第131話 出発
日本時間の11月19日の午前9時に、人類の運命を掛けた戦いに出発するべく、俺達は羽田から出発する。
出発するメンバーは、俺、清兄ぃ、叔父上、父上、聡君、城島君、そして、万が一のバックアップとして、兄上も同行する。
レベル爆上げ期間のボーナスタイムは、各人のレベルを十分に上げてくれた。
俺は189、清兄ぃは132、叔父上は103、父上と聡君は98、兄上は78、城島君は怒濤の追い上げで72となっている。
更に、今回このメンバーでパーティー登録をしているので、おそらくガーディアン・ゴーレムとの戦い次第では、全員更にレベルが上がるであろう。
羽田空港には、仲間や家族が見送りに来てくれている。
「なあ、あつし、呉々も気を付けてな!」
と前田が妙にシンミリとして肩を叩いて来る。
「俺達が力になれず、申し訳無いが、頼むな。」
と凛太郎。
「まったくだぜ、結構頑張ってダンジョン潜ったんだけどなぁ。87止まりだった。」
とグリードも悔しそうである。
「旦那様、美味しい物を作って、子供と待ってますね。」
とさっちゃん。
「お父さん、土産話楽しみにしてるね!」
と敬護。
「あつし兄ちゃん、また温泉一緒に行くの楽しみにしてるからね。」
とピート。
「ああ、俺達に任せろ! 油断はしなが、最低条件は大幅にクリアしているから、何とかなるだろう。」
と俺も笑顔で応える。
向こうの方では、双葉と城島君が影で抱擁したりしている。
大丈夫だ、双葉。
お前の彼氏は、ちゃんと無事に返すからな。
そして、みんなに見送られながら、俺達の乗るオスプレーは、離陸したのであった。
日本からハワイまでの距離が6430kmで、目的地の座標は日本寄りに100km離れた場所となる。
つまり、飛行距離としては、6330km前後となる予定。
俺達の乗るオスプレーは俺が若干出力を上げたエンジンを使用しているので、最高時速は600~650km前後となる。
よって、約10時間半ぐらいの飛行時間となるが、向かい風とかだと、かなり遅れる事も考えられる。
目的地への到着予定時刻順調で、今夜の9時過ぎ辺り、向かい風の度合いにもよるが、最悪でも日付が変わるまでには到着するだろう。
機内では、出来るだけ高高度に上がり、後はオートパイロット任せである。
日本政府への通告だが、2日前に一応地震や津波の可能性もあるので、やんわりと極秘に通告しておいた。
人類滅亡の危機とまで言ってしまうと、過剰反応を起こす可能性もあるので、「地震と津波があるかも。」程度に抑えている。
前回の一件があるので、日本政府をあんまり過剰に信用する事は止めたからである。
「しかし、みんな間に合って良かったのぉ。」
と清兄ぃが満面の笑顔で話し掛ける。
今回のボーナスタイム、清兄ぃのレベル上げは凄まじい物があった。
正に鬼神というか、脳筋と言うか、あの前世の頃の理知的な清兄ぃを知る俺としては、何処かで別人に乗り移られたのではないか?と疑う程であった。
おれが、それを指摘すると、
「お前は、ワシを美化し過ぎじゃて。 フッフッフ、お前が鬼神過ぎて、ワシが霞んでおっただけじゃろ? ワシは今も昔も、そうは変わらんぞ。」
と言っていたが、
「えー? それは嘘だな。 俺はそんなに酷くないぞ?」
と言い返すと、爆笑されたのだった。 納得いかんな。
機内では、そんな馬鹿話や、初陣って事でガチガチに緊張している城島君をからかってやったり、双葉の小さい頃の話をしてやったりしていた。
まあ、そんな中、父上だけは、(双葉の話で)微妙な顔をしていたが。
「兄上、あんな天使の様だった双葉が、見事に大人の女性になっちゃったね。」
と言うと、
「ホントだね。いやぁ~、人の成長って本当に早いよねぇ。
うちの子もアッと言う間なんだろうなぁ。」
とシミジミ語っていた。
空の旅は順調で、所々では向かい風もあったが、概ね時速600km前後で飛行出来ている。
食事を取った後は、各自床にマットを敷いて、仮眠を取ったりしている。
緊張している城島君には、リラックスするように、少しだけ『スリープ』を掛けてやった。
どうやら、昨夜は緊張で眠ってなかったらしく、途端に爆睡していた。
そして、午後9時半、漸く目的地付近の上空へと辿り着いたのだった。
出現予定は、11月20日午前3時33分だから、約6時間後である。
「どうしようか、早く着きすぎたかな。」
と俺が兄上に相談すると、
「まあ、ホバリングしてても、燃料切れの心配は無いから、良いんじゃない?
それとも100km先に進んで、5時間程ハワイでバカンスでもする?」
「うーーん、何かあると嫌だから、ホバリングで待機かな。」
そして、日本時間で日付が変わり、午前3時20分を過ぎた頃、ハワイでは朝の8時20分……朝日の昇る空に真っ黒な雲が出て来た。
俺は、全員を起こして周り、シートベルトを着用する様に告げる。
俺もコクピットでシートに座り、操縦桿を握り、何時でも回避可能な様に、オートパイロットをオフにした。
急激に外が真っ暗となった。
すると、右斜め前方に大きな稲光が走る。
バッシーーン ババババン
もの凄い爆音が鳴り響くと、海面が大きく盛り上がった。
「おーーー! 派手だな。」
迫力満点である。
盛り上がった海面の水が戻る頃、海中からピョコッと、奇妙な塔の頭部分が顔を出して居た。
丸い円筒形の塔の上には、花びらを思わせるアンテナの様な金色の物体が鎮座している。
これからは、時間との勝負だ。俺は、直ぐさま機体を屋上近くに寄せ、指示を出したのだった。
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