塔の上の間男
天照てんてる
スカイツリーの最上階
俺と彼女――といっても、付き合っているわけではない、友達以上恋人未満な存在である
裕美とはもっと深い仲になりたいような、そうでもないような、裕美からは”彼ピッピ”と呼ばれている存在な俺には、かつて結婚を誓い合った恋人がいた。
彼女を
***
「裕美、出来る限りのサポートは頼む。お前のことは魔力目当てだけじゃないんだ、必ず無事に塔から降りよう」俺はそう言って入場料を二人分払い、最上階へと向かう。
***
塔の中にいるリア充の群れを裕美が魔法でガンガンぶっ飛ばしていくのを後ろから木刀で援護するだけのかんたんなおしごと。なんとも頼もしい相方だ。これならもしも元カノが変わり果てた姿になっていたとしても――いや、そんなことを考えてはいけない。救い出すのだ。俺にしかできないことなのだ。
***
最上階に着くと、肌が見えるようなローブを着て巨大化した
一方真司はというと、相変わらず
「し……真司くん!?」裕美は突然真司に駆け寄り、とんでもないことを言い始めた。
「あなたね、お母さんどれだけ心配したと思ってるの!? 冗談じゃないわ、こんな女と一緒にいないで、さっさと帰ってらっしゃい!!」
***
そうして真司を連れて帰る裕美を見送った俺と理歌は、なんだか居心地の悪い空気を漂わせながらスカイツリーを降りるのであった――
塔の上の間男 天照てんてる @aficion
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます