第69話 討伐完了
アミール高原に着くとコカトリスは、すぐに見つかった。
「あれがコカトリスか」
翼を持ち赤いたてがみ、するどい黄色いくちばし。
しっぽが蛇のような姿。
依頼書の通り、ほぼ大きいな、にわとりだ。
「ギャアアアアア!」
「ギャアアアアア!」
「二匹いますね」
「ああ」
動きは店主が言っていた通り速いみたいだ。
叫びながら翼を広げて素早く飛び回る。
「俺が一匹やる。二人はもう一匹を頼む!」
「分かりました。レンヤさんは魔法で戦うのですか?」
魔力刀は魔境島を脱出するときに壊れてしまったからな。
最近は魔法で戦ってきた。
「今回は魔力を『変化』させて戦ってみる」
「そうなのですね。ではあちらはわたくしたちで倒しますわ」
「ああ、任せた!」
二人はコカトリスに向かう。
俺は反対側の一匹に狙いを定める。
近づくと鋭いくちばしで攻撃してきた。
躱しながら横腹に魔力の拳を叩きつける。
「グギャアア!」
「!?」
や、柔らかい! 島の魔獣よりも圧倒的に柔らかい。
スピードはそこそこあるけど防御力がなさすぎだ。
すでにコカトリスはダメージでよろよろしている。
なんとかふらつきながらも回転して尻尾を叩きつけてきた。
俺は魔力を剣の形に変化させ『硬化』で固める。
「はっ!」
そして向かってきた尻尾を斬り飛ばす。
「グギャアアアアアア!」
先程よりも大きな悲鳴が辺りに響く。
さらに魔力の剣に『斬撃』を乗せる。
そして放つ!
空気を切り裂き飛んでいった斬撃はコカトリスをスパッと真っ二つにする。
コカトリスは光の粒子となり消えた。
「……まあ、弱かったな」
『変化』で作った剣にも『斬撃』スキルが有効ってことが収穫かな。
シーナとネネを見るとあちらも楽勝のようだ。
スピードもパワーも圧倒している。
止めをさしたところで光の粒子となりコカトリスは消えた。
ササッとスララがドロップアイテムを回収するスピードの方が、コカトリスより断然速い。
戻ってくる二人にいう。
「楽勝だったな」
「そうですわね……島の魔獣より手ごたえはありませんでしたわ」
「はい。そんなに速くもありませんでしたし……」
何だか面倒ごとを押し付けられた依頼みたいだったけど問題なかったな。
店主の話だと普通の冒険者は避ける依頼だと言ってたけど。
まあ、早く終わった分にはいいだろう。
「とりあえずギルドに戻って報告するか」
「そうですね。依頼達成ですわ」
「はい。戻りましょう」
今度はもう少し歯ごたえのある依頼にしてもらおう。
先にアヤメの依頼もやらないとな。
俺達は歩いて帰り道をいく。
「そういえばレンヤさん、そのギルドカードに今の戦闘が記録されたのですかね?」
「うーん、そうなんだろうな。どういった仕組みかわからないけど」
「不思議ですね」
「ああ」
この世界たまにこんなハイテクがあるから面白い。
しっかりと『分析』して『ハコニワ』に取り込んでおこう。
街に戻るとその足でギルドに向かう。
相変わらず冒険者たちが忙しなく出入りしている。
ドアを開け中に入ると受付に向かう。
朝と同じ受付の女性がいた。
「あ、あら。け、今朝の方たちですね」
なんだか言いよどんでいる。
今朝は『ハコニワ』を出して驚かせたからな。
警戒しているのだろう。
「依頼内容の確認でしょうか。あっそれともギルド登録に来られましたか?」
この人結構ギルド登録進めて来てたからな。
勘違いしたみたいだ。
「いや、依頼達成の報告だ」
「へっ? たっ、達成ですか? ま、まだ受付てからそんなに立ってませんよね?」
変な声を出す受付女性。
信じられないといった表情だ。
「これで分かるんだろ? 調べてみてくれ」
俺は仮のギルドカードを渡す。
「そ、そうですね。確認させていただきます」
受け取った受付女性は何か機械にギルドカードを差し込んだ。
あれで内容が分かるのか。
俺は『分析』を発動させて機械の情報を『ハコニワ』に送る。
これで魔導具に応用できるだろう。
「確認できました。い、依頼達成です。コカトリス討伐されています! し、しかも二匹ですね!」
「ああ、二匹いたからな。討伐しておいた」
周りがざわざわする。
「マジかよコカトリス二匹だってよ!」
「あのすばやい魔獣をか!」
いや、それほど速さは感じなかったけどな。
シーナもネネも楽勝で倒していたし。
「いま懸賞金をお持ちします。お待ちください」
そう言うと受付女性は奥の部屋にいく。
「討伐確認できたみたいですわね」
「ああ、よかったよ」
「受付の女性驚いていましたね」
「そうだな。ここではコカトリスは強敵なのかもしれないな」
「あの反応をみるとそうなのかもしれませんね」
シーナとネネと話していると受付女性が戻ってくる。
「も、申し訳ありませんが奥の部屋まで一緒に来ていただきたいのですが」
朝とは違い控えめな態度だ。
「どうしてだ? 何かあるのか」
「懸賞金のお渡しとギルドマスターがお会いしたいとのことですので是非にと」
シーナとネネを見ると、お任せしますといった仕草だ。
まあギルドの中も見たいしギルドマスターにも興味がある。
「分かった一緒に行こう」
「ありがとうございます。ご案内いたします」
俺達は奥の部屋に向かう。
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