皐月の誇り〜限界を決めるのは己自身
緋那真意
第1話 競走馬とクラシック競走
競馬の世界では、馬の優劣を決める上で特に重視される競走というものがある。馬齢で三歳になってから行われるクラシック競走といわれるレース群がそれの一つに当たる。
日本で言えば牝馬限定で実施される桜花賞と優駿牝馬(オークス)、主に牡馬を対象(牝馬も出られる)とした皐月賞、東京優駿(日本ダービー)、菊花賞が五大クラシック競走として定義されている。
勿論、これらの競走を制することは大変な栄誉であり、ことにダービーを制することはホースマンにとって最高の栄誉であり、「ダービーを制することは一国の宰相になるよりも難しい」という英国人の言葉や、「ダービーを取れたら騎手を辞めてもいい」という、とある日本人騎手の名言にもそれが伺える。
その反面、あまりにクラシック競走を狙うことに全力を傾注しすぎてしまい、馬が三歳のクラシック競走で「燃え尽きて」、クラシック競走終了後に引退してしまったり、その後の競争生活が尻すぼみとなってしまったりする弊害も近年は目立つようにもなってきた。
無論、競馬の世界は激しい競争社会であり、結果を出せずに淘汰されてしまう馬など星の数ほど存在するのであって、結果を出して引退まで一応は見届けてもらえる馬というのは、それだけで幸せなのかも知れない。しかし、それでも競馬の花形とも言うべきクラシック競走を勝ったはずの馬がその後成績が停滞し沈んでいく様を見せられるのは耐えられないという人もいるだろう。
今回取り上げるロゴタイプという馬もまた、クラシックを制しながらもその後長きに渡って不振に苦しみ、一時はファンからも「もう終わってしまったのでは?」と思われていた馬だった。しかし、彼はまだ終わってなどいなかったのだ。彼は再び檜舞台で輝き、己の限界を決めるのは己自身なのだと天下に証明してみせた。
今回はそんなロゴタイプの現役生活を簡易にではあるが振り返っていきたい。
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