2人しかいねえな」
「そうなの?あ、でも私若ちゃんと話す時よくここくるけど生徒あんまりこないね」
「みんないい子すぎるんだよな、てか真面目」
「そうそう、真面目すぎて困るんですよ、おかげでみんなと仲良くできそうにないですw」
「お前が浮いてるだけだよw」
キーンコーンカーンコーンと学校の授業終了の合図の鐘が聞こえてくる。
「あ、授業終わったね」
「俺はもう仕事で行くぞ」
「あいよ!若ちゃんお疲れ!」
「タバコ程々にな」というと、若ちゃんはタバコとコーヒーを持って帰って行った。
「ははは、程々にねぇ」
私はもうフィルターまで焦げてきたタバコを設置されている水コップにつけ、灰皿に投げた。
「_____辞めれたらいいなぁ」
自傷も、タバコも、病むのも
まぁ、無理な話なんだけどね
そう思いながら、私はまた新しいタバコに火をつけた。
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