淡い日々のこと
古新野 ま~ち
第1話
これ録音してる?
やっぱそうかぁ。証拠残るんかぁ。簑輪さんから連絡あったとき、えっ簑輪さん? ってなったんやけど、しかもさ、恋人と一緒に会いに来るってわけわからんから。まぁでも、僕としても貰うもんは貰った気がするし、文句は、うぅん、やっぱ納得いかん。なんで僕だけっ? 足下みた感じはあるよな。いや、言いたかないけど簑輪さんってその辺はあんまし変わらんねんな。いや、別に怒ってるわけじゃないねんって。
――
僕さ、小説って嫌いやねんな。どちらかといえば、大嫌いに近い嫌いというか大嫌いを越えた嫌いでもあるかな。書いてる人ふたりに言うのもごめんなさいやけど、これは譲れんかな。あっ、そうや。でも読んだことはあるねんな。もちろん。課題図書的なやつを、高校で。ふたりはもしかして文芸部やったり? あぁそうやんな、文芸部っぽいよ。僕は帰宅部やった。部活するならアニメみたかってんな。いやいや、原作とか。よむわけないやん。小説が嫌いって言ってるやろ?
長い。あれ長ければ長いほどオモロイって思ってない? というか、同じ言葉なら同じものを想定してくれるっていうさ、あの俳句とか短歌とかでも思ったけど、そんなわけないやんか。僕さ、歴史とかは興味あるから読むねんけど、資料ひとつでどんだけ議論されるかってことを考えたら、それをしない小説ってさぼってるとしか思えへんしなぁ。あぁ、話がそれてるって? ごめん。
うん、金の分は話すよ。奨学金と車でかつかつやのに、病院通いもあってさ、助かるよ。失業手当てだけではキツいな。
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