煌煌と燦燦と爛爛とした概念 (問題提起)

 「正義とは、社会秩序を作り出すための装置である」  ——たぶん誰かが言ったと思う——


 慈愛じあいあふれた人間ほど自分の行うことに正当性を求め、自身を肯定してくれる存在にかれる。「人間らしい人間」と言えるだろう。

 そこで取り上げられるのが「正義」だ。人間という社会を形成する生物にとって、社会秩序は常に付きまとう問題である。意志の疎通そつうをするために個々で繋がりを作らなければならず、また完璧に自己の意図を伝達することが不可能であるために、人間は不完全な社会を形成することしかできない。そのため、人間は社会集団を統率するための装置として「正義」という概念がいねんを置いた。

 この概念は強力である。社会秩序のため、という名目があれば如何いかなる存在でも「正義」を執行しっこうする対象となるのだ。脚色きゃくしょく一つで何もかも「正義」という色に染め上げることがてぎる。

 果たして「正義」と「善性」とを結び付けることができるのだろうか?自分にはその解答を導き出すことができない。



 

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