第85話 お金の使い道と旅行計画
政府銀行に預けっぱなしの預金額がヤバいと言う話はしたが、護国寺ダンジョンギルド支部から、精算の完了と振り込み完了の知らせを受け、久々に残高を確認し、驚いた。
何も使う事無く、貯まり続けた結果ではあるが、桁が多くて判りにくいけど、どうやら2000億円以上あった。(端数は切り捨てで)
そこで、さっちゃんとも話し合い、
「そんなに持ってても、意味無いし、良いんじゃない?」
と了承されて、1500億円程、全国の孤児院や施設に寄付をした。
俺達夫婦が100歳まで生きたとしても、生涯で10億円ぐらいあれば、お釣りが来るだろうしね。
それに、俺の魔法があれば、何とでもなる。
話は戻って寄付の件だけど、ニュースで世間を賑わす事になった。
ギルド本部と、俺を知る関係者は知って居るが、口を割る事もなく、俺個人を特定される事も無かったが、その寄付のお陰で、ギリギリだった孤児院の運営に余裕が出て、子供達がお礼を言う映像が、ニュースやSNSに頻繁に流れていた。
何故か首相からも電話があり、お礼を言われた。
敬護が7ヵ月になった頃、ポツポツと、またダンジョンへ潜り始めている。
何故かと言うと、各地のギルドからの勧誘の連絡が日々ヤバい事になっていて、しょうがなく、無作為に選んで、日帰りで行く様にしている。
何処のギルドも護国寺ダンジョンの支部の実績が羨ましいらしく、また俺が踏破した事によって、一躍有名所となった護国寺ダンジョンには、冒険者が日々詰めかけているらしい。
そもそもだが、別に俺が踏破してしまったダンジョンよりも、未着手のダンジョンの方が断然旨味が多い筈なのだが、何で護国寺ダンジョンに人が集まるのかが、理解出来ん。
と、アスモデウスにもボヤいて居たんだが、
「それはマスター、聖地巡り的な人気と同じなんでは?」
と面白い事を言っていた。
「聖地を巡りたいのなら、神社に行け!」と言いたい。
「さっちゃん、敬護はまだ連れ歩かない方が良いよな?」
とさっちゃんに聞いてみた。
「うん、そうだね、まだ冬だもんね。
やっぱり、生後1年ぐらいは、抵抗力が弱いって言うし、外は厳しいよね。」
とさっちゃん。
「そっかぁ~。だよな~。
ああ、いやさ、連れて行けそうなら、今度伊豆のダンジョンでもチョコチョコと行くかな? ってね。」
と俺が答えると、さっちゃんの顔が一瞬パーーっと明るくなった。
「なるほど、温泉かー! 伊豆ですか!! 良いなぁ~、もう久しく行ってないなぁ……温泉。」
とさっちゃんが行きたそうな顔をする。
「ただね、やっぱり夜泣きとかもするから、お泊まりは厳しいよね。」
とさっちゃん。
「ああ、こいつ、泣き声、半端ないからな。フフフ。」
と俺が敬護をチラリと見ると、ニカッと笑って、「だぁ!」と両手を広げている。
ふふふ、可愛い奴め。
「あ!でもさ、伊豆の旅館なら、離れになっている所もあるよ? それによくよく考えれば、消音の結界張れば、大丈夫じゃないか?」
と俺が言うと、さっちゃんが、ハッとした顔で、手をポンと叩いていた。
さっちゃんと、温泉旅館を物色し、離れを予約。
ワクワクしていると、アスモデウスが、
「いやぁ~、これは楽しみですね。温泉ですか、初めてです!」
とニコニコ顔で呟いている。
「え?」
と思わず俺が呟くと、
「え?」
とアスモデウスも呟く。
「あ、お前もしかして、来る気だった?」
と俺が聞くと、
「えーーー!! 酷いですよ、マスター……」
とシクシク泣かれた。
しょうがないので、もう1部屋取ってやると、喜んで「準備してきますー!」と自宅へ帰って行った。
ハハハ、まあ良いか。
まあ、判っては居たのだが、蓋を開けると、何かちょっとした週末旅行ぐらいの感覚だったのが、一族総出の大旅行に変化していた。
さっちゃんのご両親まで一緒となっていた。
父上、母上、双葉、ピートは勿論、兄上夫婦もである。
まあ、大人数の方が、面白いか。
旅行期間中、兄上夫婦は、旅館から毎日会社に通う気らしい。
兄上は休む気満々だったのだが、義姉上から、却下され、一緒に通う事になったと。
まあ、大人数の方が、面白いか。
総勢、11名(敬護はノーカウント)となり、またもや週末を絡めて行く事となった。
急激に人数が増えてしまい、恐縮しつつ旅館側にお伺いしたところ、大喜びで予約OKでした。
やっぱり、何処の宿泊施設もまだまだ難しい状態らしい。
そうそう、当初は離れを予約していたのだが、大人数と言う事もあって、別館を貸し切りにしてくれた。ちょっとビックリ。
さっちゃんの兄上だけは、現在仕事が多忙らしく、参加出来ないと言う事なんだが、
「大丈夫かな?」とさっちゃんに聞いてみると、
「ああ、兄貴なら上手くやってるから、大丈夫よ。ウフフ。」
と意味深に笑ってた。
そんな話をしていたら、何処から聞きつけたのか、前田達も参加したいと……。
更に、旅館に電話して、2部屋各2名で合計4名の追加をお願いしたら、更に大喜び。
電話の向こうで、「ばんざーーい!」って声が漏れ聞こえてきていた。
「更に増えそうでも、全然問題ありません。10組ぐらい増えてもご対応可能なので、是非なんなりと。」
と言われて、思わず苦笑してしまったよ。
なので、一応、清兄ぃに連絡して聞いてみたんだが、マジか……来るらしい。
人数と部屋数を聞いて驚いた。
『何故か』清兄ぃが2人で1部屋、叔父上叔母上で1部屋、聡君+1名で1部屋、聡君の妹+お友達2名で1部屋らしい。
面倒だったので、グリード達も強制参加にしておいた。
なので、直ぐに電話して、5部屋で11名+1歳児追加を伝えると、
「ありがとうございます!!!」
と泣き声になりつつ、喜ばれてしまい、思わず、
「じゃあ、人数も多いし、事前に半額程先に振り込んで置きますので、振込先教えておいて。」
と言うと、涙で声を詰まらせながら、
「このご恩は一生忘れません。本当にありがとうございます! 誠心誠意サービスさせて頂きます。」
と言われた。
「やっぱり、そっちも大変なの?」
と聞くと、色々と切羽詰まった状況である事を切々と語り出した。
簡単に言うと、まあ多少自業自得感のある話なのだが、東京に近いと言う事と『伊豆』と言うブランドに拘った高級感を出し過ぎてしまい、それでも弾劾の日以前は良かったのだが、あの日を境に、状況が一変してしまい、一旦高級路線で離れてしまった客足が戻らなくなってしまったらしい。
しかも、交通網の問題で、現在は復旧されたが、それでも遠のいてしまった客離れは戻ってないそうな。
まあ、多少は協力も出来るけど、経営の苦しい温泉街は他にも多いから、伊豆だけに肩入れするのもねぇ。
「なるほど。まあ、何処まで協力出来るかは判らないけど、取りあえず、先程聞いた口座に、取りあえず、半額振り込んで置いたから。
準備の方、宜しくお願い致しますね。 ああ、あと多分、来る連中は、滅茶滅茶食べるから、追加オーダーも受けられる様に、お願いしますよ。」
マジで、凄い金額を振り込んだよ。
島以外の買い物で100万円単位で振り込んだのは、初めてだな。
カサンドラスの冒険者達は、正に『宵越しの金は持たぬ』を実践する奴らだった。
理由は、命の値段の安いカサンドラスでは、何時死ぬか判らないから、悪い意味の『一期一会』で、何時死んでも良い様にと言う感じだった。
まあな、あの世にはお金も財産も持って行けないから、理解は出来るんだが、元来コツコツと生きて来た日本人的には、ちょっとね。
でも、俺の様にお金を大量に持ってしまうと、何かに使わないと、死に金になってしまうから、まあ丁度良いかとは思っている。
余ったお金を上手く動かせば、それが経済の起爆剤にもなるし、政府は税収が上がる。
正にWin-Winだ。ああ、その意味もあって、首相がお礼の電話して来たのか。
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