隣の甘えたがり幼馴染は通い夫な妻【後日、改訂版投稿予定】
樹城新
第一部 『隣りの甘えたがり幼馴染は通い夫な妻』
プロローグ
今、少年の目の前には彼の作ったご飯を口いっぱいに頬張っている美少女がいる。
彼女がここでご飯を食べるようになってから、半年もの月日が流れた。それは長いようで短く、あっと言う間に過ぎ去っていってしまった。
この日常はひょんなことから始まった。今となってはしょうもない笑い話のようなものがきっかけだった。
突然始まった新たな日々。彼も最初は本当に面倒くさくて仕方がなかった。早くこの時間が終わればいいと何度も願った。だが、今となってはかけがえのないものとなっている。
そして、今に至る。
彼女と過ごす幸せな毎日。
これは彼のこころを何度も癒してきた。そうして、流れていった月日によっていつの間にか彼女は彼にとってなくてはならない存在となっていた。
いや、むしろ、二人は生まれる前から惹かれ合う運命にあったのかもしれない。そう思えるほど二人の間は数多くの偶然の出来事の連続によってゆくっりと、でも、着実に近づいていったのだ。
彼がボーっと彼女のことを見つめていたせいか、彼女は動かしていた箸を止め見つめ返してきた。そして、微笑んだ。それは彼一人だけに向けられたもの。今、この空間は誰の邪魔も入らない二人だけの物となっている。誰の邪魔も許さない空間と言った方が適切かもしれない。
彼女のその太陽のようで深淵のようでもある笑み。それは彼に時々ではあるが懐かしい、それと同時にちくりとした胸の痛みをもたらしていた笑顔だ。
この胸の痛みの正体は今でも分かっていない。でも、彼に取ってそんなことはどうでもいいのかもしれない。彼女と今この瞬間の幸せな日々がずっと続いていくのであれば…………。
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『ありがとう…………。さようなら…………。』
『愛してる…………。いつ…………までも…………。ずっと…………、ずっと……………………。』
この言葉を最後に止まっていた歯車。それはあの日あの時あの場所でだれにも知られず、ひっそりと再び動き出していた。ゆっくりと。だが、確実に…………。
そして、今…………。
誰にも止められない…………。
誰にも邪魔できない…………。
決して…………。
たとえ、それが……………………
この世を統べるものだったとしても…………。
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