第2話 能力発現
光が収まると目が慣れてきて周りが見えてくる。
ゴツゴツとした岩肌が辺りを囲っている。洞窟だ。
所々淡い光を放っている部分があるためか全体像が見渡せる。
「これがダンジョンか」
直ぐにしゃがみ込み周囲を警戒する。
探知スキルには数え切れない程の敵影が映る。
もはや戦闘は避けられない。
与えられた装備は装着している防具と片手で持てる円形の盾。
それからショートソードと言われるタイプの片手剣だ。
素早くステータスを確認。
**************************
名前:上条錬夜
種族:人間
LⅤ :1
HP :50/50
MP :7/7
攻撃力:13(+5)
防御力:15(+10)
魔力 :7
俊敏 :9
―スキル―
『言語』『探知』『鑑定』『インベントリ』
―特別スキル―
『スキルの種』
**************************
装備により攻撃力と防御力に若干補正がある。
(どこまで戦えるか……)
あちらこちらからブヨブヨと動く球体が何匹も向かってくる。
「いきなりかよ!」
周囲に隠れる場所もない。
剣術の心得もない俺はデタラメに剣を振るう。
それでも何匹かを切り裂ける程に周りは敵だらけだ。
切り裂かれた敵は光の粒子となり消える。
奴らの攻撃は只の突進のみ。
だが圧倒的物量で突進され、俺の体力はじわじわと削られていく。
(ぐっ、何だこの数は! ここはモンスターの巣か)
何匹か倒した事により、奴らに完全に敵認定されてしまった。
全方位から執拗に攻撃される。
このままでは不味いと思い壁を背にする位置に移動。
前方からの敵に集中。
「がっ!」
たまにいる大きいブヨブヨの突進がやばい。
盾でガードしてもダメージが貫通してくる。
素早くHPを確認すると一気に10も減らされている。
蓄積したダメージも合わせると残り20を切った。
(瀕死状態ってHPどれぐらいなんだ?)
もはや逃げ道はない。
大きいブヨブヨの直撃を避けながらスキルの開花に賭ける事しかできない。
壁を背に何とか四隅まで移動。
攻撃範囲を限定して何とか捌く。
だが奴らも攻撃を緩めない。無情にもHPは徐々に減っていく。
「くっ、くそう」
15、14、13……10、9……、HPが一桁になったその時。
<条件を満たしました。特別スキルが開花します>
俺の全身が輝く。光の輪が広がりブヨブヨ達は俺に近づけない。
光が追撃を防いでいる。
<スキル『ハコニワ』を獲得しました>
「『ハコニワ』?……」
ステータスを確認すると。
―特別スキル― 『ハコニワ』小人達の生活が鑑賞できる(人口100人)。
「はああ?」
(鑑賞用? 鑑賞するだけ?……)
確認してみてもそれ以上の情報はない。
「終わった……完全に終わった……」
俺の絶望を悟ったのか光の輪が消えたからなのか、ブヨブヨ達は勢いづき突進してくる。
絶望に打ちひしがれる俺。
それでも生存本能なのか何気なく剣を振るうと――。
先程までとは明らかに違う剣速と威力。
周囲のブヨブヨ達は一瞬で光の粒子となり消える。
(スピードとパワーが上がっている?……)
近くにいる敵を葬るとステータスを確認。
**************************
名前:上条錬夜
種族:人間
LⅤ :1
HP :109/150(+100)
MP :107/107(+100)
攻撃力:113(+5)(+100)
防御力:115(+10)(+100)
魔力 :107(+100)
俊敏 :109(+100)
―スキル―
『言語』『探知』『鑑定』『インベントリ』
―特別スキル―
『ハコニワ』人口100人
**************************
「あっ! ステータスが上がってる!」
HPから俊敏まで全部+100で補正済みだ。
(そうだ。ブヨブヨを――『鑑定』!)
今までは余裕がなかったから出来なかったけど。
**************************
名前:-
種族:スライムラッシュ
LⅤ :1
HP :10/10
MP :10/10
攻撃力:10
防御力:5
魔力 :5
俊敏 :5
―スキル―
『突進』
**************************
(こいつらスライムラッシュって言うのか)
スキルに『突進』があるから攻撃が突進だったんだ。
(更にでかブヨも――『鑑定』!っと)
**************************
名前:-
種族:スライムラッシュ
LⅤ :6
HP :20/20
MP :20/20
攻撃力:20
防御力:10
魔力 :10
俊敏 :7
―スキル―
『突進』
**************************
素の攻撃力で俺の防御力を超えている。
更にスキルがプラスされてあんなにダメージを受けたのか。
「だが今なら勝てる!」
スライムラッシュに素早く接近し斬り込む。
斬り返し、斬り刻む。
数値で表示されない部分の身体強化もされているようで、相手の動きもよく見える。
生き残る為にこのフロアの敵を全て狩りつくす!
斬っては躱しまた斬る。
どれぐらい戦っていたのか分からない。
遂に最後の1匹も片付ける。探知スキルで確認するも反応はない。
「終わったのか……はあはあ……」
疲労でその場に寝転ぶ。
ゴゴゴ……。
その時壁だった部分が音を立て開き、光が差し込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます