第6話 オデッセイコロシアムの戦い
「どうなっちゃうんだろう、私」と今日子は言った。
「まずは、武術を鍛えることさ」たけしが言った。
スコープオンの話では、タイムクラスターは、いつでも使えるわけでなく、相手の体力を奪ってから、初めて発揮される。
「兄さんに会わせてよ?」と今日子が頼んだが、スコープオンが断った。
「なぜ、会えないの?」
「お前の兄は、ダークマターの捕虜となっている。」そして、続けて
「敵の本拠地に、入り込むには、まだ、早い」スコープオンが答えた。
沈黙が、少し流れた。
「もうこれ以上、戦いたくない。いやなの。怖いの、死にたくないの。」
「だったら、今のうちに、バーチャル世界へ帰ることだ。」スコープオンは冷静に答えた。
「家に帰りたい」今日子は小さな声で言った。
「しかし、お前は、タイムクラスターの力に目覚めてしまった。」スコープオンがそう言って首を振った。
「リアル世界でも、戦いは、続く。覚悟を決めろ。今日子」
スコープオンの言葉に、今日子は震えた。
「これから、訓練施設に行く。タイムクラスターの練習だ。今は、モンスターでも、もともとは、生き物だった。救えるのは、お前しか、いない。」
「タゲットは、倒せるの?」今日子は、尋ねた。
「やってみれば、わかる。」スコープオンが、元気付けるように言った。
「言ってるうちに、タゲットが、3体きたぞ!」たけしは言った。
「うそ?」今日子はのけぞった。
「訓練では、なくなった。オデッセイコロシアムで闘う。」スコープオンが時間稼ぎに、目くらましの砂ぼこりを、起こした。
オデッセイコロシアム。観戦者がいて、昔は、闘技場として栄えた。
「まるで、見せ物小屋」今日子は言いつつも、臨戦態勢に、ついた。
「お嬢ちゃん、遊びも終わりだ。タイムクラスターなんて、まぐれだ。」
「後悔させてやる。」と今日子は自分を奮い立たせた。
「でも、三匹は、こちらが不利だわ」と思った。
「スコープオン、援護して」
「まかせろ。」
3匹が三角陣形で迫ってきた。
「竜巻よ、行けー」
左右のタゲットに、竜巻がぶつかった。
「この、小娘」
「ここよ」いつのまにか、タゲットの背後をとった。3つの頭を切り取った。
ドスン。前向きにタゲットは、倒れた。
今日子は、剣先をタゲットに向けた。
すると、タゲットの形が消えて、馬が出てきた。
「やった」今日子は、そう言って馬に乗った。
「兄貴格を、倒したな、小娘
「タゲット、有利は、こちらに変わったわ。」
「おい、行くぞ!」前後からタゲットが2体攻めてきた。
馬は、勢い良く、タゲットをジャンプして超えた。
「伸びろ、剣」剣はタゲット2体を串刺しにした。
「これを使え!」スコープオンが、自分の剣を投げた。
二体のタゲットを、まとめてその頭を切り取った。
剣先を二体に向けた。1匹は猫に変わった。しかし、もう一体が、復活しようともがいている。
たけしがなっている剣をとり、くっつこうとする頭を再度切った。
「これで、終わりだと思うなよ!」そう言って、消滅し、犬に変わった。
今日子は、その場に座り込んだ。
「タゲットを、やっつけた。」満面の笑みを浮かべた。
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