絶望騎士
@torinoousama
第1話 父の死
老騎士が殺された。わたしの目の前で。彼は捨て子であったわたしを救い、辺境の要塞で騎士として育て上げた。血のつながりこそ無くともわたしは老騎士を父として尊敬し、また彼もわたしを子として愛した。少なくとも愛されていたとわたしは感じている。
父との日々が今までのわたしの全てであり、その存在が生きる希望だった。彼の温かく大きな手は小さかったわたしの凍える手を温め。辛く厳しい時には、彼の言葉がわたしを鼓舞した。ああ。思い出せばきりがないほど、彼はわたしを気にかけてくれていたものだった。
だが希望は不意に途絶えた。父を殺した者の行為に目的や主義、その他いかなる理由も恐らく無いだろう。奴らは異形の手先と呼ばれ、どのような生き物あるいは怪物であろうと殺しまわる。また殺した物には見向きもせず、食らいもしない。まるで、この世に居場所を求めさまよい、手当たり次第に他者を呪う幽鬼。この異形の手先がわたしには酷く世界の秩序から外れた存在に見えた。
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