その28 人手不足です!

今日もごりごりお茶を作っています。ソフィアです。

今も乾いたカモミールとミントを虫食いがないか検品中。


このところ街で流行っている例のお茶をこの前行商人の方々が買っていったのが王都でお貴族様に飛ぶように売れたらしい。それも結構高値で。

この街が流行り病に打ち勝ったと大げさに盛りに盛って宣伝してくれたおかげで希少性と値段がつり上がったらしい。

戻ってきた商人のおじちゃんがあまりの差額に分け前を増やしてくれました。

ただし、これからも優先的に卸すという素敵なお約束付きで。

さすが商人、抜け目ないね。

その話を聞いた他の商人の人たちも差額を戻すから優先してくれと話をつけにきた。

おかげで冬支度分くらいのお金が一気に手に入ったよ、分厚い予約リストと一緒に。

……やったね。

これだと夜も作業しないといけないから優先するなら明かりになる道具が欲しいって駄々こねたらなんとも気前よく王都で流行っているらしい照明を調合の部屋に付けてくれた。

それから手元の明かりになるのとか、乾燥に使えそうな道具とかがそれぞれの商人さんからぽんぽんともらえたので少し作業が快適になりそう。

快適になりそうだけど、その見返りのプレッシャーもすごくてちょっと泣きそう。

間に合うのかな、これ。皆道具を渡すときの笑顔がキラキラしてて怖い。怖いよ。


ということもあって、ごっそり買っていくようになったのが街のひとだけでなく商人の人たちにも広がって、今日も猫の手でも赤子の手でもいいから借りたい状態です。

もうそろそろ夏も終わりなのにお茶のストックが全然ないです。

ストックしようとしたそばから売れていくし、そもそも予約リストが捌ききれない。

だれか助けて。こんなことなら夏の盛りにミントのお茶とか新発売しなきゃよかった。

ミントだけのお茶に飛びついてくれたらカモミールの方が下火になるかと思ったのに全然ならない。辛い。下火になると思ってた私がばかでした。予約量が二倍になったよ!泣く!


あと少ししたら寒さで森の下草は枯れてしまうから仕入れができなくなる。

その前にどうにかして冬の分の素材とか用意しとかないといけないんだけどな。

冬になにか調合する分は用意しないと本業がだめになっちゃう。

採集に行くとどうしてもカモミールとミントを優先にしちゃうからなかなか貯められないんだよね。


ああ、そうだ早くご飯食べたら母さんが洗ってくれた袋を取り込みにいかなきゃ。

少しでも手間を省きたくてお茶の袋は途中から回収して使いまわすようにしたの。

聞けば皆袋からお茶葉全部鍋に出してるって言うから、それなら何回かその袋使ってもいいかって思って。

売る前にきれいにしてるし、みんなも抵抗ないみたいだし、それになにより新しく作る布も人手も足りない!

見かねたヴィネーラが時々休みに袋を繕ったり布の融通をしてくれたり、さらには洗いものしたりしてくれるけど、それでももうてんやわんや。


そんなことを考えながら検品しつつ、思い出したように冷めきったお昼のスープを飲んでいるとヴィネーラが訪ねてきた。

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