冬が自殺

朝日に満たされゆく海で

蠢く春を探したい

ここ東北の北端にて

季節は次々死んでいく

老いぼれた冬が

荒波高く砕ける崖で

飛び降り自殺を試みる

にじり寄る春の空気に

余命わずかな定めと知って

海に呑まれて死んでゆく

それを眺める私の瞳

梅の花そぞろ咲き

散りゆく感傷サクラのように

さよなら季節

巡り巡って

また降り積もる雪を願って

懺悔の朝でまた出逢おう

季節は次々死んでいく

海に蠢く春を探して

私も朝焼け目眩し

投げ打つ命

人知れず

再び何処かで芽吹給う

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る