小蕊の蜜に誘われて――初夢【改】

Peeping Dom

第1話 甘い初夢

 俺は、何処にでもいるような高校二年生、美男でもなければ、醜男でもない。可も無ければ、不可も無い。成績は全て中くらい。苛めに遭う不幸せも無ければ、彼女が出来る幸せも無い。悩みと言えば、彼女いない歴十七年、異性に対する悶々とした気持ちが鬱屈していることである。クラスの中にも、彼女出来て童貞卒業自慢する奴もいる。学校よりも童貞を卒業したい!

 冬休みに入り、日がな一日、勉強するわけでもなく、遊びに行くわけでもない日々を過ごした。これだから、彼女が出来ない訳だっ!

 俺のクラスの女子たちは、美少女もいなければ、醜女もいない。粒ぞろいと言えば粒ぞろい、どんぐりの背比べみたいなもんだ。時折、女子の素朴な色気にムラっと来ることはある。でも、思い詰めて告白したいほど、気持ちは高ぶらない。そして、有触れた大晦日を迎えた。除夜の鐘が終わるのを待たずに眠ってしまった。百八の煩悩を祓ってくれるのだろうか?


 電気付けっぱなしにして寝てたのか?部屋が明るい。気が付くと、目の前に女の子が立っていた!俺と向かい合って立っている。

 うちの学校と同じ制服を着ている。こんな娘は見たことはない。初めて見る顔だ。メッチャ美し過ぎる!こんな美少女がいたら、他のクラスでも、他の学年でも、隣の学校であっても、俺も知らない筈はない。

 背は俺よりも少し低いくらい。目の前に彼女の前髪が見える。さらりとした栗色の長い髪、狐の様な切れ長の目、長い睫毛の下から、琥珀色の瞳が上目遣いで俺を見つめている。端筋の通った整った細面の顔だちに桃色の唇が添えられている。雰囲気は清楚なようで妖艶で、妖艶なようで清楚だ。こんな超絶美少女は、テレビでも雑誌でも見たことがない!

 小顔で、手脚はすらりとして長い。ただ、胸は俎板を立てた様に真っ直ぐだ。でも、俺は巨乳派じゃないので問題ない!巨乳か、貧乳かなんてどうでも好い。俺にとっては、近くにいるだけで、息が詰まりそうな高嶺の花である。否!本当に息が詰まって、手の届く所に居るのに手が届かない。そう思うと、切ない気持ちが込み上げてくる。

 俺は何と話し掛けていいのか判らない。こんな高嶺の花の美少女と二人きりいるだでも、十二分に幸せだ。言葉がつっかえたまま、黙って彼女の美しい顔を見つめていた。彼女も、俺の事を嫌がる訳で無く、俺を見つめている。彼女の眼差しに魅入られてしまった俺は、金縛りにあった様に動けない。彼女の事が好きで好きで堪らない気持ちが胸に込み上げてくる。そんな俺の事を彼女は活きた人形の様に見つめている。

 ふと俺の頭の中に浮かんだ。これは夢なんだ。夢に違いない。夢だから何をしても好い。でも、夢から醒めてしまうのが怖い。息苦しくも、心地好い世界から覚めたくない。そうしている中に股間が熱くなって疼いくる。善からぬ考えが頭を廻る。夢だと判っていても、彼女に嫌われるのが怖い。

 思い切って彼女を抱きしめてみた。夢なのに彼女の温もりが伝わる。そのまま桃色の唇を奪ってみた。俺はキスなどしたことも無い筈だが、心地よい感覚が口の中に拡がった。俺が夢中になっていると、彼女から軽く胸を押された。ベッドの端に尻もちをついた。

 彼女は瞳を爛々とさせて俺を見下ろし、妖しげな笑みを浮かべた。

「君、責任とってよね!」

 俺は金縛りにかかった。全く身動きできない。花びらの様なチェックのスカートが、俺の目の前でひらひらしていた。彼女はスカートの両端を摘まんで、裾を揚げては下げ、下げては揚げている。肝心なところは見えそうで見えない。俺の煩悩は百八を超えそうだ。

「君、スカートの中、見・た・い?」

 ウンと答えたいのは山々だけど、声がでない。それでも気持ちは伝わった。何もかも彼女に見透かされている。じらされる度にテントは揺れた。

「それでは、き・み!ぼくのパ・ン・ツはナ・ニ・い・ろ・か・し・ら?」

「し・し・白です!」

「ブー!!は・ず・れ!もう一回チャンスね」

「あ・あっ・赤です!」

「ブー!!外れ!はい再チャレンジよ」

「く・く・黒です」

「ブー!!または外れねっ!……それでは正解は、どぅるぅるぅるぅるうるぅるぅ……」

 彼女は太鼓の音を口ずさみながら、スカートの裾を花弁の様にひらひらさせて、俺の煩悩を苛む。白でも、赤でも、黒でも無ければ何なんだ?

 

 次の瞬間、彼女はスパッと花弁を開かせた。

「じゃじゃーん!セイカイは、何も履いてません!」

 しかし、彼女の股間にはもやがかかっいて、何も見えない。それでも俺の煩悩は怒張となって天を衝き、下着を濡らしてしまった!

 切ない気持ちと共に目が覚めた。元日早々、パンツを汚してしまった。親に気が付かれない様、こっそりと後片付けをした。


 その日以来、俺は、彼女の事が頭から離れなくなった。目を閉じると、彼女の姿がはっきりと浮かんだ。夢の中で、彼女の姿が浮かんでは消え、消えては浮かんだ。その度に自分で煩悩を祓った。そうしている中に冬休みは終り、登校の朝を迎えた。

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