第28筆 バカップル (改稿)
~ヴォルフガング視点~
ふむ、某か? 某はかつて10匹の狼だった。
それぞれ『
別々の大陸に暮らし、故郷の森でこのままの進化の道で良いのかと悩んでいた。周りの狼らは典型的に進化に従えと煩さかった。邪神によって我が種族も滅ぼされ始めているのにも関わらず。
ある日の晩、我らは全く同じ夢を見た。
「あら、狼ちゃんね。ユミくん、狼ちゃんたちのお客様だよ~。」
「おやおや、そのようですね。僕は希望の神、ユミト。この子は宇宙の創始者コスモちゃん。」
我らは夢の中で初めて会った。ユミトとコスモと名乗る二人はオレンジ色のドレスとタキシードを着ていて、まだ神という概念に会ったこと無いがこんなに美しい神を見たのは初めてだ。
景色も森の中ではなく広い建物の中だった。
「ここはどこだ?」
「ここはね、
「どうやら君たち、同じ目的を持っているようだね。それは…… 」
『新たな可能性。今までにない世界の新種族になって邪神を倒す。』
狼たち10匹もユミト様もハモったのだ! なんということか!? 同じ意思を持つ者がいるとは思わなかった。
「マイハニー、どうする?」
「そうね、ダーリン。シンくんを紹介しよっか?」
「良いね、シンさんならどうにかなるかも。チュッ。」
人前で堂々とキスするこの夫妻らしき二人に我ら狼たちは少々困惑した。
「っもう、駄目だって♪ 本題に戻すわよ。シン・イーストサイドというイカイビトがいる。失われた技術、召喚術を使う子よ。
それと特異点、ルゥちゃんもいる。そのヒトたちは水聖塔へ向かっているわ。その前の脈河の平原に来るだろうから会ってらっしゃい。」
「その前に疲れているでしょう。お休みになってください。」
狼たちは言葉に甘え、眠ることにした。
~6時間後~
「起きましたか? 皆さん。」
狼たちは熟睡しきり完璧な姿勢だ。
「ほい、朝ごはんだよ~。」
我らは気品ある狼。神の食事など……何て美しい骨付き肉の丸焼きなのだ!? コスモ様が切った断面から薄紅いや、見事な桃色の焼き加減の肉!
その絶壁の凹みから溢れださんと黄金の肉汁の滝が緩やかに流れているではないか!!
畜生、我慢できぬ。これは食らいつかなったら後悔する!
「旨いっ!! 」
「肉汁の洪水が 」
「口の中を満たす!」
「耐えることない旨味が 」
「我が舌に昇天させんと」
「翼を取り付けてきた! 」
「あぁ、もう飛び立ってしまって」
「舌が彼方へと消えていった! 」
「さらば、達者でな! 」
「って違う! 飛ばしてはならん。食べようぞ。」
10匹の狼は皿についた肉汁を舐めるほど満足して平らげ円陣を組んで「ぷにっ」と肉球の音がなり、前足を重ね、天へと歓喜の遠吠えをした。
「あらあら、かなり満足したみたい。」
「あんなに一体感増すとはお肉恐るべしですね。」
『美味しかったですぞ、コスモ様。して、どうやって行くのですか? 』
「ちょっと荒っぽくなるけど、あれやろっか。」
「シンさんには不評じゃないですか。」
「あれが一番速いじゃないの。だから狼ちゃんたち、横一列にならんでね。」
我らは指示通り横一列に並んだ。二人は片手を 人間どもがやっていた恋人繋ぎとやらを行い、残った片手を差し向けた。何が始まるというのか?
二人はハモり
『進化し終わったら声かけるから。
我望む、この者等を転送せよ【
足元に見たこともない渦(銀河)が現れ始めて落ちた。
『グガァァァァーー!!』
「やっぱ荒っぽいかな、ダーリン? 」
「落とすのは止めましょう。墜落ですが光に包まれて移動する演出の方が良いと思うよ、マイハニー。」
「次からそうするわ。チュッ♪」
_______________________
「という訳で御座います、皆様。」
あの
「コスモ様がお呼びで御座います。メンバー指名がありまして、シン様、主君、某のみとなります。」
「えーっと、私とオロチさんとウィズムちゃんは?」
「またの機会に。と今話されました。」
「んじゃ、行くか。留守番頼む。」
「う、うん。じゃあ行ってらっしゃい。」
ミューリエが少々
積もる話もあるだろう。寂しいのは解る。
俺たちは眼を瞑り暫く待つ。光を感じ再び眼を開けば……着いた、
「お待たせ致しました。ベリーベリーパンケーキアイス乗せのスペシャルエディションで御座います。お好みのチョコソース又はメープルシロップをおかけになってお召し上がりください。」
「おぉー、キラキラしてるね。はい、あーん♪」
「モグモグ。美味しいね♪」
誰か知らないが黒いウェイトレスの格好をした金髪、エルフのように耳が尖った女性が配膳をした。
学校の教室、
ユミトの唇についたホイップクリームをコスモが小指で拭って舐めた。
君ら一体何やってんだ?
「あっ、いらっしゃーい! シンくん、ヴォルフガングくん、ルゥちゃん! 」
「今回のコンセプトは高校生カップルが文化祭の出し物で開かれたパンケーキ屋さんに来店していちゃつきながら食べるというものです、シンさん。」
「いや、どんなコンセプトだよ!? ラブラブ過ぎて羨ましいわ!! 俺ら呼んだ理由何だよ? 」
「そうね、私たちラブラブ過ぎて最近脱線しちゃうんだ♪ 本題に戻すわ。ありがとうエリーゼ。」
「パチンッ!」
ユミトが指パッチンすると今までいた場所にモザイクとドットがかった風景になり、再び鮮明になった頃、金持ちの家のリビングの用な風景になった。
先ほど配膳をしていたウェイトレスの女性もいた。
君は誰だい?
「シンくんも気になってるみたいね。彼女は
「それが私の仕事です。常識を壊す恐怖の存在たるシン様を睨んで悪いですか?」
「あんたってヒトとしての部分が欠如してる所あるから嫌になっちゃう。新しいものが生まれるのを見守るのもあんたの仕事よ。勘弁してちょうだい。」
「すみません。シン様。」
「宜しい。ヴォルフガングくん、進化おめでとう。本当に素晴らしい快挙だわ。シンくん流石ね。」
俺は振り回されただけだ。
「はっ、きっかけを作っていただき、大変美味な食事まで! 某は感謝と喜びが絶えません!! 」
「そんなことないですよ。ヴォルフガングさん大げさです。ルゥちゃんダディには会えそう? 」
「うーん、微妙かな? 心当たりはあるけど本当にそこにいるかわからない。」
「そうなんだね。ルゥちゃんを以てしても厳しいか。」
ダディ探しも進めていかないとな。
「ヴォルフガングくんの祝辞以外にもう一つあるの。それは黒いローブを着た男のことよ。」
「あの子は正体がわからないです。ハニーと一緒に調べましたが彼の回りに強力なノイズとジャミングする魔法と電波を放っていて無理でした。」
「そうなの。私が調べても全然わからなかった。ただ解ることは彼、結構強いわ。邪神と繋がりがあるようだし嫌な予感がする。だから会った時は気をつけて。」
「なんと、コスモ様、ユミト様直々にお調べになっても解らなかった強力な敵ということでしたか!」
「シンお兄ちゃんの邪魔をする子は許さない。」
ルゥが珍しく冷ややかな声で言った。
「まあ、そんな感じね。あとはカーシャ・ラーシャちゃんは明日いるらしいから頑張ってね。」
「それでは皆さんお休みなさい……。」
ユミトの言葉によって眠くなっていき眼を閉じた。
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