第13話 中間テスト

 7月中旬、奈緒達ピンキーダイナマイトメンバーもテスト期間を迎えていた。今日はテスト初日である。


 沙也香「あぁ、テスト早く終わんないかな。マジで嫌だよ。中間テスト何て無くなればいいのに」

 明日香「沙也香、うるさい。気が散る。今回は奈緒さんにどうしても勝ちに行くわよ、いい?」

 沙也香「あぁ~ホント明日香は馬鹿だなぁ~。奈緒ちゃんは学年トップクラスの成績で、東大でも京大でも上智でも行ける人だよ」

 明日香「何よ。私は万年2位に甘んじているのが自分で許せないのよ。沙也香、あんたも特進クラスのビリに君臨しているんじゃないわよ」


 そんな2人を眺めながら、近づいて来たのは5年連続学年成績NO1の奈緒であった。


 奈緒「私、郵便局を食べ~るぅ。食べ~るぅ。食べ~るぅ♪」

 明日香「何なの?そのふざけた歌は。気が散るでしょうが。今すぐGET、OUT、HERE♪」

 奈緒「そんな事言わないで、暇なのぅ~。勉強終わって暇なのぉ~。相手してぇ」

 沙也香「この張りつめた空気の中よくそんな余裕で居られるね、奈緒ちゃん」

 奈緒「年賀状ハガキも食べるぅ~?沙也ちゃん」

 沙也香「いい加減にしてよね奈緒ちゃん。あなたは頭良いから余裕だろうけど私は今回もギリギリっぽいからさ」

 奈緒「そう怒らないで。そのお詫びといってはなんですが、沙也香専用テスト範囲まとめノートを作っておいたから心配するなもし。明日香も見ればいいなもし」

 明日香「私はそんな物要らないわよ。自力で解くからいいわ」

 奈緒「強がりさんだなぁ~」

 エロ泉谷「ほらぁ~お前ら~席に着け。テスト用紙配るぞぉ~」


 チャイムが鳴り、席に着いた生徒たちは一様にエロ泉谷を凝視している。早く始めろと言わんばかりに。


 エロ泉谷「そんなに見つめないで。先生困っちゃう~」

 明日香「早くして!変態教師」

 沙也香「あぁ、英単語一個トンだじゃねぇか!」


 そして、テストは始まった。顔を歪ませている生徒が多い中、奈緒はスラスラと英語の長文問題を解いていく。明日香は必死の形相で挑んでいるし、沙也香はもう既に涙目になっている。


 奈緒「Light can travel faster than anything else. っていうのはつまり、光は何よりも早く伝わるという事か。成程。」

 明日香「この文の場合 A …比較級 + than any other + B ですからして……ええと」

 沙也香「ライトくんは早い旅行がお得意ですわよかな?」


 こうして、時間が過ぎ午前の英語のテストは終わった。


 奈緒「どう?自信はありますか?沙也ちゃん」

 沙也香「無い。完全に死んだ」

 明日香「私は空欄は埋めたわよ」

 沙也香「私、途中からお絵かきがしたくなってたの。おほほ。私はこの件に関して一切記憶にございません。身に覚えがないと言っておりますように……」

 奈緒「沙也ちゃん」

 明日香「沙也香」


 そして、昼休みを挟んで、日本史のテストが始まった。


 奈緒「鉄砲が日本に輸入されたのは何年?ええと、これは良いご予算だから1543年かな。簡単、簡単」

 明日香「1549年鹿児島に来航し領主島津氏の許可を得て布教を開始したのは、誰?ええと禿げ頭のとぼけた外国人よぉ~ええと確かフランシスコ・ザビエルよね」

 沙也香「日本側の主な輸出品は、16世紀中頃から生産量が飛躍的に増加した?である。ええと確か金が銀なんだよな。どっちだっけ。いやここは正直に私が落としたのは銅ですと言った方が当たるような気が……」


 こうして本日のテストは終わった。表情で言えば奈緒はウキウキで、明日香はまずまずといった表情。沙也香に至っては正解を見るのも怖いと言った表情からアヘアへ顔へ解脱を試みている始末であった。


 奈緒「今回のテスト簡単だったね。全部分かったと思うよぉ~」

 沙也香「羨ましい。奈緒ちゃん細胞を移植してくれ、頼むぅ~」

 明日香「バカな事を言ってないで帰るわよ」


 それから数日後、テストは終わって、今回の中間テストの成績が廊下に張り出された。もし赤点を取っていれば補習授業を受けなければならないので生徒たちも必死で成績表を見つめるのであった。


 クラスメイトA「わぁ~私下から数えた方が早いよぉ~」

 クラスメイトB「私はBEST10圏内だぁ~。ええと、今回もやっぱり奈緒ちゃんと明日香さんのデットヒートね明日香さん5教科で495点。奈緒ちゃん500点。満点を毎回とるのは神憑り過ぎているけどね」

 沙也香「私はっとええと何処だろ~あっ、有った。下から5番目だ。やった。前よりちょっと上がった」


 そこへ遅れて奈緒と明日香がやって来て、


 明日香「どうだったの?沙也香。」

 沙也香「良かったよ明日香。赤点はギリギリ無かったから補習と追試は無し」

 奈緒「良かったね~。ピンキーやらないといけないから、補習とかの時間正直取れないしね」

 沙也香「そうだね。困った選択問題の時は鉛筆転がして選んでいたからね、わははは」

 奈緒&明日香「そっ、そうなんだ」


 兎にも角にもこうして中間テストは終わった。因みにささもっちゃんは高1の中での順位は下から2番目であった。まゆみは成績優秀者で高2で上から2番。友子は下から6番目だった。メンバー達に楽しい夏休みが間近に迫っていた。















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