第52話 サキュバス襲来


 今日は真奈もいないし泰斗も用事があるとかで、暇だからと部屋で一人勉強をしていた。

 定期テストは終わったとはいえ、またすぐに期末テストがやってくる。予習復習は大事だぞ良い子の諸君!


 そうして昼間になり、昼食も食べ終わった後、一人でテレビを見ていると。


「ん、真奈か?」


 RIMEの新着通知が届いたので、アプリを開ける。




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<マナ>:お兄ちゃん! 今から帰るね!


<イド>:ああ、分かった。昼は?


<マナ>:まだだよ。それよりも大変なの(>_<)


<イド>:なんだ、どうした?


<マナ>:ハスミンがうちに来るの! はやく逃げて!


<イド>:ハスミン? ああ、佐久間先生か。ええ!?


<マナ>:あ

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「え、真奈?」


 何かあったのかとハンコを何回か送るが、返事はない。もしかすると流湖達と話をしているだけかも?

 それになぜ逃げなきゃいけないんだ?


「どうしよう、佐久間先生が来るだと?」


 俺は部屋を見渡す。うん、大丈夫だ、先日みんなで遊んだ分も片付いているし、人を招くのに瑕疵はない。


「どうしよう、急な話だな。お茶とか用意した方がいいよな?」


 取り敢えず麦茶でいいかな……? お菓子は買いに行った方がいいだろうか。と言うかそもそもそう言うの出すべきなのか? すぐに帰るのならば、引き止めるのも悪いし。


 などと思案していると。




 ピンポーンっ




 とチャイムが鳴る。


「お、帰って来ちゃったか。ってかなんで鳴らした? 普通に鍵持たせてるのに」


 と思いつつも、ドアを開けると。


「は〜い、こんにちは」


 目の前に、佐久間先生の姿が。


「ど、どうもうぷっ」


「あら〜、いつ見ても男前ね〜」


 そしてその場に立ったまま、俺の顔を自分の胸に押し付けた。


「せ、先生!?」


「ちょっと! 何してるんですか!?」


 などと二人が叫んでいるのが聞こえるが、先生は俺のことを離してくれない。俺はやめてくれと手をあげると。


「やんっ」


「お兄ちゃんっっ!!」


「伊導くんっ、なんてことを!」


「んむ?? むぐぐ!」


 何か柔らかい感触が手に。そして続いて俺のことを先生は押し倒して来た。


「あっ、あなた積極的ね……んっっああん」


「もぐもぐ!?」


 倒れた拍子に何かが口の中に入って来、俺は無意識にそれを舐めてしまう。


 これはもしかして……!


「「だだだめーーっ!」」


「んぷはっ」


 二人が引き剥がしてくれたのか、先生は俺の上からいなくなる。


「はあ、はあ、なかなかやるわね〜〜先生イキそうになっちゃった……♡」


 目の前に座り込む先生は、胸部が丸出しになってしまっている。そしてその先っぽが、ヌメヌメとした液体でテカっていた。


「おおおごごごすみません先生っ!!!」


 己の犯した過ちを認識した俺は、その場で急いで土下座をする。頭を下げて許してもらえることじゃないかも知れないが、それでも誠意を見せることは大事だ。


「お兄ちゃんの変態!! 最低!」


「そうだよ伊導くん、今のはちょっと……」


 一応抱き着いてきたのは先生からのはずなのだが。しかしこういう時は男のほうから謝っておくというのが筋だろう。


「まあまあ二人も、今のは事故なんだからそこまで言わなくてもいいわよ~。それに私も悪い気はしなかったし?」


 んふ、と笑う佐久間先生。


「そうですよ、そもそもお兄ちゃんは先生に襲われたんだから悪くありません!」


「先生も悪乗りが過ぎると思うな~~」


 怒るのか擁護するのかどっちかにしてくれ……


「あらあら,嫉妬かしら? ゾクっとするわ二人のその視線、恋する乙女はいいわよね~」


 などと先生は変態チックな感想を述べ、俺たち三人は部屋へと入る。


「まあ、本当に二人暮らしなのね。四人で過ごしている感じはしないもの」


 彼女はゆっくりと歩きながらキョロキョロと部屋を見渡す。


「そうですね、少しずつは慣れてきましたが、まだまだ苦労することも多いです」


「でしょうね、でもその年で子供たちだけで暮らさせるなんて、ご両親もなかなか大胆なことをなさるのね~」


「それにはいろいろと事情が……」


「あ、もちろん真奈ちゃんの病気のことは知っているわよ? それにあなたたちが近親相姦まがいのことをしていることもね」


「えっ」


 誰が教えたのだろうか、いや真奈が言ったのかな。一応顧問だし。でも近親相姦では断じてないからな!!


「なあに伊導くん、そんな苦々しげな顔しちゃって? 冗談よ、でも真奈ちゃんからすれば、私の言ったこともあながち間違いじゃないんじゃない?」


「それは……」


 確かに、夜の俺たちの状態を客観的に見ると、妹はあえいでいるし、それを俺は受け入れている風だしと、そういわれても仕方ないかもしれない。あまり意識はしていなかったが、そう改めて言われると人には見られないように気を付けなくてはな。俺たちだけじゃなく、両親や周りのみんなを巻き込んでしまう事態になることは避けなけらばならない。


「違います蓮見先生、私のわがままでお兄ちゃんには無理をしてもらっているんですから。私自身もこんな病気は早く治してしまいたいんです。確かに私は先生のおっしゃる通り、お兄ちゃんのことが一人の異性として好きです。でもそれと、私が『お兄ちゃん成分』を摂取しなければいけない状況とは関係はありません。あくまで正々堂々とアタックして、結婚出来ればそれでいいんですから」


 妹はまじめな顔をしてそう言い切り、最後には花咲く笑顔を見せる。


「……ふうん、すごいわね~。私なら、この状況を利用してあの手この手で攻めまくるけど?」


「私は蓮見先生じゃありませんから。伊勢川伊導の妹である、伊勢川真奈なんです」


「あら、いい顔するじゃないの。んふ、わかった私の負けね。今日のところは失礼するわ」


「え、でも……」


 来たばかりなのにいいのだろうか?


「なーに、伊勢川君? それとも私と、したいわけ?」


 先生は谷間を強調するように前かがみになる。


「えっ」


「お兄ちゃん!?」


「いいいっ、いやいやいやそんなんじゃないですってば!」


 男のサガか、自然と目線がそちらのほうへ移ってしまうが、断腸の思いで無理やり顔をあげる。


「あら、伊勢川君は巨乳派なのね~」


「「!!!!」」


 目の前のお乳様がそう言葉を発した瞬間、真奈と流湖の間に一瞬にしてピリリとした空気が走るのが見えた。


「真奈ちゃん何センチ? アンダー74のトップ96だよ」


「……アンダー72、トップ88……」


 な、何だと……真奈もそこそこあると思っていたが、流湖の奴Fカップ近くあるのか……

 俺は思わず二人の胸囲を目視で比べてしまう。しかし流湖の奴、この前の夜の時にはそれほど意識していなかったが、着やせするタイプなんだな。制服の上からじゃあまりその大きさはわからない。


「ちなみに私は77の105よ~~、もう肩が凝って凝ってしょうがないわ」


 とわざとらしく俺に近づいてくる。だ、ダメだ見ては、これは罠なのdぁいぁおっしゃる通り肩が凝りそうな大きさですねぐへへ。


「そんな……乳の暴力や、これはHカップによる一方的な虐殺なんやあああああああ」


「うそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだうそだ」


 二人は先生による一撃必殺の攻撃でダウンしてしまったようだ。

 流湖は地面に膝立ちし、なぜか関西弁で頭を抱えながら叫んでるし、真奈に至ってはしゃがみこんでぶつぶつと何事かを繰り返している。


「あらら、ごめんなさいね~~、では私はこれで」


 最後に投げキッスをし、先生はそそくさと歩き去って行ってしまった。




 この二人どうしよう……




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