第25話 二人で夜に相談

「というわけなんだが、どう思う?」


 夜。場所は結衣の部屋。お互いにベッドと床でごろごろしながら、

 倫太郎から聞いた話を結衣にも話す。


「どう思うって言われても……」

「単におまえの目から見てどうかってこと」

「うーん、どうかしら」


 いつもの考え込むポーズを取る結衣。


「いや、そんな悩まなくても」

「わからないのよ。ほんとうに。自分のことで手一杯だったから」


 そういえばそういう奴だった。


「いや、すまん。だとしたら、加藤にそれとなく聞いてみるか」

「どう聞くの?」

「考えてなかった。それとなく、悟られないように倫太郎のことをどう思っているか聞きだせればいいんだけど」

「難しいわね」


 どっちかというと男子より女子の方が得意そうな話だけど。


「まあ、そうだわな。とりあえず、何か考えとくわ」

「私が行くわ」

「は?」


 何を言い出すかと思えば。


「私が加藤さんと二人になって聞いてくるって言ってるの」

「何もそんな難易度高そうなことをせんでも」


 なんでそんなこと聞くのかにゃー、と加藤に問い返されてどもるのが目に見えてる。


「大丈夫、やってみるわ」

「さいですか」


 こいつがやる気になってるんだ。止めるのも野暮ってものだろう。


「で、どうするんだ?」

「私が、加藤さんを遊びに誘うわ」

「二人で?」

「そう、二人で」


 男子が居ると話しにくい話題でもあるだろうし、それはわかるが。


「ほんとに大丈夫か?」

「大丈夫……だと思う」


 自分で言っておいて自信がなくなってきたらしい。

 自覚があるのは良いことだ。


「よし、こうしよう。結衣は加藤と二人で遊びに行く。で、LI〇Eで俺がサポートする」

「それが妥当かしら。加藤さんは甘いものが好きだから、スイーツに誘ってみようかしら」

「おまえはそんなに好きでもないだろうに」


 ほんのりと甘いものが好きという渋い好みなやつだ。


「別に嫌いって程じゃないし、大丈夫よ」

「それならいいんだが……」


 気が付くと、夜も10時を過ぎようとしていた。


「だいぶ遅くなったな。あとは、明日にしようか」

「ほんと。なんだか、少し眠くなってきたわ」


 うつらうつらしながら言う様子が愛らしい。

 こう、このまま別れるのも惜しい気分だ。

 ちょっと悪戯心が湧いてきて、後ろから抱きしめてみた。


「ひゃっ。ど、どうしたの?」

「いや。どういう反応するかなって」

「びっくりしただけか?」

「もちろん、嬉しい、けど」


 それなら悪戯した甲斐もあるってものだ。


「それなら……」


 姿勢を変えて、素早く逆に前から抱きしめて来てた。


「どう?」

「うん。いいな」

「良かったわ」

「何やってるんだろうな。俺たち」

「昴が先にやったんでしょ」

「いやそうだが」


 以前なら恥ずかしくてとてもできなかったことのような気がする。

 そんなこんなで、俺が部屋に帰るまで、30分くらいそうやって戯れていたのだった。

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