8話 水牛党モッツァレラ‼(•’Д’• ۶)۶

「あのねパシリくん、君は私が誘拐犯グループに潜り込ませた、私の家臣ってことにしてね」


由良穂香は、窓の外を見ながら言った。


「解った」

異論はなかったので僕は即答した。

でも、執事とかなら解るけど、家臣って、いつの時代やねん・・・とか思っていると、窓の外には、もっと時代錯誤な連中が現れた。


彼らはみんな、馬に跨り武士の甲冑を来て、頭には水牛の様な角がある兜を付けていた。

顔は、仮面の様な面頬(めんぼお)で覆われ、見ることは出来なかった。


「あの兜は、大水牛脇立桃形兜よ。

君が私の家臣になったから教えるけど

彼らは水牛党モッツァレア。秘密結社よ。」


秘密結社!?モッツァレア!?チーズ?


穂香は、バスの外に出て、彼らを出迎え、僕も穂香に続いた。

黒い甲冑の武者は言った。


「我々は、偶然通りすがった、君たちの事も事情も知らない者だ。

ところで、モッツァレラチーズがあるが食べるか?」


それに対して、穂香は、


「私たちも、あなた方の事を何も知らない。通りすがりの者です。

モッツァレラチーズ喜んで頂ます。」


と、なんか不自然な会話を交わした。

知らないって・・しかし、甲冑武者とチーズってどんな組み合わせやねん!


とりあえず僕らは、紙で包装された手作り感いっぱいの、モッツァレラチーズを受け取った。


「どうぞ」


黒武者の勧めで、僕はチーズを口に運んだ。

思わずにやけてしまう程の美味しさだった。


「そう言えば、この近くで安全なワゴン車を発見したが、見たいと思うか?」

「見たいと思います」


安全なワゴン車?


「では、ちょうど帰り道なので、そこまで送ろう」

「ありがとうございます」

「では・・・」


穂香は、その武者の後ろに乗った。


「君はこっちに」

赤い甲冑の女武者に言われて、女武者の後ろに乗る事になった。

「すいません、ちょっと忘れ物が」


僕はそう言うと、スクールバスの中に置いていた、タルタスソースが大量に入った段ボールを、取りに行った。


段ボールを抱えてきた僕に、赤い甲冑の女武者は、取り出した赤い真田紐で段ボールを結び、僕がちょうど背負えるようにしてくれた。


女武者の顔も面頬(めんぼお)で伺えなかったが、目は優しそうだった。




つづく

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