第2話 地球連邦軍の小将
「初めまして、私こういう者です」
「ゲーム会社の人でしょ?」
「違います!名刺ちゃんとみてくださいよ!」
先入観は良くない。彼女の差し出した名刺には
「地球連邦宇宙軍 小将 エスカリーテ」
と書いてあった。
「SSSレアですね!わかります」
これはもう完全に演出だな。どんなドッキリかわからないが、楽しむしかないだろ。
「いえ、あなたがガチャで引いたエスカリーテとは別人です」
「わかってますって。演出でしょ?」
「そのぅ。これは軍の機密上、ニックネームで軍務上は呼び合うという決まりでして。本名は別にあります」
「はは。みれば日本人であることぐらいわかりますよ。だから演出なんでしょ?」
ニコニコしている僕を彼女は軽く睨みつけた。
「勘違いするのはわかります。しかし、私はあなたが手に入れたSSSレアのAIストラテジストのモデルとなった実在の将官です!」
「いやいやいや、本当の軍人さんだっていうなら証拠みせてくださいよ」
「私、軍の機密費をあなたにお支払いする用意があります。SSSレア譲っていただけるなら、1億円をお支払いいたします」
「1億いただけるなら喜んで!」
最初はSSSレアのエスカリーテを譲る気なんて全くなかった僕だったが、1億もらえるなら話は別だ。というか、全く本気にしてないけどね。
「ありがとうございます。では、こちらにサインをお願いします」
さらさらとサインする僕。
「確かに」
彼女は初めて満面の笑みを浮かべ。
「ご協力感謝します!」
と敬礼した。
彼女が帰ったあと、僕がすることと言えば当然、「征服少女」を立ち上げエスカリーテと会話することに決まっていた。
ログインするとそこには、しかし、エスカリーテの姿はなかった。
メールが届いている。
「嘘だろ……」
運営からの手紙があった。
そこには僕がエスカリーテを返還したことへの感謝の文章が長々とつづられていた。
「エスカリーテーーーーーーーーーっ」
僕は端末を投げ落とし絶叫するのであった。
そんな僕の元にエスカリーテが2人そろって訪問するのはそれから一ヶ月後のことだった。
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