第132話 カウントダウン スタート
俺達は、腕時計の36時間にセットされたカウントダウンタイマーをスタートさせる。
大神様とカサンドラ様の話では、36時間ぐらの猶予があるとの事だったが、出来るだけ30時間内に終わらせたいと思っている。
「清兄ぃ、打ち合わせ通り、先にゲートであの塔の屋上に、みんなを移して貰える?」
「了解じゃ!」
後部の部屋で清兄ぃが、ゲートを開き、次々と屋上へと移動した。最後に俺も機体を収納して、そのゲートへと飛び込んだ。
これからは時間との勝負である。
一足先に屋上に出た城島君と兄上は、屋上のサービスハッチのロックを破り、入り口を確保していた。
そして、全員がハッチ内部に雪崩混むと、1分もしない内に、建物全体にシールドが再展開したのだった。
「ふぅ~、何とか第一関門クリアだな。」
「まったくじゃ。焦ったわい。」
この建物全体のシールドだが、転移後の3分間ぐらいだけは、転移の影響でシールドがOFFになるとの情報で、それ以外だと、シールドから破る必要があり、かなりのタイムロスとなる。
「さあ、ここから25階層下った所に目的の装置がある。みんな気を引き締めて行こう!」
最初の2階層は何事も無く、降る事が出来たのだが、侵入者を検知したのか、シャッターが閉まり始めた。
全員、身体強化と身体加速を掛けて、締まるシャッターをくぐり抜けて行く。
いやぁ~スリル満点。まるでアクション映画やスパイ映画のワンシーンの様である。
4階層目に突入すると、トラップが作動し始め、俺達の反応に狙いを定めたミスリル製の矢が飛んでくる。
更に悪い事には、ガーディアン・ゴーレムが5体出張って来た。
下手なダンジョンの下層よりもヤバい。
しかし、とは言え、身体強化と身体加速を使えば、矢も避けられない速度では無い。
ただ数が多いのだが。
「ゴーレムをやるぞ!」
と声をかけ、兄上と城島君は予定通り、回避に専念だけして貰う。
叔父上が、トラップの矢の発射装置を何とか壊したので矢による攻撃は止まったのだが、ゴーレムがヤバい。
かなり強力な魔法攻撃も通らず、刀や槍の攻撃も弾き返す。
「こいつらのシールドは、マジで堅いぞ!」
と父上がボヤく。
俺は刀の付与を5重に掛けて、魔力を込めて袈裟斬りにしてみると、若干であるが、シールドに亀裂をいれ、内部のボディにも傷が入った。
「おお! 付与を5重掛けでシールドを切れるな。 もう1発付与が掛けられるかな?」
俺は愛刀に更なる付与をかけ、禁断の6重掛けを行う。
俺の愛刀が白く輝き、ブォーーーンと共鳴音を鳴らし始める。
魔力でコーティングして、再度斬り付けると、さっきよりもハッキリと傷が付いた。
「うん、これなら、何とかなるか。」
俺が、何度もヒットアンドアウェーで攻撃を繰り返しつつ、シールドの発生源を探し始める。
生身の肉体ではないので、何処かにシールドの発生源がある筈だ。
「見つけた! 両耳がシールドの発生源だ! あそこをやれれば、シールドは消えるぞ!」
と俺が叫ぶと、一斉に耳への攻撃を各自仕掛ける。
そして、最初の1体目は俺が耳のシールド発生源を壊し、首を刎ねて動きを止めた。
おおーーー、やっと止まったよ。
今回の作戦に挑むに辺り、全員が師匠の打った刀にチェンジした事で、付与の6重掛けにも対応出来て居る。
また1体、また1体と次々に倒し始めた。
5体全部を倒し、素早くその残骸を収納して、先へと進む。
5階層に入っても同様のトラップやガーディアン・ゴーレムの歓迎を受けた。
更にシャッターまで閉まり、完全に囲まれる感じになってしまった。
どうやら、このガーディアン・ゴーレムと言うか、防犯システムは、学習するらしく、実に厄介である。
本番である25階層目では、かなり対策を取って来るのではないだろうか?
まあ、『余裕で』と言う訳でも無いが、無難にゴーレムを破壊し、シャッターに穴を開けて先へと進むが、次々にガーディアン・ゴーレムとミスリルの矢の洗礼が続く。
5階層に入って、10連続である。
「これ、かなりヤバいよね? 何か既に50体以上のガーディアン・ゴーレムを撃破しているんだけど、まだ出て来るのかな?」
と兄上が呟いていた。
そう、100体と聞いていたが、それは25階層で100体。
別の階層のガーディアン・ゴーレムはその100体の計算には入っていない。
既に5階層に入ってから、40分が経過している。
そして、トータル15回目の攻撃部隊を撃破して階段を降りる頃には、既に1時間が経過していたのだった。
この階段だが、非常階段の様に、縦に全階が繋がっているのであれば、どんなにか楽だったが、階段は上下の1階層しか繋がっていない。
よって、階段で降り、フロアーを通過して、次の階段でまた降りると言う配置となっている。
この塔であるが、研究施設も兼ねていたらしく、通路の所々には、作業着姿の朽ち果てた亡骸が落ちて異臭を放っていた。
攻撃は階層を降りる度に、激化して行く。
幸いなのは、このゴーレムの攻撃が設備の破壊を恐れ、性能をフルには使わず、ある程度の攻撃程度に抑えられている事だろう。
もしこれが、設備の破壊も辞さない行動を取ったとしたら、かなり拙いところであった。
このガーディアン・ゴーレムだが、レベル換算では、90前後の力を持っていると思われる。防御に関しては優に100を超えるだろう。
そして、10階層をクリアした頃、清兄ぃから
「なあ、徳や、ワシゃ、そろそろ腹も減ったし、トイレにも行きたいのじゃが?」
と言われ、そう言えば7時間程戦闘の連続だった事思い出した。
「ああ、そう言えば、全く休んでなかったな。
兄上、何処かで休憩入れたいんだけど、この階層で、それらしい場所あった?」
と聞いてみると、
「うーん、トイレはどうか判らないけど、何箇所かに部屋はあったな。
もしかすると、そこで休めるかも。」
と言う事で、一番近い部屋のドアまで戻り、ドアをこじ開けて内部へと入ったのだった。
部屋の内部は、研究室の様で、机や椅子、それにソファーまであり、トイレとシャワーやロッカールーム、それに簡単な炊事場も付いていた。
トイレを発見した清兄ぃは、早速トイレに駆け込んでいた。
プハハハ。結構我慢してたんだね?
そして、2時間程休憩を入れる事にしたのだった。
最初の15分くらいで、さっちゃんと母上(+双葉)、義姉上が用意してくれたお弁当を全員で食べる。
「こ、これを双葉ちゃんが!」
と嬉々として城島君が食っているが、騙されるなよ? 双葉の女子力は異常に低いから。
双葉、もう少し料理の勉強もやろうな!
さて、ここまで意外に順調と言えば順調なんだが、1つ大きな問題が。
「どうじゃ? お主のもか?」
「ああ、思った以上にキツいからな。」
「予備の方は各自1本ぐらいか。 それにしても堅いのぉ。」
「これで行くと、25階層で100体同時は難しいと言うか、そこまで保つかも怪しいよな。」
「戦い方を変えるか!?」
と作戦会議を始めている。
理由はメインウェポンである刀や槍。
無理矢理6重に掛けている付与で、まあそれが無いとシールドも破れないのだが、その結果、刃に異常な程のストレスが溜まり、師匠の打った物でなければ、とうの昔に砕けて居ただろう。
そもそも6重掛けすら出来なかったとは思うが。
「まあ、最悪、俺の昔作った刀を使って貰うか。
だけどあれはなぁ~6重掛けはキツいと思うんだよなぁ。 良く保って5重が限界だと思う。
あ! そうだ! 時空魔法が使える奴は、『空間斬』を試すか。
あれはまだ試してなかったもんな。
シールドさえ破れれば、4重掛けぐらいでも、切断出来るだろ?」
と言う事で、次から新しい戦法を試す事になったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます