第22話 少額訴訟

「少額訴訟」を選ぶことにした。


一番のメリットは1日で判決が出る事。


それだけだ。






私は「生活保護」にお世話になっている精神疾患持ちの人間だ。






「生活保護にお世話になっている」身である私には、


なにか生活保護の支給金額以外のお金の収入があれば、


保護課に連絡をし、基本、国(行政)の国庫に返還する事になっている。




もちろん今回の裁判の事も相談して、引っ越し等の一部補助を受けている。




だから、そう高い金額を慰謝料として請求しても、


1円も収入としては得ることが出来ないのだ。




ただ警察官や生活保護の職員や裁判所で関わる人たちの「時間」を、


私のために費やしてくれたのだ。






公務員の「時間」=「税金」という考えがあった。






私がお世話にならなければ、他の同じような境遇の人が待たされる時間が、


少しでも緩和できたはずだ。




申し訳ない。




そのための国庫(行政)にお返ししたい。


というだけの理由の慰謝料請求裁判なのだ。




税金を使った分は、返却に充てたい。


私のために費やした「時間」=「税金」を他の公共的な物に使用してほしい。


というだけの考えだ。




そう思い、「少額請求」の訴訟を起こすことにした。


とりあえず、引っ越しの際に補助してもらった「税金」を計算することにした。






そう考えながら、「少額訴訟」の内容を記入していた。




すると「ピンポーン」トントン


「ピンポーン」トントン


普段は鳴る事がほとんどないインターホンの音と、


玄関をノックする音が部屋に響いた。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る