第59筆 闇聖神の捜索
「乗せてくれてありがとうございました! 」
「おうとも! だが、もう日が暮れるからここらで一泊しないか? 」
「わかりました。」
結界魔法を張って外的の侵入を防ぎつつ、
ウォーレンさんにお礼として蒼い幼竜を召喚してプレゼントした。
「ぴぴーっ! 」
「あんちゃん、この子を譲ってくれるのかい? エンジンから幼竜まで召喚するとはあんたすげぇわ!
チビすけ、よろしくな。 」
「ぴぃ! 」
ウォーレンからリヴェルと名付けられたこの竜は後に六天竜の名を継承し、ファンシアゴブリンたちの守護竜になることを今は誰も知らない。
翌日一番に起きた俺の視界に入ったのは驚くべき光景だった。
魔物という魔物が取り囲んでいるのだ。
寝る前に結界中心地に天叢雲剣を刺しておき、その外周に万物分解雷を纏わせていた為、ほとんどが黒焦げで倒れているが十数体ほどの魔物が今なお取り囲んでいた。
「ミューリエ、起きてっ! 」
「みゅう、どうしたの、シンくん? えっ? 」
「どうした、シン? 」
「シン様どうなされた……なっ! 」
「うわっ!? 」
「ぎゃあああ!! 」
「シンさま、どうされました……きゃあ! 」
「……えーっと、どうするこれ? 」
「あんちゃん結界解いたら終わりだぜ。」
「うーん……。」
「了解シンくん。ウォーレンさんに万象の保護を。」
「〘万象の保護〙。」
助かる。今から強い技いくから。
「『絶覇黎気』。」
俺は大地に両手を広げ神力を送る。放たれた波紋が北の大陸全土へと広がり、魔物が全滅される。
このオーラを喰らうと神ではない限り、死ぬ。
ウォーレンさんはミューリエの加護をかけたから無事だ。他に冒険者がいたようだが、無事みたい。
そして、ルゥ。彼女は耐えきったということに関しては流石は特異点と思った。彼女の謎は深い。
コアはルゥが全部食べ、肉体は消えたようだ。
『頂きます~。主君~』
肉体はスキアゼルが持っていったか。
~世界の声です~
ルゥ様が魔人族から神魔族に進化しました。
大規模臨界突破まであと3つです。
以上、世界の声でした。
「ありがとーエリーゼさん~♪」
「臨界突破? 」
「内緒~。」
「それは残念。ウォーレンさん、後は大丈夫です。」
「あんちゃん、説明してくれないか? 」
「金輪際、北の大陸には魔物が出てこないようにしました。」
「うひょー! とんでもないことしたな。となると、漁がしやすくなるぜ!
あの魔物たち、魚を食い荒らしていたんだ。
今年に入ってから一段と気性が荒くなってな。
助かった!
あんちゃんにはなんと礼を言ったら良いか……。」
「では、俺たちはディートリヒ様の所に向かいます。お元気で。」
「色々とありがとな! その
そう言い残したウォーレンさんは幼い竜、リヴェルと共にエンジンの轟音を海原に響かせながら帰っていった。
人々を笑顔に、か……。この能力は生来のものとは言え、わかっていないことも多い。日本の神々が関わっているようたが、何も教えてくれない。
六聖神の試練を全て終えた時に教えてくれると良いんだけど。
この時のシンはが現実になることを自覚していなかった。
「ルゥ、ディートリヒ様の座標を。」
「うん!
昨日と同じように彼女の額から一筋の光が射し込み、ジグザグに曲がって伸びている。入り組んだ所にいるのだろうか?
転移は可能なのかな?
「ルゥ、転移しても大丈夫か? 」
「転移すると
どうやら居場所がわからなくなるらしい。
そうなったらヴォルフガング、乗せてもらって良いかな?
「はっ、喜んで! 」
ヴォルフガングの背に揺られ数時間──。
新幹線並みの速さで走っているのだが、まだ付かない。『超視力』で周囲を見渡すと荒地や草が生えていてもサバンナの地形で岩山が時々あったりして、特にクレバスのような邪神が開けたと推測できる裂け目がいくつかあった。
一番被害がある場所と聞いていたが、ここまでとは……。
「まさか、裂け目に落ちたんじゃ……? 」
「シンお兄ちゃん、そのまさかだよ。その底で何かと戦っているみたい。」
「どのくらいかかりそう? 」
「うーん、明日にはなる距離だよ。」
「ヴォルフガング、休もう。」
「ガングくん、お疲れさま。『ゴッデスヒール』。」
「ありがとうございます、ミューリエ様。ごほっ、ごほっ! 」
「こほっこほっ」
ヴォルフガングとルゥが咳き込んでいる。
「ガング、ルゥ、大丈夫か? ミューリエ、環境を戻すことはできないのか? 」
「難しいね……。私たちは何ともないけど瘴気が酷いわ。ガングくんやルゥちゃんみたいに元魔物だと更に厳しいよ。この瘴気は魔物を狂わすものなんだ。」
「邪神はなぜここまでしたのか、そしてディートリヒ様を一番狙ったのか……。わからないな。」
「クシュトラが絡んでいそうだ。何となくそんな気がしてきた。」
オロチさんがそのような推測を立てた。
「とりあえず、瘴気から身を守ろう。神薬召喚+『神穢治癒』。」
「ありがとうございます、シン様。」
「ありがとう~、シンお兄ちゃん。」
効果はあったようで咳が止まった。
休憩後、数時間ほど進み、丘の上で設営をした。
ディートリヒ様が無事であることを願いたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます