第68闘技大会 三日目
今日で三日目、そして魔法戦の二日目だ。ミューリエがどのような魔法を使うのか楽しみだ。
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久しぶりの対人戦。正直私の魔法が闘技場の耐久性に敵うかわからないのでこっそりと防壁魔法と結界魔法をかけておく。
私の魔法の最大威力は星雲が消えるくらいかな。
私の心の声が聞こえるシンくんは絶句している。大丈夫、シンくんも強いから。
「ウィズムちゃん、今日のお相手は? 」
「ネルソンさまです。帝都の魔術ギルドの方のようですよ。」
帝都の魔術ギルドは魔法公国と同じ技術力らしいからどれ程のものだろう。とりあえず行ってみよう。
「頑張れ、ミューリエ! 壊しすぎないようにね! 」
「大丈夫だよ、シンくん。行ってきます! 」
アナウンスがかかり、私の名前が呼ばれた。
闘技場に立つと、紺色のローブを来た男性が佇んでいた。彼の額から頬下にかけて魔方陣のタトゥーが彫られている。
ふぅん。あれは吸魔の魔方陣だね。額より手の甲に彫った方が効率が良いんだけどね。
効果としては魔法を無効化し、己の物として使う。しかも自身の魔法は無効化されない。
困ったなぁ。面倒だけどあれ、やっちゃいます。
「ミューリエ選手、準備は宜しいでしょうか? 」
「大丈夫です。」
「ネルソン選手も宜しいでしょうか? 」
「勿論。俺の吸魔魔方陣に勝てる奴はいない。」
ネルソンさんは不敵な笑みを浮かべているけどね。
打ち砕いちゃいましょう。
「それでは、始め! 」
最初に詠唱を始めたのはネルソンさんだった。
「我が信奉する六聖神よ──」
「〘
天から降りた一筋のイカヅチ。
無詠唱で出来るけど、観客の目があるから詠唱破棄で済ませておく。プラス神力で発動した。
「ギャアアアアアア! な、なぜだ!? 無詠唱や詠唱破棄は威力が半減する筈──!? 」
「遅いですよ、ネルソンさん? 」
次に私は無詠唱で〘
風の刃だ。
これを被ったネルソンさんは傷だらけになって腕が落ちた。
「なっ! 我が腕が!? 」
ごめんね、私の魔法はいかなるものも六倍以上の効果になる仕様だから。
「〘ゴッデスヒール・
神級治癒魔法によって腕が綺麗にくっつく。
この状況に観客の人々のどよめきが走った。
「無詠唱も扱えて治癒魔法まで! 何者だ!? 」
「ネルソンさん、戦闘の途中です。〘
額の魔方陣を殺して手のひらに再編成する。
「我が自慢の吸魔の魔方陣をなぜ、手のひらに!?」
「あのね、ネルソンさん。それは非効率だよ。額なんて所につけているといずれ脳に蝕まれて脳が爆発しちゃうんだよ? 」
「えっ? そうなのか? 帝都では皆、額につけているぞ。」
誰なの、こんなこと吹き込んだの。
「それで(魔法の)威力が上がるので本気で来て下さい! 」
「わかった。本気で行く。〘
水属性・神級魔法。全てを氷の大地へと凍てつくす最高峰の魔法で闘技場全体が凍りついた。
しかも私の魔力を冷気で吸い取る勢いだ。だったら前述したように魔力を使わなきゃ良いだけ。
対する私は神級魔法、〘
全てを焼き付くす炎は万物を溶かし尽くし、止まることを知らない魔法だけど、私ならどうにか出来る。
「さよなら、私の法の下に従いなさい。」
この言葉に魔法は呼応して消え去った。
あっ、良かった。灰になってなくて。
ネルソンさんは焼死体となって伏せっていた。
「私の心のままに。病む者も死せる者も私が思えば元通り。〘蘇生の理〙。」
焼き
むくりと起き上がった彼は訳がわからず困惑しているみたい。
「死んだのか? 」
「はい。なので蘇生しました。」
「……なんという規格外な人であろうか。俺の負けだ。」
目をぱちくりとさせる審判の彼女。
「えーっと、ミューリエ選手の勝利です! 」
何が起きたか理解していない観客は拍手もなく困惑していた。
神級魔法を使える人がいるとは……次は中々ハイレベルな闘いになりそう。
こうして魔法戦の2日目は私の勝利に終わった。
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